保険外費用の請求(容器代等)(療養の給付と直接関係ないサービス等の取り扱いについて

1 費用徴収する場合の手続について

療養の給付と直接関係ないサービス等については、社会保険医療とは別に提供されるものであることから、もとより、その提供及び提供に係る費用の徴収にっいては、関係法令を遵守した上で、保険医療機関等と患者の同意に基づき行われるものであるが、保険医療機関等は、その提供及び提供に係る費用の徴収に当たっては、患者の選択に資するよう次の事項に留意すること。

  • (1) 保険医療機関等内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に費用徴収に係るサービス等の内容及び料金について患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。なお、掲示の方法については、「『療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等』及び『選定療養及び特定療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等』の制定に伴う実施上の留意:事項について」(平成14年3月8日保医発第0318001号)第1の2(4)に示す掲示例によること。
  • (2)  (1)の掲示事項については、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないこと。ただし、自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない。なお、ウェブサイトへの掲載について、令和7年5月31日までの間、経過措置を設けている。
  • (3) 患者からの費用徴収が必要となる場合には、患者に対し、徴収に係るサービスの内容や料金等について明確かつ懇切に説明し、同意を確認の上徴収すること。この同意の確認は、徴収に係るサービスの内容及び料金を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。ただし、この同意書による確認は、費用徴収の必要が生じるごとに逐次行う必要はなく、入院に係る説明等の際に具体的な内容及び料金を明示した同意書により包括的に確認する方法で差し支えないこと。なお、このような場合でも、以後別途費用徴収する事項が生じたときは、その都度、同意書により確認すること。  また、徴収する費用については、社会的にみて妥当適切なものとすること。
  • (4) 患者から費用徴収した場合は、他の費用と区別した内容のわかる領収証を発行すること。
  • (5) なお、「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」及び「『療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等』及び『選定療養及び特定療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等』の制定に伴う実施上の留意事項について」に示したとおり、「お世話料」「施設管理料」「雑費」等の曖昧な名目での費用徴収は認められないので、改めて留意されたいこと。

2 療養の給付と直接関係ないサービス等

療養の給付と直接関係ないサービス等の具体例としては、次に掲げるものが挙げられること。

  • (1) 日常生活上のサービスに係る費用
    • ア おむつ代、尿とりパット代、腹帯代、T字帯代
    • イ 病衣貸与代(手術、検査等を行う場合の病衣貸与を除く。)
    • ウ テレビ代
    • 工 理髪代
    • オ クリーニング代
    • カ ゲーム機、パソコン(インターネットの利用等)の貸出し
    • キ MD、CD、DVD各プレイヤーの貸出し及びそのソフトの貸出し
    • ク 患者図書館の利用料  等
  • (2) 公的保険給付とは関係のない文書の発行に係る費用。
    • ア 証明書代
       (例)産業医が主治医に依頼する職場復帰等に関する意見書、生命保険等に必要な診断書等の作成代  等
    • イ 診療録の開示手数料(閲覧、写しの交付等に係る手数料)
    • ウ 外国人患者が自国の保険請求等に必要な診断書等の翻訳料  等
  • (3) 診療報酬点数表上実費徴収が可能なものとして明記されている費用
    • ア 在宅医療に係る交通費
    • イ 薬剤の容器代(ただし、原則として保険医療機関等から患者へ貸与するものとする。)  等
  • (4) 医療行為ではあるが治療中の疾病又は負傷に対するものではないものに係る費用
    • ア インフルエンザ等の予防接種
    • イ 美容形成(しみとり等)
    • ウ ニコチン貼付剤の処方  等
  • (5)その他
    • ア 保険薬局における患家への調剤した医薬品薬剤の持参料及び郵送代
    • 保険医療機関における患家等への処方箋及び薬剤の郵送代
    • ウ 日本語を理解できない患者に対する通訳料
    • エ 他院より借りたフィルムの返却時の郵送代
    • オ 院内併設プールで行なうマタニティースイミングに係る費用
    • カ 患者の自己利用目的によるレントゲンのコピー代等
    • キ 院内託児所・託児サービス等の利用料
    • ク 手術後のがん患者等に対する美容・整容の実施・講習等
    • ケ 有床義歯等の名入れ(刻印・プレートの挿入等)
    • コ 画像・動画情報の提供に係る費用(区分番号「B010」診療情報提供料(Ⅱ)を算定するべき場合を除く。)
    • サ 公的な手続き等の代行に係る費用

