LPSについて
LPS(lipopolysaccharide:リポポリサッカライド)はグラム陰性菌細胞壁の外膜の構成成分のひとつ (くわしくは細胞小器官の細胞壁の部分参照)で、そのシグナル伝達はToll-like-receptor(主にTLR2、4)を介して行われる。
TLRに結合したLPSは、最終的にNF-κBを活性化して種々の転写因子を誘導し、Th1型の免疫反応を進行させる。
このLPSによるシグナル伝達は、いくらかの栄養素によっても調節されているということで、下記にその概要を述べる。
LPSと食物
◇含硫アミノ酸
含硫アミノ酸(Sを含む)のシステインとメチオニンは、免疫・炎症反応に関与する急性期タンパク質や免疫グロブリンの産生に比較的大量に必要である。
LPSに対する応答調節はというと、システインとメチオニンで差異が見られ、システインの方がメチオニンに比べてLPSによる反応を高める。
また、リンパ球の増殖反応に対してもシステインの方がメチオニンよりも増殖反応を高めるなど、システインのほうがメチオニンに比して免疫反応を高める効果は高い。
通常は、システイン量が足りなくなった場合、図のように、メチオニンからシステインが作られることで補足されるが、感染などのストレスが負荷された条件においてはシステインの量が不足し、専ら食品中のシステインに依存することとなる。
医薬品のハイチオール(システイン)やピドキサール(ビタミンB6)はニキビ等に使用されるが、これは細菌感染により不足しているシステインを補うためである。
また、神経関連疾患によく処方されるメチコバール(ビタミンB12)はホモシステインからメチオニンを作る際の補酵素として働く。
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