片頭痛の薬一覧

片頭痛治療薬

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
トリプタン系 スマトリプタン イミグラン 規格:錠50㎎、注、キット、点鼻液
適応:片頭痛、【注射のみ】群発頭痛
ゾルミトリプタン ゾーミッグ
ゾーミッグRM
規格:錠2.5mg、口腔内速溶錠2.5mg(RM)、粉砕×
適応:片頭痛
エレトリプタン レルパックス 規格:錠20㎎
適応:片頭痛
リザトリプタン マクサルト
マクサルトRPD
規格:錠10㎎、口腔内崩壊錠10㎎(RPD)、粉砕×
適応:片頭痛
ナラトリプタン アマージ 規格:錠2.5mg
適応:片頭痛
エルゴタミン製剤 エルゴタミン・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン クリアミンA
クリアミンS
規格:錠(エルゴタミン1㎎、無水カフェイン50㎎、イソプロピルアンチピリン300mg)、Sは1/2量
適応:血管性頭痛、片頭痛、緊張性頭痛
キサンチン製剤 安息香酸ナトリウムカフェイン アンナカ 規格:末、注10%、薬物乱用注意
適応:【内服】カフェインと同じ
カフェイン カフェイン 規格:末
適応:眠気、倦怠感、血管拡張性・脳圧亢進性頭痛(片頭痛、高血圧性頭痛、カフェイン禁断性頭痛)

片頭痛予防薬

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
ヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体 エレヌマブ アイモビーグ 規格:皮下注
ガルカネズマブ エムガルティ 規格:皮下注
フレマネズマブ アジョビ 規格:皮下注
抗ヒスタミン/抗セロトニン ジメトチアジン ミグリステン 規格:錠20㎎、粉砕×
適応:片頭痛、緊張性頭痛
CGRP受容体拮抗薬 ロメリジン ミグシス 規格:錠5㎎、粉砕〇
適応:片頭痛
その他 アミトリプチリン
バルプロ酸
プロプラノロール
トリプタノール
セレニカ
インデラル
適応外

片頭痛予防薬は効果が出るまで数か月を要する。

適応があるのはCGPRモノクローナル抗体とロメリジンのみで他は適応外。

セロトニン作動薬

血管平滑筋5-HT1Bに作用することで頭蓋内血管を収縮させる。三叉神経5-HT1Dに作用することで、血管作動性神経ペプチドの放出を抑制する。

5-HT1D/1B/1Fを介して脳幹(三叉神経核やPAGなど)における侵害受容の抑制。以上により片頭痛を緩和させる。

トリプタン系薬剤は、追加投与の際は、2時間以上あけて投与(アマージは4時間以上、レイボーは24時間以内で200㎎を超えなければOK)する。

トリプタン系薬剤はセロトニンの誘導体であり、スマトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタンの3種はMAOにて代謝され、エレトリプタンはCyp3A4で代謝される。

塩酸プロプラノロールは片頭痛に対する予防効果があり、適応外であるが、併用禁忌の安息香酸リザトリプタンには注意を要する。

スマトリプタンは脂溶性が低く、血液脳関門を通過しませんが、それ以外は通過する。

共通の副作用は、悪心・嘔吐が最も多く。ついで動悸や絞めつけ、痛み、めまい等が大体は共通している。

  • イミグラン(スマトリプタン)・・・選択的5-HT1B、5-HT1D作動薬。5-HT2や5-HT3や他受容体にはほとんど親和性を示さない。1日最大4錠まで(点鼻は2個まで)。追加投与2時間以上。点鼻や注射があるのが特徴で、内服はTmax1.8~2.5時間だが効果は30分くらいで出てくる。点鼻のTmaxはマクサルトRPDと同じ1.3時間であり、15分くらいで効果が出てくる、のどに落ちないように。海外用量の半分。
  • ゾーミッグ(ゾルミトリプタン)・・・選択的5-HT1B、5-HT1D作動薬。RMはオレンジ香味の口腔内速溶錠。1日最大4錠までだが、1回に2錠服用も可能。追加投与2時間以上。Tmaxは1~4時間。半減期も3時間近くあり比較的長めに効く。
  • レルパックス(エレトリプタン)・・・選択的5-HT1B、5-HT1D作動薬。半減期が20㎎で約3.2時間と長め。1日最大2錠までだが、1回に2錠服用も可能。追加投与2時間以上。20㎎は海外用量の半分でありややマイルド。CYP3A4を主代謝酵素とし、マクロライド、イトラコナゾール、GFJなどとの相互作用が問題となる。
  • マクサルト(リザトリプタン)・・・選択的5-HT1B、5-HT1D作動薬。RPDはミント味の口腔内崩壊錠。Tmaxが1~1.3時間と最も即効性があるがその分半減期も短い。1日最大2錠まで。追加投与は2時間以上あける。なぜかこれだけ傾眠の副作用の発現率が7.7%と高い。
  • アマージ(ナラトリプタン)・・・選択的5-HT1B、5-HT1D作動薬。Tmax2.7時間、半減期5~6時間と即効性はやや低いが最も長く効く。1日最大2錠まで。追加投与は4時間以上あける。
  • レイボー(ラスミジタン)・・・選択的5-HT1F作動薬。トリプタン系薬剤との同時併用は禁忌ではないが、上乗せ効果は検討されていない。

