不整脈の原因

大本の原因はなんであれ、不整脈を形成するのに必要な要素としては、異常自動能、トリガーアクティビティ、リエントリーの3つがある。

異常自動能

洞結節、房室結節以外は内向き整流K+電流:I(K1)が常に開口していて静止膜電位-90mVを決定しているが、何らかの原因で障害を受けたり、低カリウム血症があると膜電位が浅くなる(-90mV→-60mVのように)。

静止膜電位が浅くなるとNaチャネルが不活性化されるので、L型Caチャネルが活性化されやすく、少しの電流で活性化して活動電位を生じる。QT延長症候群の原因となる。

静止膜電位を上昇させる虚血時、ジギタリス、低カリウム血症は、Na/Ca交換系とともにL型Caチャネルを活性化せやすく、ジギタリスはDADを生じ、虚血時はNaチャネル遮断薬の中でプラトー相に作用するⅠb群が効果ある。

トリガー活動

トリガー活動とは心筋において活動電位が発生したことが引き金となり、引き続き細胞膜が脱分極して興奮を生じる現象を指す。

細胞膜電位の自発的脱分極は活動電位の再分極の途中(活動電位第2~3相)、または再分極の終了直後(活動電位第4相)に出現して、後脱分極と呼ばれる。この電位の振幅が増大し閾値電位に達すると,新たな興奮波(撃発活動)が形成される。

後脱分極には,活動電位の第2~3相から生じる早期後脱分極(earlyafterdepolarization : EAD)遅延後脱分極(delayedafterdepolarization: DAD)の2種類がある。[Ca2+]iの上昇によって誘発されるものはDADである。

  • 早期後脱分極(EAD)・・・QT、APDの延長が原因、浅い膜電位が長い間維持されると、Ca2+電流が不活性化から回復して新たな活動電位を発生する。
    心内膜外のプルキンエ細胞のEADがトリガー活動。トルサドポアン誘発のトリガーはPVCのRonT。 I(K)、I(Na)など遺伝子異常(QT延長、徐脈、抗不整脈薬)などでAPD延長の時
  • 遅延後脱分極(DAD)・・・細胞内Ca2+増加による膜電位の振動。
    細胞内Ca2+濃度の異常増加が原因。筋小胞体からのCa2+遊離増加→Na/Ca交換系による内向き電流(I(TI)=Na流入による)→内向き電流が膜電位を脱分極させる(DAD)。さらにNaチャネル、Caチャネルの活性化を引き起こせば新たな活動電位が発生する→DADの繰り返し。ジキタリス、カテコラミン、虚血など細胞内Ca2+増加にて。

リエントリー

一定の電気回路を興奮が回り続ける。条件として、リエントリー回路、不均一な興奮伝導特性によって生じる、一方向性ブロック及び緩徐伝導。伝導遅延と不応期の延長で。

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