統合失調症の薬

D2受容体遮断作用やD1活性化を示して陽性症状(D2活性が関与:妄想、幻覚、幻聴)と陰性症状(D1抑制が関与:自閉、意識の欠如)を改善する薬が中心となる。

D2は視床の興奮→大脳運動野興奮になるので、それを抑制するとパーキンソン病になる。帯状回の抑制性細胞の活性化による前頭葉の不活性化→自発的な情意行動抑制(陰性症状)。

ストレスを受けるとA10からの中脳皮質路が活性化し、D1を介した前頭前野の抑制(陰性症状)が起こる。

大脳辺縁系(扁桃体、海馬)の抑制による意欲の低下。

統合失調症について

統合失調症の病態については別ページ参照。

セロトニンノルアドレナリンドパミンアセチルコリンについては別ページ参照。

定型型 SDA MARTA※1 DPA
D1活性化
(認知・陰性症状改善)
- -
D2遮断
(陽性症状改善)
○or×
D3遮断
(意欲回復)
- ×
α1遮断
(低血圧)
-
α2遮断
(抗鬱・鎮痛)
- - -
H1遮断
(睡眠・食欲改善)
- -
M1/3遮断
(口渇・便秘・尿閉)
- -
5-HT1A刺激
(抗不安)
- - -
5-HT2A遮断
(睡眠・鎮静)
-
5-HT2C遮断
(睡眠・食欲改善)
- -

※1 クエチアピン、オランザピン

※セロトニン×ドパミン、ドパミン×アセチルコリンは拮抗する。NAはセロトニン分泌を促進し、セロトニンはGABA神経を介してNA分泌を抑制する。

※D1活性化は5HT2A遮断作用による二次的な活性化。5HT2A遮断作用により、前頭葉のD1が活性化して陰性症状が改善されるとともに、D2を活性化してD2遮断の副作用であるEPSを軽減する。

※D1受容体は前頭前野に多い。D2受容体は基底核(A9)以外にもA10(腹側被蓋野)、A12(弓状核)、帯状回らに存在し、特にA10遮断効果が陽性症状改善に効果を示すが、帯状回のD2遮断は前頭葉の抑制と連動され陰性症状の副作用を、基底核のD2遮断はEPSを、A12のD2遮断はプロラクチン分泌促進作用を発現させる。

※D3受容体は主として側坐核等の大脳辺縁系に存在していてドパミンの放出を抑制する。この受容体の遮断はドパミン分泌を高めて前頭葉の認知・陰性症状を改善する(少量投与限定)。

フェノチアジン系抗精神病薬

D2受容体遮断作用以外に、抗コリン作用(M作用)や抗α1作用、H1遮断作用もあり、鎮静作用と睡眠作用が強い反面、副作用としてEPSが出やすい薬剤。

その鎮静作用の強さから、統合失調症に用いるより、他の様々な精神疾患における不安、緊張、衝動性などに用いることが多い。

  • ウインタミン、コントミン(クロルプロマジン)
  • ヒルナミン、レボトミン(レボメプロマジン)
  • フルメジン、フルデカシン(フルフェナジン)
  • ピーゼットシー、トリラホン(ペルフェナジン)
  • ノバミン(プロクロルペラジン)
  • トリフロペラジン(マレイン酸トリフロペラジン)
  • メレリル(チオリダジン)
  • ニューレプチル(プロペリシアジン)

ブチロフェノン系抗精神病薬

D2遮断作用。幻覚妄想に対する作用が強く鎮静作用が弱い。躁病やせん妄にも用いる。抗コリン作用、抗α1作用は弱いが錐体外路症状が強いので用量には注意を要する。

  • セレネース(ハロペリドール)
  • ハロマンス、ネオペリドール(デカン酸ハロペリドール)
  • イソプロメン(ブロムペリドール)
  • プロピタン(フロロピパミド)
  • スピロピタン(スピペロン)
  • ルバトレン(モペロン)
  • トロペロン(チミペロン)

ベンザミド系抗精神病薬

D2受容体遮断作用が強いものもあり、パーキンソン病には注意して用いる。

  • バルネチール(スルトプリド)
  • エミレース(ネモナプリド)
  • ドグマチール、アビリット、ミラドール(スルピリド)・・・低用量は胃粘膜迷走神経末端のD2受容体遮断作用による胃腸運動促進作用。高用量は脳内D2受容体(A9/A10/A12/帯状回他)の阻害による陽性症状改善作用。用量のせい?か効率にEPSやPR促進のSEが発現。
  • グラマリール(チアプリド)

セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)

ドパミンとアセチルコリンのように、セロトニンとドパミンが拮抗する(シーソー関係)ことを利用し、セロトニン(5-HT2)を遮断することで黒質-線条体系のドパミンをさほど遮断せず、抗精神病効果を示す。

