骨粗しょう症の薬

骨粗しょう症について

骨粗しょう症の病態については別ページ参照。

各薬剤の作用部位についても別ページ参照。

骨粗しょう症の薬の推奨グレード2015

分類 一般名 推奨グレード
骨密度 椎体骨折 非椎体骨折 大腿骨近位部骨折
カルシウム薬 L-アスパラギン酸Ca水和物 C B C B C B C
リン酸水素Ca水和物
女性ホルモン薬 エストリオール C C C C
エストラジオール A C B C B C
結合型エストロゲン(保険適用外) A A A A
活性型ビタミンD3 アルファカルシドール B B B C
カルシトリオール B B B C
エルデカルシトール A A B C
ビタミンK2 メナテトレノン B B B C
ビスホスホネート エチドロン酸ニNa A B C C
アレンドロン酸Na水和物 A A A A
リセドロン酸Na水和物 A A A A
ミノドロン酸水和物 A A C C
イバンドロン酸水和物 A A B C
選択的エストロゲン受容体(SERM) ラロキシフェン塩酸塩 A A B C
バゼドキシフェン酢酸塩
カルシトニン薬 エルカトニン B B C C
カルシトニン(サケ)
副甲状腺ホルモン薬 テリパラチド(遺伝子組換) A A A C
テリパラチド酢酸塩 A A C C
抗RANKL抗体薬 デノスマブ A A A A
その他 イプリフラボン C C C C

(図引用:沢井ラモキシフェン資料2016.3)

Ca製剤

  • アスパラCA(Lアスパラギン酸カルシウム水和物)・・・唯一の錠剤
  • 乳酸Ca、塩化Ca、グルコン酸Ca、燐酸水素Ca他・・・散剤

女性ホルモン剤

  • ホーリン(エストリオール)
  • ジュリナ(エストラジオール)
  • プレマリン(結合型エストロゲン)・・・保険適用外。骨密度上昇効果に優れるが、心血管障害、脳卒中、血栓症、乳がんのリスクを増大させる可能性がある。乳がんに関してはエストロゲン単独ではリスク増加は見られないとの報告あり。

ビスホスホネート剤

BPはヒドロキシアパタイトにキレート結合することで骨組織へと進入する。

N含有BP剤(ベネット、ボナロン、フォサマックなど)は、酵素(FPPS)を2箇所阻害し、メバロン酸経路によるファルネシルピロリン酸やゲラニルゲラニルピロリン酸の合成を阻害して、RasなどのGTPタンパク合成を阻害することで、破骨細胞構造を破壊(破骨細胞のアポトーシス)して骨吸収を抑制する。

Nを含有していないBP剤(ダイドロネル)は、ATP類似の代謝物が破骨細胞に対して抑制的に働き、骨吸収を抑制する。

胃粘膜の表面にはリン脂質(ホスファチジルコリンなど)が吸着してバリアを作り胃酸の攻撃を防いでいますが、アレンドロネートはホスファチジルコリンと構造が類似しているため、粘膜表面のホスファチジルコリンと置換して粘膜防御機構を破壊すると考えられている。

副作用は、静注の場合ではインフルエンザと同じ症状(発熱、痛み等。γδT細胞を刺激してサイトカイン産生)を引き起こす。顎骨壊死は歯周病が起因しているため、まずは歯周病を治し、口腔内のケアをきちんと行うことが大切。

  • ダイドロネル(エチドロン酸二ナトリウム)・・・200mgを1日1回、食間に経口投与する。投与期間は2週間とする。再投与までの期間は10~12週間として、これを1クールとして周期的間歇投与を行う。
  • ベネット、アクトネル(リセドロン酸ナトリウム水和物)
  • ボナロン、フォサマック(アレンドロン酸ナトリウム水和物)
  • リカルボン、ボノテオ(ミノドロン酸水和物)
  • ボンビバ(イバンドロン酸水和物)

ビスホスホネート製剤の顎骨壊死の副作用を防ぐために、歯科治療の際は、抜歯の前後3ヶ月は休薬する。

活性型VD3製剤

ワンアルファ、アルファロールに代表されるVD3製剤は、骨芽細胞上VDRに結合してRANKLの発現を促し、骨吸収を促進するほか、腸管からの Ca、リンの吸収を亢進させると共に、PTH遺伝子の転写を抑制してCa濃度上昇に対してフィードバックをかける(パラトルモンはビタミンD3の産生を促してCaの上昇とリンの上昇に関与する一方で、自身でも腎臓にてCa濃度上昇とリン濃度の低下にかかわる。)。

うちエディロールにのみCa吸収促進に加えて、破骨細胞の形成抑制作用がある。エディロールは破骨細胞前駆細胞の形成は抑制しないが、骨芽細胞のRANKL発現を抑制して上記の骨吸収を抑制することで骨量を増やすと言われる。

