胃腸薬・消化剤・健胃薬

消化性潰瘍の病理については別ページ参照。

機能性ディスペプシアの病理については別ページ参照。

胃と食道の間にある噴門部の括約筋の筋力低下や食道裂孔ヘルニアが原因となって胃酸が食道側へと逆流する症状が胃食道逆流症(GERD)である。(うち、食道粘膜にびらんや潰瘍が起こったものを逆流性食道炎、障害はなく自覚症状のみ伴うものを非びらん性胃食道逆流症(NERD)と呼ぶ。)

食道裂孔ヘルニアを合併する例はおよそ50%。GERDの症状として胸焼けや呑酸。胃もたれはFDよりの症状。NERDは知覚過敏。

高齢者は、下図でいう胃の入り口側の食道部分にある下部食道括約筋(LES)の機能が低下した人が多く、遺産が逆流しやすい。また、食べ過ぎ等で一過性LES弛緩が起こり、食物や空気で胃が膨らむと、胃が反射的にLESをゆるめ、空気を抜こうとして、空気と一緒に胃酸が逆流してくることもある。

胃の構造と機能

胃底部~胃体部にかけて存在する胃底腺と呼ばれる細胞は、主細胞と副細胞及び壁細胞から構成されている。

主細胞からはペプシノーゲンが分泌され、塩酸の作用でペプシンに加水分解される。活性化されたペプシンはタンパク質の消化酵素として働く。

副細胞からはアルカリ性(H2CO3)のムチンを分泌して胃の粘膜を酸や消化酵素から自身を保護している。

壁細胞からは塩酸が分泌され、過剰に分泌された塩酸は胃の粘膜を傷つけて潰瘍病変を発生させる。

幽門前庭部のG細胞からはガストリンが分泌される。同じく幽門前庭部の傍細胞からは内因子が分泌され、ビタミンB12と結合して小腸から吸収される。

(タケキャブ錠資料より)

胃粘膜には胃小窩と呼ばれる穴が開いていて、その奥に胃底腺(主細胞・副細胞・壁細胞)が存在している。胃底腺から分泌されたペプシノーゲンや塩酸、粘液はその穴から外へと放出される。


図引用元

食物によって胃酸が希釈されてpHが6程度になった時にG細胞からガストリンが分泌され、ガストリンは血液を通って壁細胞のG受容体に結合して胃酸の分泌を促進する。食物が十二指腸へ移動すると、腸管からセクレチンとGIPが分泌され、セクレチンはG細胞からのガストリン分泌と壁細胞からの胃酸分泌の抑制、GIPはG細胞からのガストリン分泌を抑制する。

胃腸薬

PPI(プロトンポンプインヒビター)

胃潰瘍では8週まで、十二指腸潰瘍では6週まで。再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法で連続投与可。胃酸分泌の最終段階を阻害するのでH2ブロッカーより作用は強い

ノーマルPPI

  • オメプラゾン、オメプラール(オメプラゾール)
  • タケプロン(ランソプラゾール)
  • パリエット(ラベプラゾール)
  • ネキシウム(エソメプラゾール)

P-CAB(カリウムイオン競合型アッシドブロッカー)

(タケキャブ錠資料より)
  • タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩)
    • 作用発現が速やかである。投与1日目から速やかな酸分泌抑制作用を示す。
    • 酸分泌抑制効果が持続する。酸に安定なため、既存のPPIのように腸溶性にする必要がなく、粉砕も可能。
    • 酸に安定である。
    • CYP2C19の遺伝子多型の影響を受けにくい。
    • ヘリコバクター・ピロリの除菌においてもタケプロン30mgに対して優位な効果非劣性を示す。
    • タケキャブの逆流性食道炎への4週間投与時点での疑義照会は必須ではない。8週間を超えた時点での再燃・再発を繰り返す逆流性食道炎かどうかの疑義照会・コメントは必要。また、再燃逆食において、20mg投与を8週間を超えた時に一旦10mgに落とさないで20mgのまま継続していくことは可能は一旦10mgに落とすかもしくは他のPPIに切り替えたあとでなければ20mgは継続できない。(メーカー)
効果・効能 用法・用量
1回用量 1日の服用回数 投与期間
10mg 20mg
胃潰瘍 1回 8週間まで
十二指腸潰瘍 1回 6週間まで
逆流性食道炎 1回 通常4週間まで(効果不十分な場合は8週間まで)
再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法 1回 -
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 1回 -
非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制 1回 -
下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌補助
(胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)
2回 7日間

