痛風の治療法

先に述べたとおり、急性期に尿酸降下剤などで尿酸値を下げると関節に沈着した尿酸塩が溶解し、返って発作を誘発する恐れがあるので、痛風発作はNSAIDs、コルヒチン、ステロイドの3剤で対処する。

コルヒチンは痛風発作の前兆期に少量のみ予防的に用い(1錠0.5mgを用い、発作を頓挫させる)、NSAIDsは発作極期に短期大量投与が推奨されている。

ステロイドはNSAIDsが使用できない腎機能低下患者にに主として使われる(NSAIDsは大部分が腎排泄型のため)。

発作が消失後は、血液検査などの数値と相談しながら(ベンズプロマロンの肝臓、アロプリノールの腎臓への影響による)、尿酸排泄型の薬剤もしくは、尿酸産生阻害薬を使用する。

尿酸排泄促進剤としてはベンズプロマロン(ユリノームなど)があるが、これらの使用で、尿中に排泄された尿酸により尿路結石が発生することを防ぐため、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合剤などの尿アルカリ化剤を使用することもある。

尿酸産生阻害薬としてはアロプリノール(ザイロリック、アロシトールなど)があるが、これは腎機能障害患者に用いると、その活性代謝物であるオキシプリノールの蓄積性 から副作用がおきやすくなるので投与量を調節しながら服用させる。

生活環境の尿酸値への影響は下の表を参考にしてほしい

特徴 対処法
尿酸は水に難溶であり、7.0mg/dl以上で過飽和状態となり、組織へ沈着する。 薬物療法、食事などで尿酸値を7.0mg/dl以下に落とす。
体温が低下すると尿酸が析出しやすくなる。 患部を冷やさず温める。
尿酸は非常に水に溶けにくい上に、尿のpHが下がる(酸性になる)と尿酸が溶け込みにくくなる。 適正な尿のpH(6.0~7.0)に維持する。尿をアルカリ化して尿酸を尿中に溶け込めるようにしてやる。 (尿をアルカリ化する食品=ひじき、わかめ等海藻類)
尿量を増やすと尿酸の溶け込める量が増える。 尿量を増やすため、多めの水を摂る(夜間飲水)。
大量のアルコールはNADを低下させ、乳酸の産生を増加させる。乳酸は 腎臓で尿酸の尿細管分泌を抑制し、排泄低下→血清の尿酸値を上昇させとともに、尿のpHを酸性へと傾ける。 禁酒、減酒
過剰な運動も乳酸値を増加させ、尿酸の排泄を低下させる。 適度な運動

また、薬剤相互作用では、一般のドラッグストアでも売られているアスピリンは、腎臓の尿細管における尿酸の分泌を抑制し、尿酸排泄促進剤の作用を阻害する恐れがある。エテンザミドもサリチル酸系であるので注意が必要(アスピリンやエテンザミド以外のイブプロフェンならよい)。

関連ページ

コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。

(件名or本文内でキーワード検索できます)



  • << 前のページ
  • 次のページ >>
ページトップへ