電子処方箋(薬局での受付の流れ、受け取り方等)

電子処方箋の運用開始時期が『令和5年1月26日(木)』に決定。

以下、法改正項目。

処方箋受付の流れ

医療機関より発行される処方箋には、電子処方箋(処方内容控えの紙)、電子処方箋対応の紙の処方箋、紙の処方箋の3パターンがあり、加えて、患者の受付方法がマイナンバーカード、被保険者証かの2パターンあるため、それぞれを組み合わせた6通りの受付方法が存在するということになる。

薬局向けオンライン資格確認・電子処方箋クイックガイドより)

電子処方箋(処方内容控えの紙)を受け付けた場合

  • マイナンバーで受け付ける場合・・・マイナ受付するだけで、保険情報と引換番号は入り、電子処方箋(処方内容)をサーバーから取得。→処方内容控えの紙、引換番号、保険証全て不要
  • 被保険者証で受け付ける場合・・・二次元コードがある場合はそれを読み込むと引換番号情報が入り、電子処方箋(処方内容)を取得できる。二次元コードがない場合や紙をなくして引換番号だけしか覚えていない場合は、被保険者証で保険情報を入力して資格確認、引換番号で電子処方箋(処方内容)を取得。引換券のQRには処方内容は入っておらず引換番号と被保険者番号のみの情報。
  • 電子処方箋は、オンライン資格確認を行える、電子処方箋に対応している薬局でのみ受付可能
    ・原本は電子処方箋
    ・HPKI認証による電子証明により「調剤済み処方箋」となる。
    ・「調剤済み電子処方箋」の3年保存が、この電子処方箋管理サービスに登録されることで満たされるのか、他の媒体に電子署名されたもののコピーを保存しておく必要があるのかは現時点では不明。
    ・労災は自費等の医療保険外の処方箋は調剤結果の登録対象外なので、原本(紙?)を保存。

電子処方箋対応の紙の処方箋を受け付けた場合

  • 処方箋に二次元コードがある場合・・・二次元コードを読み込めば保険情報と引換番号が入り、初回はその引換番号で電子処方箋(処方内容)を取得、2回目以降はQRから処方内容を取得(もできるが非推奨)。マイナでも保険証でもどちらでも変わらない。
  • 処方箋に二次元コードがない場合・・・マイナであれば保険情報をマイナから読み込み、引換番号を手入力して電子処方箋(処方内容)を取得、被保険者証の場合は被保険者証を見ながら保険情報を入力し、資格確認、引換番号を手入力して電子処方箋(処方内容)を取得

オンライン資格確認を行えない場合は、通常の紙処方箋と同じように処理する。
原本は電子ではなく、紙の処方箋
調剤済み紙処方箋(電子処方箋対応)を電子処方箋管理サービスに登録するのにHPKIカードは必要ない。

紙の処方箋を受け付けた場合

これまで通りの入力方法にて対応

処方箋の保存と調剤録の電子保存

処方箋の保存

電子処方箋の保存は、HPKIカードを使って電子署名することで「調剤済み処方箋」にし、電子処方箋管理サービスに登録することで行われるのか、これとは別に他の媒体に電子署名済みの電子処方箋のコピーを保存する必要があるのか現時点では不明(あるベンダーはタイムスタンプの押された調剤済み処方箋のコピーを別に保存しているらしい)。

その外部サービスの一つとして、調剤済み処方箋保存サービスがあるのだろうか。(電子処方箋管理サービスへの登録だけでは保存媒体の容量を圧迫することはないので別にこのサービスを利用するメリットがないため)

紙処方箋は電子対応、非対応ともに原本は紙なので、調剤済み紙処方箋を薬局に保管する(保管期間一覧)必要がある。

調剤録の電子保存

調剤録の電子保存をしていれば、紙の処方箋を保管しておく必要はなくなる。

電子保存は通常、レセコンのハードディスク内等、薬局の保存媒体に保存され、レセコンの電子調剤録や電子保存の画面から患者検索で引き出すことができる。

この調剤録の電子保存に使用する容量は少ないので、すぐにハードディスクの取り換えや増設などは考えなくてもよさそう。

電子処方箋に対応した医療機関・薬局

令和6年度電子処方箋活用・普及促進事業費補助金

電子処方箋の導入が完了しており、電子処方箋の周知広報を実施している場合、大手チェーン以外の新規導入であれば、国と都道府県から合わせて最大で43.8万円が補助されるというもの。

