パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の初期治療の目標は、現在の運動障害を最小限に抑えると同時に、将来に起こりえる不随意運動のジスキネジアや症状の日内変動を抑えることにある。

発症早期では薬物療法の対象となります。日常生活に支障があった場合のみ治療開始となり、症状によっては2種を併用します。

非高齢者かつ認知症なしの場合は、ドパミンアゴニストで治療開始、高齢者かつ認知症ありの場合は、L-ドパ合剤で治療を開始することが勧められている。

これらの治療で運動症状の改善が不十分な場合には、それぞれL-ドパ合剤、ドパミン作動薬を追加するが、増量による副作用が強く出た場合は、他の機序の薬を追加する。治療初期の吐き気は通常1か月程度で収まるのでその間はドンペリドン等で対処する。

進行期パーキンソン病では、L-ドパの運動症状に対する薬効時間が短縮し、服用後数時間すると薬効が切れるといったwearing-off現象を伴うこともしばしばであるため、L-ドパの運動症状改善に必要な血中濃度を維持するために、MAO-B阻害薬などを追加したり、投与回数を増やす等の工夫が必要である。

こうした調整により薬剤の血中濃度が高くなった時に、自分の意志に反して手足などが勝手に動く症状(不随意運動:ジスキネジア)や悪心・嘔吐、幻覚・妄想が起こることが有ります。

Wearing Off L-ドパの薬効時間が短縮し、L-ドパ服用後数時間経過するとL-ドパの効果が消退する現象。 直訳すると、「消耗して切れる」という意味。
Wearring offが生じた場合、レボドパにMAOB阻害薬を追加し、その後レボドパの少量頻回投与に切り替える。
On-Off L-ドパの服用時間に関係なく症状がよくなったり悪くなったりする現象 「電源スイッチがオン・オフしたように」突然パーキンソニズムが変動する。
No-on L-ドパを服用しても効果発現が見られない現象
Delayed-on 効果発現に時間を要する現象
ジスキネジア レボドパを長期投与していると、ドパミンの貯蔵機能がなくなってきて、ドパミンが枯渇することがあるため起こる。手足が動き体がゆらゆら揺れる。ジスキネジアの震えは4主徴の振戦とは異なる。
ジスキネジアを生じた場合はレボドパを減量してDA受容体作動薬を追加する。

薬の服薬以外の治療としては、

  • リハビリ・・・オフの時には動くことなど到底できないので、ONの時に行う。基本はウォーキング。ボクササイズも人気。
  • Lドパ持続経腸療法(LCIG)・・・胃瘻を増設し、小腸に直接レボドパ(デュオドーパ配合経腸用液)を持続的に注入する方法で、胃のpHに左右される内服のように高タンパク食などによる吸収低下や効果のムラを除外でき、レボドパの効果が安定する。ポンプ+薬剤+カセット(500g程度)を持ち歩かなければならないが、24時間ではなく活動している時のみでよい。

    (図:順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科HPより引用)
  • 脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation, DBS)・・・特定の脳の深部にある視床下核に電極を、そこから延長用のリードを伸ばしてパルス発生器につなげて、それを胸に埋め込み、患者用のプログラマー端末を用いて刺激のON/OFFを入れ替えることで、様々な神経系疾患の症状を軽減する。侵襲的治療法であるためジスキネジアなどによる運動障害(振戦・無動・固縮であり便秘などには効果はない)が薬物治療だけではコントロールできない場合にのみ使用。
    保険適用されておりますが、20~30万の費用は掛かります。
    • 手術:患者の頭蓋骨に小さな穴を開け、脳の特定の部位に電極を正確に配置します。この電極は通常、MRIやCTスキャンなどの画像診断技術を用いて位置決めされます。
    • 刺激装置の設置:電極は胸部に埋め込まれた刺激装置(パルスジェネレーター)に接続され、この装置から電気刺激が脳に送られます。
    • 調節:手術後、医師は刺激の強度やパターンを調整し、患者の症状に最適な設定を見つけます。

などがある。

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