活性型ビタミンD3製剤は前立腺がん細胞に対する抗腫瘍効果を期待して他の抗悪性腫瘍薬との併用で処方されるケースがある。

活性型ビタミンD3製剤の筋肉への作用も示されており、筋肉のタンパク質合成が活性化されるという。

  • エディロール(エルデカルシトール)
  • アルファロール、ワンアルファ(アルファカルシドール)
  • ロカルトロール(カルシトリオール)

VK2製剤

グラケーのようなビタミンK2(メナテトレノン)は、骨芽細胞に作用→オステオカルシンのカルボキシル化(Gla化)に必要である。

Gla化されたオステオカルシン(Gla-OC)のみが骨のヒドロキシアパタイトと結合して骨基質中に蓄積され骨形成に関与するという。

適応外で、メナトテレノンは肺がんの再発抑制を目的として他の抗悪性腫瘍薬との併用で処方されるケースがある。

  • グラケー(メナトテレノン)

SERM

選択的エストロゲン調節薬(SERMs)としてエビスタ(ラモキシフェン)が使われているが、これは、骨組織特異的(骨以外に作用しない)にERα、ERβ受容体に結合し、エストロゲン様作用を示す。

エストロゲンは破骨細胞に直接働きJNKの抑止並びにAP-1の結合活性を抑止することによって破骨細胞のRANKLに対する応答性を阻害し、破骨細胞による骨吸収を抑える。

ラロキシフェンは骨形成に対する効果よりも、骨吸収を抑制する効果のほうが強い特性を有するとされている。

ラロキシフェンには、冠動脈性心疾患・脳卒中のリスク増大は認められなかったようですが、静脈血栓塞栓症のリスクの増大があることから注意する。

カルシウム製剤や活性型ビタミンD3製剤との併用が推奨されている。

  • エビスタ(ラロキシフェン)
  • ビビアント(バゼドキシフェン)

カルシトニン製剤

カルシトニンは破骨細胞上のCPCRⅡ受容体に結合して骨吸収を抑制する。疼痛に主として使用する。副甲状腺ホルモンの逆の作用である。

椎体骨折の抑制効果は認められているが、非椎体骨折、大腿骨近位部骨折の抑制効果は示されていない。

  • サーモトニン筋注10など(サケカルシトニン)・・・錠剤なし、すべて注射剤です

副甲状腺ホルモン製剤

生体内副甲状腺ホルモン(パラトルモン:PTH)は、血中Ca濃度が低下すると副甲状腺から分泌されるホルモンで、骨では骨芽細胞のRANKL発現を亢進させて破骨細胞の分化を促進して骨吸収を促進し、腎臓では1,25(OH)2D産生を増加、遠位尿細管でのCa再吸収によって血中のCa2+濃度を上昇させる。このPTHのN末端から34個のアミノ酸を取り出したのがフォルテオ。

フォルテオの作用機序を考えるうえで、PTH同様の活性を持つ薬であれば、Ca2+の濃度を上げるために骨を溶かす骨吸収が促進すれば治療薬にならないと思うわけだが、それはPTHの持続的投与の場合。

フォルテオの1日1回、間歇(かんけつ)投与になると、PTHの作用とは全く異なる働き(骨芽細胞の分化促進とアポトーシス抑制による骨形成促進作用)をする。

したがってフォルテオには1日1回をきちんと守るということと、漠然と24ヶ月以上にわたって続けることができないという制約がある。

フォルテオの使用で、1年使って残り1年は取っておいてあとで使うという使い方も可能だが、2年連続して使うことで後の骨折リスクも下がるため、連続使用が推奨。

フォルテオの第一選択は、骨折の患者(椎体骨、大腿骨遠位部等)で、骨治癒を早める作用がある。

参考)テリパラチドについての作用機序

  • フォルテオ(テリパラチド)・・・ペン型注射剤

RANKL阻害剤

RANKLは膜結合型あるいは可溶型として存在し、骨吸収を司る破骨細胞及びその前駆細胞の表面に発現する受容体であるRANKを介して破骨細胞の形成、機能及び生存を調節する必須の蛋白質である。デノスマブはRANK/RANKL経路を阻害し、破骨細胞の形成を抑制することにより骨吸収を抑制する。

ビスホスホネートは成熟した破骨細胞のみに作用するのに対して、プラリアはすべての破骨細胞に作用する。

その結果、ビスホスホネートが海綿骨のみなのに対して、皮質骨及び海綿骨の骨量を増加させ、骨強度を増強させると考えられる

  • プラリア(デノスマブ)・・・6ヶ月に1回皮下注。低カルシウム血症の予防にデノタスチュアブル配合錠を毎日服用。

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