  • 都道府県(例:埼玉県)・・・電子処方箋管理サービスの導入:上限9.7万円(事業費38.8万円の4分の1)。
    電子処方箋管理サービスの新機能導入:上限6.4万円(事業費25.6万円の4分の1)。
    申請期間:令和6年5月15日~令和7年1月31まで。
  • 国(ポータルサイト)・・・電子処方箋管理サービスの導入:上限19.4万円(大手チェーン以外。事業費38.7万円の2分の1)。
    電子処方箋管理サービスの新機能導入を同時に行う:上限27.7万円(大手チェーン以外。事業費55.3万円の2分の1)。
    電子処方箋管理サービスを導入済みで新機能導入を行う:上限12.8万円(大手チェーン以外。事業費25.6万円の2分の1)。
    申請期間:令和7年3月末まで

具体的な、補助対象品目と申請方法については、厚生労働省(補助金)のHP等から確認してください。

補足(ポータルサイトメールより抜粋)

  • 電子処方箋による調剤を行った場合、その電子処方箋を調剤済みにするために、電子処方箋管理サービスへ調剤結果登録をする必要があります。
    ※より多くの処方・調剤情報を、救急時を含む医療情報閲覧や重複投薬等チェックで活用できるよう、電子処方箋を導入いただいた薬局では、紙の処方箋による場合も含めて調剤結果登録をお願いしております。
  • リフィル処方箋を電子処方箋又は引換番号付きの紙処方箋で受け付けた場合、1、2回目の調剤を行った薬局において調剤結果登録がなされないと、以降、2、3回目の調剤を行う薬局が、電子処方箋を受け付けることができなくなります。
    ※引換番号付きの紙処方箋の場合は、2、3回目の調剤を行う薬局が、電子処方箋管理サービスから処方箋情報をダウンロードできなくなります。

電子処方箋管理サービスの運用について

1 本施策の趣旨

2 処方箋の電子化のメリット

3 電子処方箋管理サービスの運用の基本的な考え方

電子処方箋管理サービスの運用の基本的な考え方は、以下のとおりである。

(1)電子処方箋管理サービスの運用の仕組み

電子処方箋の運用は、以下の理由により、電子処方箋管理サービスを用い、医療機関が電子処方箋を登録し、薬局が取得する方法を用いることとする。基盤となるシステム構成は、拡張性やコスト面を考慮し、クラウドサービスを活用した構成とする。電子処方箋管理サービスで取り扱う処方箋は、医療保険適用の医薬品の院外処方箋とする。

  • 薬局での医療機関からの指示伝達事項の確認や、薬局から医療機関への調剤情報の提供など、薬局と医療機関との間で情報をやりとりする際に、安全かつ効率的にやりとりができる。
  • 処方情報や調剤情報の提供方式が定まるため、医療機関・薬局のシステムと連動させることで、医療機関・薬局における業務の効率化を図ることができる。
  • 医療機関と薬局が情報ネットワークを用いるので、電子化された調剤情報を患者の電子版お薬手帳等に提供するなど、ICT を活用した医療情報の連携や活用が容易であり、発展性がある。
  • 電子化した書類は大量の複製や加工が容易になるため、電子処方箋の不正な複製や改ざんを防止する必要があるが、オンライン請求やオンライン資格確認で既に利用されているセキュリティ対策が施されたネットワークを活用することで安全性を確保できる。
    なお、電子メールやSNSによる処方箋の送受信は、以下のとおり、システム的に解決できない問題があり、医療情報の安全なやりとりを完全には確保できない。
  • 医療情報の電子データのやりとりでは、正しい相手との間で、内容を改ざんや覗き見されない方法により、やりとりする必要がある(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下「安全管理ガイドライン」という。))。しかし、暗号化が施されていないメール等では、中継する複数のサーバを指定できず、メールサーバ間の通信品質やセキュリティレベルにばらつきがあり、送信元や送信先を偽装する「なりすまし」や、送信データの「盗聴」や「改ざん」、通信経路への「侵入」や「妨害」等の脅威から保護することが困難である。
  • メール等の発信者である医療機関や医師・歯科医師が、患者のメールアドレス等を管理する必要があり、管理の業務負担やメール等の誤送信による医療情報の漏えい事故を防ぐことが困難である(誤送信は、ヒューマンエラーであるのでシステムによる完全な回避が困難)。
(2)地域医療情報連携ネットワークとの連携