H2ブロッカー

壁細胞のH2受容体を遮断し、胃酸の分泌抑制作用を示す。適応外で蕁麻疹にも用いる

  • アシノン(ニザチジン)・・・唾液分泌作用
  • アルタット(ロキサチジンアセタート)
  • ガスター(ファモチジン)
  • ザンタック(ラニチジン)
  • プロテカジン(ラフチジン)
  • タガメット(シメチジン)・・・Ca溶解作用

コリンエステラーゼ阻害薬

胃の運動を改善し機能性ディスペプシアの食後愁訴症候群(PDS)(食後のもたれ、早期膨満感)を改善する。

  • アコファイド(アコチアミド)・・・ChE阻害作用。適応はFDのPDSのみ

選択的ムスカリン遮断薬

遠心性の迷走神経のムスカリン受容体のうちM1受容体に特異的に作用する、心臓、消化管平滑筋への副作用が少ない。

  • ガストロゼピン(ピレンゼピン)

抗コリン薬

酸分泌抑制作用は弱く、胃酸の排泄を遅延させることを目的とした、鎮痙・鎮痛薬としての使用。アウエルバッハ神経叢のM受容体を阻害して輪走筋や縦走筋の働きを抑制する。

  • セスデン(チメピジウム)
  • ブスコパン(ブチルスコポラミン)

抗ガストリン薬

ガストリン受容体拮抗作用+G細胞のガストリン放出を抑制する。抗ガストリン作用による胃酸の分泌抑制、表面麻酔薬として局所麻酔作用(マイスナー神経叢の内在性知覚ニューロン終末の局所麻酔による求心性の痛みを抑制する)。

  • ストロカイン(オキセサゼイン)
薬品名 粘膜被覆 粘膜修復 粘液分泌↑ 血流↑ PG類↑ 活性酸素↓
アルサルミン   
イサロン  
ガストローム 
プロマック  
マーズレン    
セルベックス 
ムコスタ 
ウルグート   
ドグマチール     
ノイエル   
サイトテック    

粘膜抵抗強化薬

  • アルサルミン(スクラルファート)
  • イサロン(アルジオキサ)
  • ガストローム(エカベトNa)
  • プロマック(ポラプレジンク)・・・亜鉛を含むため、味覚障害に対しても用いられる
  • プロテカジン(ラフチジン)
  • マーズレンS(アズレン+L-グルタミン)

粘液産生・分泌促進薬

  • セルベックス(テプレノン)
  • ムコスタ(レバミピド)

胃粘膜微小循環改善薬

  • ウルグート(ベネキサートβデクス)
  • ガスロンN(イルソグラジン)
  • ドグマチール(スルピリド)
  • ノイエル(セトラキサート)

PG製剤

PGE1誘導体、NSAIDsによる胃障害にのみ適応、妊婦に禁忌。Mg製剤と併用で下痢↑

  • サイトテック(ミソプロストール)

漢方薬

カンゾウの主成分:グリチルリチン酸は腸内細菌でグリチルレチン酸へ代謝され抗炎症・抗アレルギー作用を示す。グリチルリチン酸は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることで偽アルドステロン症(「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「こわばり」に加えて、「力の抜ける感じ」「こむら返り」「筋肉痛」が現れ、だんだんきつくなる等の初期症状)が現れることが有ります。

  • 六君子湯(ソウジュツ、ニンジン、ハンゲ、ブクリョウ、タイソウ、チンピ、カンゾウ、ショウキョウ)・・・脳内グレリン受容体増加作用、5HT2b,2c受容体拮抗作用→グレリン分泌促進→食欲増進。
  • 安中散(ケイヒ、エンゴサク、ボレイ、ウイキョウ、カンゾウ、シュクシャ、リョウキョウ)・・・炎症を抑えるボレイ以外は全て温める生薬。血行を良くして胃の調子を回復する。

嘔吐関連薬

嘔吐・下痢・便秘のページ参照

消化剤・健胃薬

  • アミラーゼ(α,β)・・・でんぷんを分解して、マルトース、グルコースへ
  • プロテアーゼ・・・タンパク質を分解してアミノ酸へ
  • リパーゼ・・・脂肪を分解
  • セルラーゼ・・・繊維素を分解・・・腸内異常発酵防止による膨満感の除去

パンクレアチンや膵臓性消化酵素TAを含有する製剤は、ウシ・ブタ蛋白過敏症患者に禁忌。

消化酵素分類

各消化酵素の由来と分解する基質をまとめました。

成分名 分類(由来) でんぷん 蛋白質 脂肪 繊維素




オノプローゼA 微生物産生消化酵素
(Aspergillus melleus)
ポリパーゼ 微生物産生消化酵素
(Sclerotinia libertiana、
Aspergillus oryzae、
Bacillus subtilis)
パンクレアチン 濃厚膵臓性消化酵素
(ブタ膵臓)
膵臓性消化酵素TA 膵臓性消化酵素
(主としてブタの膵臓)




