痛風・高尿酸血症の原因
まず痛風は、尿酸(いわゆる鳥の糞、車の窓ガラスによく落とされる白いあれです)が、色々な原因により血中に増加すると、溶けきれなくなって、主に足の関節付近に沈着して足の炎症を起こす(痛風発作)疾患です。
男性ホルモンには尿酸を増加させる作用が、女性ホルモンには尿酸を低下させる作用があるということで、男性もしくは閉経後の女性に多くみられる疾患です。
尿酸は、4種類のDNAのうちプリン骨格を持つ二種類のDNA(AMPとGMP)が最終的に代謝される過程で生じる代謝物で、尿として排出されます。
痛風は成人男性に多い疾患で、高尿酸血症を基礎病態とする。日本には現在約60万人の痛風患者がいると推定されている。
また、成人男性の20%が、高尿酸血症であると推測されるほど、現代病の一部を担っている疾患である。
痛風の治療は主として薬物療法が行われるが、再発を防ぐためには、痛風の薬物治療と並行して減酒をはじめとした生活の改善の必要があります。
DNAというのは、中学生物?で、細胞膜の中に核があって、その中に染色体があるまでは習ったと思いますが、その染色体は、DNA+ヒストンというものから構成されていて、DNAは、糖+リン酸+塩基で構成されています。
要するに、細胞が壊れると、4つの塩基(AMP、GMP、CMP、TMP)ってのがこぼれ落ちてきて、そのうちAMP:アデニンとGMP:グアニンはプリン体と呼ばれ、最終的に尿酸まで代謝されます。CMPとTMPは他の経路で代謝されます。
痛風の原因であるプリン体が増加するのは、大きく食事から摂取するもの、細胞が壊れてできたもの、エネルギー代謝の過程で産生したものの3パターンです。
1、食事から摂取するもの アルコール飲料ではビールが有名だけど、先の話でプリン体は細胞のDNAそのものだという話をしましたが、それ故、肉・魚等の動物性食品に多く含まれています。 レバーや甲殻類は控えましょう。
2、細胞が壊れてできたもの 上記の説明の通り。
3、エネルギー代謝の過程で産生したもの これが中々わかりにくいのではないでしょうか。 エネルギーというのは、別名をATP(アデノシン三リン酸)といいます。
食事としてとった糖と脂肪は途中でピルビン酸という物質に合成され、十分酸素のある条件下ではTCA回路へ、酸素が不十分な条件下では乳酸→糖新生へと進みます。
どちらにしても、進んだ回路内で、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質をNADH2+に変換→電子伝達系という経路が進行→電子がマトリックス側、H+が膜間スペースへ移動→濃度勾配によるエネルギーにてADPをATPに変える(酸化的リン酸化)。
難しいけど、運動をすると糖や脂肪を燃焼されて、エネルギー(ATP)が産生する。そのATPは、AMP(塩基)に2つリン酸がくっついたものだから、最終的にはプリン代謝で尿酸として代謝されるわけ。
さらに、NAD+の合成はATPが必要な上、NAD+自体ヌクレオチド(つまり塩基の集まり)だから、更にプリン代謝が進むわけです。
また、プリン体が入っていようといなかろうとアルコールがなぜいけないか? あくまで想像もありますが、アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解される過程でNAD+を使用するということ、生じたNADHはミトコンドリアにてATPの合成(酸化的リン酸化)に係わること、アルコールは肝臓で代謝されるゆえ、肝臓の糖新生を抑制し、血中乳酸が増加→それが腎臓に蓄積し尿酸の排泄障害を引き起こすことが原因なのではないでしょうか。
これらの原因以外に、遺伝的原因(ABCG2遺伝子の数)も関係しているらしいです。
何にしろ、水分をたくさん取り(2リットル/日以上)、冷やさず、肉魚等プリン体の多い食品・アルコールは400mg/日以下に控えて、尿をアルカリ化する食品(野菜・果物・海藻・乳製品)を摂り尿中の尿酸の溶解度を上げ、きちんと薬をのむことが大切です。
(参考資料:調剤と情報、pharmavision112号)
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