(3)電子署名の活用

医師・歯科医師は、患者に交付する処方箋に、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行年月日、使用期間、病院・診療所の名称・所在地又は医師・歯科医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない(医師法施行規則第 21条、歯科医師法施行規則第 20 条)。

また、薬剤師は、調剤したときは、処方箋に、調剤済みの旨(当該処方箋が調剤済みとならなかったときは調剤量)、調剤年月日等を記入し、記名押印又は署名しなければならない(薬剤師法第 26 条)。

この記名押印又は署名は、①処方箋は、患者を診療した医師・歯科医師のみが交付し(違反への罰則あり)、②薬剤師は、処方箋によらなければ販売・授与の目的で調剤してはならず、医師・歯科医師の同意がなければ変更して調剤してはならない(違反への罰則あり)等とされていることから、処方箋を発行した医師・歯科医師と調剤した薬剤師の責任を明確にするためのものであり、処方箋が電子化されても、引き続き、必要である。

そのため、医師等の国家資格の確認が電子的に検証できる電子署名又は電子署名とその電子署名に紐づく医師等の国家資格確認(検証時に確認できるもの)との組み合わせを用いることが必要である。これを満たすために、電子処方箋に付与する電子署名は、安全管理ガイドライン企画管理編の 14 に規定される電子署名とする(※1)。

また、安全管理ガイドラインに基づき、電子処方箋への電子署名には、タイムスタンプを付与する仕組みとする(※2)。

  • (※1)電磁的記録は、その記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定するとされている(電子署名及び認証業務に関する法律(平成 12 年法律第 102 号))。電子処方箋への電子署名についても、医師、歯科医師、薬剤師自らが行う必要がある。
  • (※2)安全管理ガイドラインでは、電子署名には、タイムスタンプを付与するとしている。これは、タイムスタンプは、第三者による検証が可能であり、タイムスタンプ時刻に署名したことを証明可能であることや、タイムスタンプ時刻の以後に電子署名を含め文書の改変がないことを証明可能であるためである。
(4)電子版お薬手帳等との連携等の確保

処方箋の電子化は、医療機関・薬局の連携や処方内容の一元的・継続的把握の効率化等に資するが、患者が電子化された処方・調剤情報等を把握し、活用するためには、マイナポータルや電子版お薬手帳等との連携等による情報の可視化が不可欠である。このため、電子処方箋の仕組みにより得られる処方・調剤情報はリアルタイムでマイナポータルにおいて閲覧できる仕組みとし、当該情報を API(Application Programming Interface)連携により電子版お薬手帳にダウンロードできる仕様とする。(※)

お薬手帳は、患者本人のものであり、患者や医療関係者がいつでもその情報を容易に確認することができ、以下の意義や役割がある。医療機関・薬局は、電子処方箋管理サービスに送付しない患者個人の健康情報や要指導・一般用医薬品の服薬情報などについては、自ら患者に情報を提供することや、患者からの登録の依頼に基づき電子版お薬手帳等と連携するなどにより、情報の電子化のメリットを患者が享受できるようにすることが重要である。

(お薬手帳の意義と役割)

  • ① 患者自身が、自分の服用している薬剤について把握するとともに正しく理解し、服用したときに気づいた副作用や薬剤の効果等の体の変化や服用したかどうか等を記録することで、自らの薬物療法に対する意識を高める。
  • ② 複数の医療機関を受診する際や薬局で調剤を受ける際に、患者がそれぞれの医療機関の医師・歯科医師及び薬局の薬剤師等にお薬手帳を提示することにより、要指導・一般用医薬品も含めて相互作用や重複投薬を防ぎ、医薬品のより安全で有効な薬物療法につなげる。

(※)「電子版お薬手帳ガイドラインについて」(令和5年3月 31 日付け薬生総発0331 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知)で示されているので、マイナポータルと連携等する電子版お薬手帳の運営主体においては、参照されたい。

4 電子処方箋の運用に当たって

電子処方箋の運用に当たっての留意点は、以下(1)~(5)のとおりとする。 また、フリーアクセス確保のため、患者が電子処方箋に対応していない薬局で調剤を受けることを希望する場合や電子処方箋を望まない場合には、紙の処方箋を交付する。