3 療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないもの

療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないものとしては、具体的には次に掲げるものが挙げられること。

  • (1)手技料等に包括されている材料やサービスに係る費用
    • ア 入院環境等に係るもの
       (例)シーツ代、冷暖房代、電気代(ヘッドホンステレオ等を使用した際の充電に係るもの等)、清拭用タオル代、おむつの処理費用、電気アンカ・電気毛布の使用料、在宅療養者の電話診療、医療相談、血液検査など検査結果の印刷費用代  等
    • イ 材料に係るもの
       (例)衛生材料代(ガーゼ代、絆創膏代等)、おむつ交換や吸引などの処置時に使用する手袋代、手術に通常使用する材料代(縫合糸代等)、ウロバッグ代、皮膚過敏症に対するカブレ防止テープの提供、骨折や捻挫などの際に使用するサポーターや三角巾、医療機関が提供する在宅医療で使用する衛生材料等、医師の指示によるスポイト代、散剤のカプセル充填のカプセル代、一包化した場合の分包紙代及びユニパック代  等
    • ウ サービスに係るもの
       (例)手術前の剃毛代、医療法等において設置が義務付けられている相談窓口での相談、車椅子用座布団等の消毒洗浄費用、インターネット等より取得した診療情報の提供、食事時のとろみ剤やフレーバーの費用  等
  • (2) 診療報酬の算定上、回数制限のある検査等を規定回数以上に行った場合の費用
  • (3) 新薬、新医療機器、先進医療等に係る費用
    • ア 薬事法医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)上の承認前の医薬品・医療機器(治験に係るものを除く。)
    • イ 適応外使用の医薬品(選定療養を除く。)
    • ウ 保険適用となっていない治療方法(高度先進医療及び先進医療を除く。)  等

4 その他

上記1から3までに掲げる事項のほか、費用徴収する場合の具体的取扱いについては、「保険(医療)給付と重複する保険外負担の是正について」及び「『療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等』及び『保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等』の制定に伴う実施上の留意事項について」を参考にされたい。

なお、上記に関連するものとして、入院時や松葉杖等の貸与の際に事前に患者から預託される金銭(いわゆる「預り金」)については、その取扱いが明確になっていなかったところであるが、将来的に発生することが予想される債権を適正に管理する観点から、保険医療機関が患者から「預り金」を求める場合にあっては、当該保険医療機関は、患者側への十分な情報提供、同意の確認や内容、金額、精算方法等の明示などの適正な手続を確保すること。

掲示例:

当薬局では、以下の項目について、その使用量に応じた実費の負担をお願いしています。
軟膏容器・・・1つに付き50円(2個以上は一律100円)
水剤容器・・・1つに付き50円(2個以上は一律100円)
容器を持参していただき、また、その容器が使用可能なものである場合は、実費は頂きません。

などでいいかと思います。

薬剤料(調剤報酬点数表に関する事項)

(1) 投薬時における薬剤の容器は、原則として保険薬局から患者へ貸与する。ただし、患者が希望する場合には、患者から実費を徴収して容器を交付しても差し支えないが、患者が当該容器を返還した場合は、当該容器本体部が再使用できるものについては当該実費を返還する。を交付する場合は、その実費を徴収できる。

なお、患者に直接投薬する目的で製品化されている薬剤入りチューブ及び薬剤入り使い捨て容器のように再使用できない薬剤の容器については、患者に容器代金を負担させることはできない。