背側縫線核の5HT2A受容体にSDAが作用(遮断)すると、黒質線条体でセロトニンに抑制されていたドパミンが放出される→EPSの軽減。

SDAはD2遮断作用、5HT2遮断作用、α2遮断作用がある。

D2遮断作用は、A10経路のドパミン神経を抑制し、海馬や扁桃体の興奮を抑制し、不安、恐怖、妄想、幻聴などの陽性症状を抑制する。

→基底核A9のD2を遮断することは錐体外路のSEを発生させる危険があるが、A9の5HT2遮断作用がD2を活性化(抑制の抑制)で副作用を軽減する。

D3遮断作用は、帯状回でドパミン放出を促進し、意欲に関与するD2受容体を活性化して、意欲を回復する。ただし、この作用は少量投与に限定される。

5HT2遮断作用は、(※NAを活性化するのは抗うつ薬のNassa)D1を活性化して前頭葉の認知障害、陰性症状を改善する。A10から側坐核へのD1が前頭葉の認知と運動機能に関わっている。

α2遮断作用は、前頭葉におけるNA神経の働きを高め、前頭葉機能を適切化し、認知、陰性症状を改善する。

  • リスパダール(リスペリドン)
  • ルーラン(ペロスピロン)
  • インヴェガ(パリペリドン)
  • ゼプリオン(パリペリドンパルミチン酸エステル)・・・4週間に1回投与可能な注射製剤

多受容体作用抗精神病薬(MARTA)

多受容体作用抗精神病薬(MARTA:multi-acting receptor targeted antipsychotics)は、ドパミン(D1、D2、D3、D4、D5)、セロトニン5-HT1A、5-HT2A,2B,2C、5-HT3、5-HT6、5HT7、α1,α2-アドレナリン及びヒスタミンH1,H2受容体にらに親和性を示す薬物。ムスカリン(M1、M2、M3、M4、M5)受容体への親和性は弱い。

MARTAは、これらの受容体に対し拮抗薬として働くため、抗ヒスタミン薬や抗コリン薬の眠気・口渇等の副作用が出ることがある。

SDA同様に5HT2A遮断によるドパミンの活性化。H1、M、α1受容体も遮断する。

H1遮断は覚醒↓→鎮静作用

A9よりもどちらかと言えばA10に選択的に作用する。

前頭前野の5HT2A受容体遮断→ドパミンD1、D2の賦活、5HT2C受容体遮断によるDA、NA増加作用。5HT2A遮断が睡眠障害を改善、5HT2CとH1遮断が食欲亢進に役立つ。

  • セロクエル(クエチアピン)・・・過鎮静、起立性低血圧、体重増加がよく見られる。糖尿病の患者、糖尿病の既往のある患者には禁忌。5HT2A遮断>>D2遮断、抗コリン作用はほとんどない(下図)。
  • ジプレキサ、ジプレキサザイディス(オランザピン)・・・過鎮静と体重増加が最もよく見られる。糖尿病の患者、糖尿病の既往のある患者には禁忌。

クエチアピンやオランザピンは、ドパミンD2タイプ(D2、D3、D4)、セロトニン5-HT2A,2B,2C、5-HT6、α1-アドレナリン及びヒスタミンH1受容体に高い親和性を示すが、ドパミンD1タイプ(D1、D5)やセロトニン5-HT3受容体へはやや低い親和性で結合する、またムスカリン(M1、M2、M3、M4、M5)受容体への親和性は弱い。

  • シクレスト舌下錠(アセナピン)・・・セロトニン受容体の幅広いサブタイプ(5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、5-HT6、5-HT7)に加え、ドパミン受容体(D1、D2、D3)、アドレナリン受容体(α1A、α2A、α2B、α2C)及びヒスタミン受容体(H1、H2)に対して高い親和性(5-HT1Aのみ刺激作用、他拮抗作用)を示す。一方で、ムスカリン受容体及びβ受容体への親和性(拮抗作用)は低い。
    5-HT2A受容体拮抗作用は陰性症状や認知機能障害の改善並びに錐体外路障害と高プロラクチン血症の軽減に、5-HT1A受容体刺激作用は、陰性症状、認知機能及びうつ・不安症状改善効果に加え、錐体外路障害の軽減に、5-HT2C受容体拮抗作用は抗不安作用、5-HT6及び5-HT7受容体拮抗作用は認知機能改善効果に各々寄与する

ドパミン部分作動薬(DPA)

鎮静効果が弱く、不眠や胃腸症状が初期に出現しやすい。EPS、糖、脂質代謝異常という副作用はほとんどない。

ドパミンが過剰な状態では拮抗薬として働き、ドパミンが減少すると、部分アゴニストとして作用する。

  • エビリファイ(アリピプラゾール)・・・D2受容体部分アゴニスト作用、D3受容体部分アゴニスト作用、5HT1A受容体部分アゴニスト作用、5HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ。

α2遮断薬

前頭葉の覚醒状態の増幅による認知障害、陰性症状を改善

その他

  • オーラップ(ピモジド)
  • クロフェクトン(クロカプラミン)
  • デフェクトン(カルピプラミン)
  • クレミン(モサプラミン)
  • ホーリット(オキシペルチン)
  • ロドピン(ゾテピン)

参考文献:各薬剤インタビューフォーム

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