(1)電子処方箋の運用の一連の流れ

電子処方箋の運用に関わる一連の流れは、以下のとおりである。

【医療機関プロセス】

① 医療機関は、オンライン資格確認の際に、顔認証付きカードリーダにおいて、患者が電子処方箋の交付を希望していることを確認する。あわせて、同端末において、処方・調剤情報の参照に関する閲覧同意を取得する。処方箋の発行形態(電子処方箋又は紙の処方箋)の確認については同端末で行うことを主たるケースとして想定としているが、診察時など上記に限らず行うことができることとする。

患者がマイナンバーカードの健康保険証利用をしていない場合や、汎用カードリーダを用いてマイナンバーカードで資格確認をする場合は上記の対応ができないことから、口頭等で電子処方箋の交付希望について確認する。その際、処方・調剤情報の参照に関する個人同意は顔認証付きカードリーダにおいて取得できる運用を基本としており、口頭等で同意を取得したからといって同様に情報を参照できることにはならないことに留意する必要がある(汎用カードリーダを用いてマイナンバーカードで資格確認をする場合は、書面で個人同意を取得することも可能)。

なお、当該患者が調剤を受けようとしている薬局が電子処方箋に対応しているか否かについては、厚生労働省ホームページにおいて公表されている対応薬局リストや、厚生労働省から配布されたポスター等を活用し、待合室等で患者が当該情報を確認できる環境を整えておく必要がある。その際、フリーアクセス確保の観点から、特定の薬局に誘導してはならない。

② 医師・歯科医師は、患者の診察を行い、電子カルテ等で処方内容を入力する。

③ 医師・歯科医師は、処方内容が適切であるか確認するために、処方・調剤情報の参照(同意が得られている場合)及び重複投薬又は併用禁忌の有無の確認(同意の有無にかかわらず可能)を実施する。なお、処方・調剤情報の参照の同意が得られていない場合は、重複投薬又は併用禁忌の有無については、該当する医薬品の重複・禁忌という事象のみを表示するに留め、重複等の対象となった薬剤名称や医療機関・薬局の名称等は表示しない。ただし、重複投薬等チェック機能により、重複投薬又は併用禁忌が確認された場合であって、口頭等で同意を取得した場合には、重複投薬又は併用禁忌の要因となった薬剤に係る一部の情報を参照することができる。なお、その場合には、口頭等で同意を取得した旨について、電子カルテ等に記録すること。

  • (※1)重複投薬や併用禁忌の確認範囲については、調剤日(調剤結果の登録がない場合は処方日)を起算日とし、服用期間の算定が可能な医薬品(例えば 14 日分処方された内服薬)については当該期間を、服用期間の算定が不可能な医薬品(例えば外用や頓服)については一律 14 日間を服用期間とし、服用期間内に重複投薬や併用禁忌に該当する医薬品が処方又は調剤されそうになった際に注意喚起が出る仕組みとする。
  • (※2)重複投薬は、同一成分同一投与経路に該当するか否かで判断し、併用禁忌は添付文書の相互作用欄で「併用禁忌」と定義されているもののみを該当とする。
  • (※3)同一医療機関内の処方を重複とするか否かについては、医療機関・薬局の判断に依ることとするため、システム事業者と相談すること。

④ 医師・歯科医師は、③の情報を踏まえ、処方内容を確定させ、電子処方箋を作成し、電子署名を付与し、電子処方箋管理サービスに登録する。

  • (※1)処方箋を作成した医師・歯科医師は、安全管理ガイドラインに基づき、電子的に作成した処方箋情報に電子署名を行う。タイムスタンプについては電子処方箋管理サービスにおいて付与するものとする。
  • (※2)電子処方箋に限らず処方箋の使用期間は、原則として交付の日を含めて4日以内であるが、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、延長も可能である。
  • (※3)医療機関は、自施設で登録(発行)した処方箋に限り、現在どの薬局で受付中の状態にあるか確認することができる。

⑤ 医療機関は、電子処方箋管理サービスから、処方内容(控え)の電子ファイル(PDF)の提供を受ける。当該控えに「引換番号」が記載されている。

医療機関は、患者に処方内容(控え)を提供する。当該控えの手交方法は紙を想定しているが、患者が迅速にかつ簡便に確認できる方法であれば、具体的な手法は問わない。オンライン診療等により紙による手交が困難なときは、オンライン診療アプリケーション等を活用し、当該控えを画面上に表示させる等の対応を行う。