(2) 保険薬局が患者に喘息治療剤の施用のため小型吸入器及び鼻腔・口腔内治療剤の施用のため噴霧・吸入用器具(散粉器)を交付した場合は、患者にその実費を負担させて差し支えないが、患者が当該吸入器を返還した場合は当該実費を返還する。

(3) 被保険者が保険薬局より薬剤の交付を受け、持ち帰りの途中又は自宅において薬品を紛失したため(天災地変その他やむを得ない場合を除く。)再交付された処方箋に基づいて、保険薬局が調剤した場合は、当該薬剤の費用は、被保険者の負担とする。

(4) 略

(5) 薬包紙、薬袋の費用は、別に徴収又は請求することはできない

(6) 略

実費を徴収できるサービス(「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」

第7 医薬品の使用に係る厚生労働大臣が定める場合(掲示事項等告示第7関係)

(3) 保険薬局において、患者の希望に基づき次の①から③までに定めるサービスを提供した場合には、当該サービスについて、患者からその費用を徴収しても差し支えないものとすること。ただし、患者から費用を徴収する場合には、「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」平成17年9月1日保医発第0901002号に定める手続きを経る必要があるものであること。

① 患者の希望に基づく内服薬の一包化(治療上の必要性がない場合に限る。)

  • ア 一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固型剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点毎に一包として患者に投与することであること。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものであること。
  • イ 治療上の必要性の有無について疑義がある場合には、処方箋を交付した医師に確認すること。
  • ウ 患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合、臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合等は、その理由を調剤録に記載すること。

② 患者の希望に基づく甘味剤等の添加(治療上の必要性がなく、かつ、治療上問題がない場合に限る。)治療上の必要性及び治療上の問題点の有無について疑義がある場合には、処方箋を交付した医師に確認すること。

③ 患者の希望に基づく服薬カレンダー(日付、曜日、服用時点等の別に薬剤を整理することができる資材をいう。)の提供

保険外診療の助成について

  • 予防接種・・・例えば65歳以上のインフルエンザの予防接種や子供の4種混合等の予防接種には助成制度がある
  • 出産・・・出産育児一時金として最大42万円までは助成を受けることができる
  • おむつ・・・介護で助成の申請が可能。医師のおむつ使用の同意書を提出し申請

保険外併用療養費について

別ページ(選定療養、評価療養、患者申出療養)を参照

Q&A

Q&A(R2年度調剤報酬改定)

問1 令和2年7月1日から医薬品・化粧品小売業等において、プラスチック製買物袋の有料化が必須となるが、保険薬局において、薬剤又は治療材料等の支給を行う場合に、一部負担金とは別にプラスチック製買物袋の費用を徴収することは、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」に抵触するか。

(答)患者に交付するプラスチック製買物袋に係る費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用に該当するため、抵触しない。ただし、この場合、予め患者に対し、サービスの内容や料金等について明確かつ懇切に説明し、同意を確認の上徴収するなど「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」(平成 17 年9月1日保医発第 0901002 号)に従い運用すること。

問2 保険医療機関において、薬剤又は治療材料等の支給を行う場合に、一部負担金とは別に自主的取組としてプラスチック製買物袋の費用を徴収することは、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」に抵触するか。

(答)保険医療機関自体の自主的取組としてプラスチック製買物袋の費用を徴収する場合についても、問1と同様に取り扱って差し支えない。(なお、保険医療機関内に設置された別法人による小売業者は、プラスチック製買物袋の有料化が必須である。)

問3 令和2年3月 23 日付の一部改正通知において、療養の給付と直接関係ないサービス等の具体例として「保険薬局における患家等への薬剤の持参料及び郵送代」及び「保険医療機関における患家等への処方箋及び薬剤の郵送代」が記載されているが、衛生材料又は保険医療材料の持参料及び郵送代も同様に、患者から徴収してよいのか。

(答)保険医療機関又は保険薬局における患家等への衛生材料又は保険医療材料の持参料及び郵送代についても、薬剤と同様に取り扱って差し支えない。

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