アミロリシン-5 Bacillus subtilis
オノテース 微生物産生消化酵素
(Aspergillus oryzae)
オリパーゼ2S
サナクターゼM
サンプローゼF Rhizopus chinensis
ジアスメン 微生物産生消化酵素
(Bacillus amylosolvens)
ジアスターゼ 麦芽
(αβアミラーゼ)
セルラーゼAP3 繊維素分解酵素
(Aspergillus属糸状菌)
セルロシンA.P. 微生物産生消化酵素
(Aspergillus niger)
タカヂアスターゼ アスペルギルス オリゼー産生消化酵素
ニューラーゼ Rhizopus属糸状菌
ビオヂアスターゼ1000 アスペルギルス産生酵素
ヒロダーゼ ヒイロタケ
(Trametes sanguinea)
プロクターゼ
プロザイム 6 アスペルギルス属糸状菌
ボンラーゼ 微生物産生消化酵素
(Rhizopus niveus)
マミターゼ Aspergillus属の糸状菌
メイセラーゼ
モルシン 微生物産生消化酵素
(Aspergillus saitoi)
リパーゼA Aspergillus属の糸状菌
リパーゼAP6 細菌性脂肪分解酵素
(spergillus属糸状菌)
糖化菌 納豆菌
(Bacillus subtilis)

消化剤・健胃薬に配合されている消化酵素

薬品名 成分 でんぷん 蛋白質 脂肪 繊維素
ジアスターゼ ジアスターゼ
タカヂアスターゼ タカヂアスターゼ
パンクレアチン パンクレアチン
タフマックE ジアスメン、ジアスターゼ、オノテース、モルシン、ボンラーゼ、セルロシンA.P.、パンクレアチン、ポリパーゼ、オノプローゼA
ベリチーム パンクレアチン、ビオヂアスターゼ1000、リパーゼAP6、セルラーゼAP3
ポリトーゼ ヒロダーゼ、マミターゼ、リパーゼA、セルラーゼAP3、パンクレアチン
フェルターゼ ビオヂアスターゼ1000、ニューラーゼ、リパーゼAP6、セルラーゼAP3、膵臓性消化酵素TA
エクセラーゼ サナクターゼM、メイセラーゼ、プロクターゼ、オリパーゼ2S、膵臓性消化酵素TA
コンクチームN 糖化菌、アミロリシン-5、サンプローゼF、セルロシンA.P
S・M散 タカヂアスターゼ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、チョウジ、ウイキョウ、ケイヒ、ショウキョウ、サンショウ、オウレン、カンゾウ
つくしA・M散 ジアスメン、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイヒ、ニガキ、ショウキョウ、ウイキョウ、カンゾウ、オウバク
KM散 ジアスターゼ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、チョウジ、ウイキョウ、ケイヒ、ショウキョウ、オウレン、サンショウ、カンゾウ
FK散 ジアスターゼ、l-メントール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、オウレン、チョウジ、ウイキョウ、ショウキョウ、サンショウ、ケイヒ、カンゾウ

コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。



記事No499 題名:Re:管理栄養士様 投稿者:管理人tera 投稿日:2017-07-07 10:39:01

ご指摘ありがとうございます。
早速修正させていただきました。
今後共よろしくお願いいたします。


記事No498 題名:コメント失礼します 投稿者:管理栄養士 投稿日:2017-07-06 20:32:45

消化態経腸栄養剤・・・ツインラインNF、エレンタール、エレンタールP
と記載がありますが、エレンタール、エレンタールPは成分栄養剤になるかと思います。


記事No104 題名:Re:タケキャブの除菌データ 投稿者:管理人tera 投稿日:2015-05-29 09:19:08

タケキャブ資料の3剤併用療法での1次除菌率(終了後4週間)のグラフで、タケキャブが除菌率92.6%、タケプロンが75.9%となっていたのでそのまま優位性としてしまいましたが、語弊のないよう非劣性ということで宜しいかと思います。


記事No103 題名:タケキャブの除菌データ 投稿者:匿名希望 投稿日:2015-05-28 15:36:03

タケプロン30mgに比べて有意に効果が高かったと記載がございますが、タケキャブのデータは全てタケプロンとの非劣勢試験によるものでしたので有意性は言えないと考えておりました。


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