なお、「引換番号」は、薬局における処理の利便性を考慮し、二次元コードによる表示も行われる。

電子処方箋管理サービスでは、登録された電子処方箋の情報について、患者が電子的方法でも確認できるよう、マイナポータルへの連携が行える仕組みとしている。

  • (※1)処方内容(控え)については、患者においてマイナポータルで自身の処方内容を閲覧することが一定程度定着するまでの過渡的な措置として交付するものである。マイナポータルで処方内容を閲覧することができるなどの理由により、患者が処方内容(控え)を不要とする場合は、手交を要しない。
  • (※2)何らかの理由により画面に引換番号を表示することができない場合については、患者の同意が得られれば口頭等で処方内容を伝達し、あわせて口頭等で引換番号を伝達する方法によることも可能とする。

【薬局プロセス】

⑦ 患者は、薬局でオンライン資格確認を行い、顔認証付きカードリーダにおいて、処方・調剤情報の参照に関する個人同意を行う。

薬局は、オンライン資格確認により確認した個人ごとの被保険者番号・記号等をキーとして、電子処方箋管理サービスに当該患者に係る電子処方箋を要求する。なお、複数の処方箋が交付されている場合、当該薬局で調剤を希望する処方箋の選択については、患者が顔認証付きカードリーダにおいて選択したもの又は処方内容(控え)等で引換番号を伝達したものしか、薬局は要求できない仕組みとなっている。患者がマイナンバーカードの健康保険証利用をしていない場合は上記の対応が原則としてできないことから、個人ごとの被保険者記号・番号等及び引換番号により当該患者に係る電子処方箋を要求する。処方箋情報ごとに引換番号が付与されているため、処方箋ごとに要求操作を行う必要がある。その際、処方・調剤情報の参照に関する個人同意は顔認証付きカードリーダにおいてのみ取得できる運用としており、口頭等で同意取得したからといって参照できることにはならないことに留意する必要がある。

電子処方箋管理サービスは、電子処方箋を薬局に送信する

⑨ 薬局の薬剤師は、処方内容が適切であるか確認するために、処方・調剤情報の参照(同意が得られている場合)及び重複投薬又は併用禁忌の有無の確認(同意の有無にかかわらず可能)を実施する。処方・調剤情報の参照の同意が得られていない場合は、重複投薬又は併用禁忌の有無については、該当する医薬品の重複・禁忌という事象のみを表示するに留め、重複等の対象となった薬剤名称や医療機関・薬局の名称等は表示しない。ただし、重複投薬等チェック機能により、重複投薬又は併用禁忌が確認された場合であって、口頭等で同意を取得した場合には、重複投薬又は併用禁忌の要因となった薬剤に係る一部の情報を参照することができる。なお、その場合には、口頭等で同意を取得した旨について、電子薬歴等に記録すること。

  • (※1)重複投薬や併用禁忌の確認範囲については、服用期間の算定が可能な医薬品(例えば 14 日分処方された内服薬)については当該期間を、服用期間の算定が不可能な医薬品(例えば外用や頓服)については一律 14 日間を服用期間とし、服用期間内に重複投薬や併用禁忌に該当する医薬品が処方又は調剤されそうになった際に注意喚起が出る仕組みとする。
  • (※2)重複投薬は、同一成分同一投与経路に該当するか否かで判断し、併用禁忌は添付文書の相互作用欄で「併用禁忌」と定義されているもののみを該当とする。

⑩ 薬局の薬剤師は、受信した電子処方箋について、必要に応じて医師・歯科医師に対して処方内容に対する照会を行った上で、調剤し、患者に服薬指導の上、薬剤の交付を行う。

⑪ 薬局の薬剤師は、医師・歯科医師に確認した内容等の必要事項を含め、調剤結果を作成する。その際、調剤結果に医師に必ず伝えるべき情報が含まれているときは、当該情報に重要情報である旨のフラグを立てることができる。

⑫ 前述の調剤結果には、参照した電子処方箋や参照した処方箋データを含めること。

  • (※)電子処方箋管理サービスは、参照した電子処方箋が含まれる調剤結果を受信することで、当該処方箋が調剤済みになったと判断する。このため電子処方箋に基づき調剤する場合は、調剤結果を作成した薬剤師は、安全管理ガイドラインに基づき、電子署名を行い、電子処方箋管理サービスに送付する。電子処方箋管理サービスはタイムスタンプを付与した上で調剤結果を薬局に返却する。薬局では、当該調剤結果(参照した電子処方箋が含まれ、かつ、薬剤師が電子署名を行い、タイムスタンプが付与された調剤結果)を「調剤済み電子処方箋」として取り扱うこと

