パーキンソン病の原因と症状

パーキンソン病は何らかの原因(脂肪のストレスや損傷が原因と考えられている)で、αシスクレインというタンパク質が異常に脳細胞内に集積しレビー小体と呼ばれる封入体を形成し、それにより中脳の黒質の神経細胞が変性・死滅し、ドパミンの産生が低下する。

ドパミンの低下は線条体へのドパミン入力の低下を招き、直接路(淡蒼球内節ニューロンの活性化→視床の抑制)と間接路(淡蒼球外節の抑制→視床下核の活性化→淡蒼球内節ニューロンの活性化→視床の抑制)を経て大脳皮質の運動野の活動を低下させ、振戦、固縮、無動、および姿勢反射障害を生じる。

(詳しくは大脳基底核参照)

図のように、運動障害を引き起こさないためには、淡蒼球内節ニューロンを活性化させないことが必要で、これには直接路で線条体GABAニューロンが活性化か、間接路で線条体GABAニューロンが抑制されている必要がある。

間接路でGABAニューロンを抑制するためには、抑制性の介在性ニューロンであるコリン作動性神経が抑制されている必要があり、これを抑制するのがD2受容体を介したドパミンによる刺激であったり、抗コリン薬である。

黒質、線条体を経て脊髄前角へ投射する系は、錐体外路系と呼ばれ、筋の緊張の維持と不随意運動の調節に大きくかかわっています。

これらの機序により引き起こされる中核的運動症状(振戦、筋固縮、無動、および姿勢反射障害)は、4主徴と呼ばれている。

(William R. Gowersのパーキンソン病患者の臨床像。Wikiより引用)
  • 振戦・・・主に手や足、あごに起こる震えで左右どちらかが強い。
    安静時振戦はパーキンソン病に特徴的な症状で、字を書く動作などでは止まるが、お金を払おうとして財布をもったりすると手が振るえる。
    安静時とは、心身ともにリラックスしている状態ではなく、精神的に緊張していて体だけが止まっている場合などを指す。
    安静時ではない本態性振戦にはアロチノロール等の交感神経抑制薬が使用される。
  • 固縮・・・筋の緊張が強くなり手足の動きがぎこちなくなる(歯車現象)
    筋固縮は、特に手関節や肘関節を屈折させたときにカクカクとなる歯車様固縮が特徴的であるが外観からはわからない。
  • 無動・・・動作が遅く、鈍くなる。声が小さい、字が小さくなる、顔の表情が乏しくなる等。
    無動は、受付など呼び出してからカウンターに来るまでが遅い、呼び出しに対する返事の声が小さくて効きづらいなどから判断される。
  • 姿勢反射障害・・・体のバランスがとりにくくなるため、転びやすくなる。前かがみの姿勢。

また、ドパミンの低下により、アセチルコリンの作用が相対的に優位となり、4主徴が助長される。

4主徴以外の症状

ドパミンの量が低下するため、ドパミンから作られるノルエピネフリンも同時に低下し、すくみ足(足を地面から十分持ち上げることができず小刻みで早い歩幅で歩く)が見られるのも特徴です。

レビー小体型認知症(DLB)とパーキンソン病ではレビー小体の蓄積が原因という点では共通しており、認知が強いとレビー小体型認知症、運動障害が強いとパーキンソン病という形になっている。

そのため、DLBの示唆的特徴である

  • レム睡眠行動異常症・・・体は休んでいるのに脳が休んでいない状態。夢を見るのはこの時だが夢を見るときのようにじっとしておらず、大声で叫んだり、起き上がったりといった行動を引き起こすことがある。
  • 大脳基底核でのドパミントランスポーター取り込み低下
  • 自律神経・感覚神経障害(便秘(8割に合併)、排尿障害、嚥下障害、嗅覚障害、起立性低血圧)
  • うつ
  • 幻覚

等の非運動症状は運動症状を主体とするパーキンソン病発症の目安となる。

うつや消化器障害、睡眠障害はセロトニンの不足の時の症状と同じであり、ドパミン神経の変性がセロトニン神経にも影響していると考えられる。(パーキンソン病患者ではガムを噛むことで症状が緩和されるという方もいる)

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