エルゴタミン製剤

エルゴタミンは麦角アルカロイドの一種です。麦角アルカロイドは、クラビセップス属の菌類が生成する一群の化合物で、エルゴタミンはその中でも特によく知られているものの一つです。

これらのアルカロイドは、神経伝達物質のアナログとして機能し、特にセロトニン、ドーパミン、アドレナリン受容体に作用します。

片頭痛における血管収縮作用はセロトニン受容体(5-HT1Bや5-HT1D)の刺激作用がかかわり、D2受容体や5-HT1Aへの作用が悪心・嘔吐や傾眠の副作用を発現させる。

メカニズムが同じなのでトリプタン系との併用は24時間以上の間隔をあける必要がある。

子宮収縮を促進して子宮出血を予防する作用もある。

いくつかの研究ではエルゴタミンには脳内の炎症を減少させる作用があることが示唆されている。

無水カフェインは脳血流を減少させ脳圧を低下および、エルゴタミンの腸管吸収を助ける。

  • カフェルゴット(エルゴタミン+無水カフェイン)
  • クリアミンA、クリアミンS(エルゴタミン・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン)

NSAIDs

鎮痛剤(痛み止め)参照。

トリプタンとの同時服用は可能。

ヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体製剤

片頭痛予防薬。三叉神経終末から放出されている神経ペプチドの抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的に結合し、CGRPの生理活性を阻害する抗CGRPモノクローナル抗体のガルカネズマブと、CGRP受容体を特異的に阻害して受容体シグナルの伝達を阻害する抗CGRP受容体モノクローナル抗体のエレヌマブやフレマネズマブがある。

これらの薬は全て自己注可能で腹部、上腕、大腿へ使用する。

薬価が高額で、1本あたり4万5000円弱、これを初回は2本、翌月からは1本/月使用するので、3割負担で1万円を超える負担となってしまうことがきついところ。

  • アイモビーグ皮下注(エレヌマブ)・・・片頭痛発作の発症抑制が適応。成人は4週間に1回皮下投与。ペン型
  • エムガルティ皮下注(ガルカネズマブ)・・・1か月に1回、オートインジェクター
  • アジョビ皮下注(フレマネズマブ)・・・4週間に1回または12週間に1回の2つの投与方法が可能。オートインジェクター。

その他

  • テラナス、ミグシス(ロメリジン)・・・CGRPの受容体に結合し、その活動を阻害
  • トリプタノール(アミトリプチリン) ・・・適応外。低用量での使用が片頭痛の予防治療に効果的。セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害、神経細胞の興奮性を減少、長期間にわたるアミトリプチリンの使用は、痛みに対する感受性の閾値を変化させる可能性がある。
  • セレニカ(バルプロ酸Na)・・・適応外。GABAトランスアミナーゼを抑制作用にてGABA(γ-アミノ酪酸)を増加させ、神経の過剰な興奮を抑制したり、神経細胞の膜安定化による過剰な興奮の抑制、炎症反応の調節、セロトニン神経への作用等が知られている。
  • インデラル(プロプラノロール)・・・適応外。β遮断薬であるが、過剰な血管拡張を抑制したり、NE等の神経伝達物質を遮断して神経系の興奮を抑制、またセロトニン神経系にも影響を与えて片頭痛の予防に関与するといわれる。マクサルトと併用禁忌。

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