⑬ 薬局は、安全管理ガイドラインに基づき、調剤済み電子処方箋を、適切に管理・保存する。

  • (※)なお、今後、電子処方箋管理サービスにおいて「調剤済み電子処方箋」を管理・保存するサービスも提供する予定としている。

⑭ 医療機関は、薬局が電子処方箋管理サービスに登録した調剤結果を取得し、電子カルテ等に取り込んだ上で、次回の診察時等に参照することができる。

(2)紙の処方箋の場合の対応

患者の処方・調剤情報はできる限り完全なものとすることが望ましく、また、重複投薬や併用禁忌の確認に当たっても、登録されていない処方・調剤結果があれば効果は減少してしまうことから、紙の処方箋で対応する場合であっても、処方・調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録することが重要である。

(3)分割調剤への対応

薬局において、製剤の安定性の観点や後発品を試験的に調剤する観点などから、分割調剤が必要となるケースがある。このようなケースは、処方箋の交付後、薬局において判断されるものであるため、電子処方箋においてもこのようなケースに対応できるようにする必要がある。その一連の流れは以下のとおりとするが、医薬品の継続的な管理の観点から、処方箋が調剤済みとなるまで、原則、同一の薬局において対応するものとする。例えば、患者の引っ越し等のケースについてはオンライン服薬指導により同一薬局において対応することも可能である。

他方で、同一の薬局において対応することが患者の利便性の観点から困難な場合など、同一薬局において対応できない場合については、分割を指示した薬局に患者が連絡し、薬局側が保持している処方情報を電子処方箋管理サービスに戻し、他の薬局で継続調剤できるようにし、患者は引換番号等を用いて受付を行う。

① 薬局において当該患者に係る電子処方箋を要求し、電子処方箋管理サービスから電子処方箋を薬局で受信する。

② 薬局の薬剤師は、受信した電子処方箋について、分割調剤の必要性を判断する。

③ 必要に応じて医師・歯科医師に対して処方内容の照会を行う。

④ 患者に対して、分割調剤を行う旨を説明し、同意を得る。その際、同一薬局での対応となることを確認し、引っ越し等の予定がある場合にはその予定を踏まえた対応を検討する。

⑤ 調剤を行い、患者に服薬指導の上、薬剤の交付を行う。その際、次回の調剤の日時を案内し、電子処方箋の控えに手書きで次回日程を記載するなど備忘のための対応を行う。

⑥ 薬局の薬剤師は、調剤結果を作成し、電子処方箋管理サービスに送信する。この調剤結果に参照した電子処方箋を含めてはいけない。なお、調剤結果については薬局において引き継げるよう、レセプトコンピュータや薬歴システム等に記録しておく。なお、電子処方箋は調剤済みにせず、引き続き薬局において保管する。

⑦ 2回目以降の分割調剤の際には、保管している電子処方箋に基づき調剤を行い、⑤及び⑥を繰り返す。最後の調剤の際は、患者に対して調剤が完了した旨を伝えることに加え、薬局は調剤結果を電子処方箋管理サービスに送付する。

  • (※)電子処方箋管理サービスは、参照した電子処方箋が含まれる調剤結果を受信することで、当該処方箋が調剤済みになったと判断する。このため、電子処方箋に基づき分割調剤をする場合は、最後の調剤結果を作成した薬剤師は、安全管理ガイドラインに基づき、電子署名を行い、電子処方箋管理サービスに送付する。電子処方箋管理サービスはタイムスタンプを付与した上で調剤結果を薬局に返却する。薬局では、当該調剤結果(参照した電子処方箋が含まれ、かつ、薬剤師が電子署名を行い、タイムスタンプが付与された調剤結果)を「調剤済み電子処方箋」として取り扱うこと。

⑧ 薬局は、⑦の(※)に示す調剤結果を調剤済み電子処方箋とする場合や、そのほかの方法を用いて、自ら調剤済み電子処方箋を作成することが可能であるが、いずれの場合であっても、安全管理ガイドラインに基づき、調剤済み電子処方箋を、適切に管理・保管する。なお、医師の判断による分割調剤については、多様なケースを設定することによる混乱を避けるため、紙の運用とし、電子処方箋による運用は行わないこととしている。

