アトピーと食物
サバ、イカなどの魚介類やソバ、椎茸などのアクの強いものはヒスチジンなどのヒスタミンやコリンなどの直接的起痒物質を含む食物であり、 魚介類の大半、卵白、トマト、イチゴ、チョコレート等はヒスタミン遊離物質を含む食物であるので摂取や取り扱いには注意する。
核酸成分の影響
食物の核酸成分(ヌクレオチドなど)は、細胞表面のToll-like-receptorを介して認識され、マクロファージのIL-12産生能を上昇させて、ヘルパーT細胞のバランスをTh1優位にすると共に、 腸管上皮細胞にも作用して、TGF-β産生やIELのTCRγδ陽性T細胞のサブセットの割合を上昇させて、腸管のIgA産生を促進する。
核酸によるTh1/Th2バランスの是正(Th1の活性化)は、母乳栄養で育つ新生児にとって非常に重要である。
というのは、母乳には核酸成分がを10~70mg/100ml含まれていて、新生児の成長だけでなく、感染防御、免疫賦活作用にも影響を及ぼすためで、母乳の核酸含有量は牛乳やミルクに比して多い ために可能な限り母乳を与えるべきである。
成人に関しては、ヌクレオチドや核酸は体内で合成されるため、成人がヌクレオチドや核酸を+αとして摂取する必要はない。ビールの飲みすぎで代表されるように、 痛風の危険性が増す場合もある。
アトピーと食事制限
厳しい食事制限では、好中球の接着分子であるCD11b/CD18発現低下、好中球ケモカインIL-8のホモログMIP-2の低下や、マクロファージの貪食能低下などにより炎症局所での貪食作用が障害される。
具体的には、以下の3つの実験からも、貪食細胞のチロシンリン酸化、ERK活性、NF-κB活性に異常が生じて炎症の遅延化が起こると言える。
・自由摂取群では腹腔内常在マクロファージのチロシンリン酸化はfMLP(N-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine)や LPS(リポポリサッカライド)による刺激で有意に増加したが、食事制限下では増加しなかった。・好中球のERK活性はfMLP刺激時に自由摂取群では増加するが、食事制限群では増加しなかった。
・自由摂取群ではTNF-α刺激によってマクロファージのNF-κB活性は増加したが食事制限群では抑制されていた。
このような低栄養状態での生体防御能の低下は、アレルギーを抑制するのみならず、感染症へのリスクも増加するため注意を要する。
ただし、低栄養状態での免疫細胞活性の抑制は、わずか1日間の食事自由摂取によって消失するという。
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