(4)リフィル処方箋への対応

リフィル処方箋は、症状が安定している患者に対して、医師の処方により医師及び薬剤師の適切な連携の下で、一定期間内に処方箋を反復利用できる仕組みである。医療機関でリフィル処方箋としての電子処方箋を発行する場合には、医療機関のシステムが対応している必要があるが、発行に係るプロセスはリフィル処方箋ではない電子処方箋と概ね同様である。総使用回数を適切に選択の上、発行すること。薬局においても、リフィル処方箋としての電子処方箋を受け付ける場合には、薬局のシステムがこれに対応している必要がある。薬局でリフィル処方箋としての電子処方箋を受信し、調剤した際には、次回調剤予定日等(※)の必要な事項を記録の上、電子署名を付与した上で電子処方箋管理サービスに返送すること。ただし、総使用回数の最終調剤回においては、安全管理ガイドラインに基づき、調剤済み電子処方箋として保管すること。

(※)疑義照会等を経て、処方内容とは異なる薬剤を調剤した場合には、当該変更内容及び変更の理由を合わせて記録すること。 なお、リフィル処方箋により調剤を行うに当たっては、紙の処方箋を前提とした規定を除き、診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項等を適宜参照すること。

(5)患者への説明と理解を求める取組

医療機関・薬局では、患者に対して電子処方箋への理解を求めることが重要であり、電子処方箋管理サービスの運用に当たっては、患者に対し適切に電子処方箋の内容や利点等を説明できるよう、厚生労働省ホームページに掲載している説明用のリーフレット、国民・患者向けの動画等を適宜活用すること。また、医師、歯科医師や薬剤師等の医療従事者や医療機関・薬局の事務担当者は、厚生労働省が公表している医療機関・薬局向けの動画等を参照して電子処方箋の運用の理解を深めること。

患者が自由に調剤を受ける薬局を選択できるよう、厚生労働省において電子処方箋に対応した薬局をホームページに掲載しているため、適宜これを活用すること。また、厚生労働省から提供するポスターを待合室等に掲示するなどして、患者へのわかりやすい説明に努めること。

また、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号。以下「個人情報保護法」という。)との関係については、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第 64 号)第 12 条の2等に電子処方箋の情報の流れが規定されており、個人情報保護法第 27 条第1号の「法令に基づく場合」に該当するものとして個人データの第三者提供に際して本人の同意を得る必要は無い。

以上を踏まえ、患者の理解の程度に応じて、以下の点について、患者に補足的に説明する事が望ましい。

  • 電子処方箋の発行を選択した場合、電子処方箋対応の薬局に行く必要があること。
  • 紙の処方箋と同様、電子処方箋の使用期間以内に、薬局で調剤を受ける必要があること。
  • マイナンバーカードの健康保険証利用を行っていない患者については、薬局で調剤を受ける際、「引換番号」を伝達する必要があること。
  • 電子処方箋管理サービスに登録された電子処方箋の処方情報には、その処方箋を発行した医師・歯科医師と調剤を行う薬局以外はアクセスができない。ただし、トラブル及び障害発生時等には、そのトラブル対応のため支払基金又は国保中央会の職員が処方情報を閲覧する場合もあること。
  • 機器やネットワークのトラブル等で電子処方箋管理サービスが正常に機能しない場合、紙の処方箋に切り替えるなどの対応が必要となる可能性があること。
  • 医療機関・薬局での対応が不可能な場合には、医療機関で紙の処方箋を発行する場合もあること。
(6)電子処方箋管理サービスの実施機関の取組

電子処方箋管理サービスの運用は、何らかの不具合のために適切な調剤が実施できず、患者に必要な薬剤が交付されなければ、患者に不利益を及ぼす可能性もある。したがって、以下についての取組を適切に実施するとともに、これらの情報を開示することが必要である。

① システムの安全性の確保
支払基金及び国保中央会は、「オンライン資格確認等、レセプトのオンライン請求及び健康保険組合に対する社会保険手続きに係る電子申請システムに係るセキュリティに関するガイドライン」(厚生労働省)(以下「オンライン資格確認等に係るセキュリティに関するガイドライン」という。)を遵守して、システムの安全性を確保するための対応を行う。

② 相互運用性の確保
支払基金及び国保中央会は、患者の医療継続性の確保のために、電子処方箋管理サービスの導入促進に協力するとともに、医療機関・薬局・電子処方箋管理サービスの関係機関の相互運用性を確保しなければならない。このため、電子処方箋管理サービスで取り扱うことのできる電子処方箋の形式について、記録条件仕様書において明らかにし、常にこれを公開するものとする。

③ 電子処方箋の運用に関する問合せ対応の実施
支払基金及び国保中央会は、医療機関・薬局等からの問合せの対応の窓口を設置する。ホームページ等により情報提供するだけでなく、いわゆるコールセンターの設置等により、問合せ対応を実施する。

(7)ネットワーク回線のセキュリティ

電子処方箋の運用に当たっては、医師・歯科医師が作成した処方情報が、その情報を取得する薬局に、正しい内容で、覗き見されない方法で、提供される必要がある。このため、医療機関・薬局・電子処方箋管理サービス間のネットワーク回線のセキュリティは、オンライン資格確認等に係るセキュリティに関するガイドラインに従い、適切な対策を講じる必要がある。

(8)電子処方箋管理サービスの実施機関による施設等の認証体制

支払基金及び国保中央会において、電子処方箋管理サービスにアクセスした施設が医療機関・薬局であるかどうかを適切に認証する仕組みを考慮する。電子処方箋では、オンライン資格確認等システムの基盤を活用しており、認証については、オンライン資格確認等システムにて行うこととしている。

5 電子処方箋管理サービス停止等への対応

6 その他

医師法の改正

医師法及び歯科医師法では、医師等は患者等に処方箋を交付しなければならないとされているため、医師等が社会保険診療報酬支払基金等に電子処方箋を提供した場合は、患者等に対して処方箋を交付したものとみなす規定を設ける。

第二十二条

1 略

2 医師は、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)第十二条の二第一項の規定により処方箋を提供した場合は、前項の患者又は現にその看護に当たつている者に対して処方箋を交付したものとみなす。

地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律

電子処方箋に係る社会保険診療報酬支払基金等の業務(電子処方箋管理業務)として、患者が電子処方箋の内容を閲覧することができるようにするとともに、患者等の求めに応じて、薬局に対して電子処方箋を提供する等の規定を設けた(社会保険診療報酬支払基金は特別民間法人であり、業務内容を法定する必要がある。)。あわせて、電子処方箋管理業務に係る医療保険者等の費用負担に係る規定等を整備する。

電子処方箋に含まれる個人情報の第三者提供や要配慮個人情報の取得について、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律において、電子処方箋を、医師等が社会保険診療報酬支払基金等に提供し、社会保険診療報酬支払基金等は当該提供を受けた電子処方箋を薬局に提供すること等を規定することで、患者の本人同意を都度取得せずとも、医師等や薬剤師等の限定された関係者間における情報共有を可能とする。

医療機関及び薬局について、電子処方箋管理業務が円滑に実施されるよう、連携協力に係る規定を設ける。

第十二条のニ

1 略

2 前項の規定により処方箋の提供を受けた支払基金又は連合会は、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者が電磁的方法により当該処方箋に記録された情報を閲覧することができるようにするとともに、当該患者又は現にその看護に当たっている者の求めに応じて、調剤を実施する薬局に対し当該処方箋を電磁的方法により提供しなければならない。

3 薬剤師は、前項の規定により提供された処方箋により調剤したときその他厚生労働省令で定めるときは、支払基金又は連合会に対し、薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第二十六条に規定する事項その他厚生労働省令で定める事項を含む情報を、厚生労働省令で定めるところにより、電磁的方法により提供することができる。

4~6 略

7 薬剤師は、調剤を行うに当たり、厚生労働省令で定めるところにより、支払基金又は連合会に対し、患者の生命又は身体の保護のために必要な情報として厚生労働省令で定める情報の提供を求めることができる。

Q&A

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記事No2853 題名:Re:のへたけ様 投稿者:管理人tera 投稿日:2024-10-15 13:12:06

トレーシングレポートの電子化がどこまで進んでいるかを把握できておらず、現時点では回答できないです。
外部のサービスでそういうものがあるみたいですが、細かいことあ外部のサービスに聞かないとわからないです・・・。
服薬情報等提供文書の電子フォーマットもなさそうですし、今のところ、外部サービスを利用せずに電子トレーシングレポートを利用することは出来なさそうですかね・・・。
タイムスタンプ云々は、オンライン資格確認等コールセンターで確認した方が早いかとは思います。


記事No2852 題名:トレーシングレポートへの電子署名 投稿者:のへたけ 投稿日:2024-10-15 12:50:43

トレーシングレポート(施設間情報提供箋)の電子署名、タイムスタンプは、現時点(2024年10月)どのようになされているのでしょうか?


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