RSウイルス

RS(respiratory syncytial)ウイルス感染症は喘息発作を誘発する、つまりアレルギーを起こすことが知られている。

小児の8割以上が罹患するこのウイルス感染症は、宿主の体質によって重症化の度合いやアレルギーのメカニズムが異なるという特徴を持ち、一般にアトピー素因をもつ 患者は重症化しやすい。

RSVは、ほとんどのウイルスが細胞性免疫としてTh1を誘導するのに対し、RSV表面上のG蛋白においてTh2を誘導してウイルス特異的IgE抗体誘導とTh2活性化を引き起こして、 IL-4/IFN-γ比を増加させるといわれる。

実際にウイルス除去はTh1による細胞性免疫が主体となるため、Th2活性化によるTh1/Th2アンバランスはRSウイルスによる喘息様症状の治癒を遅延させる。 また、RSV表面上のF蛋白は、TLR4を介してIRF(inter feron regulatory factor)やNF-κBを活性化して、IL-1、IL-6、TNF-αなどのサイトカイン産生(自然免疫) を誘導する。

僕の働いていた薬局(ぞうさん薬局 in 日光市今市)の門前の病院(吉原小児科)の院長の旦那さまである吉原重美助教授らによれば(ながっw、 このTLRの遺伝多型やRSVがIFNのシグナルを特異的に阻害する経路を持っていること、アトピー素因を持つ患者はTh1へ転換しにくいことなども RSVが重症化する要因であるという。

つまり、RSウイルスによる感染を放っておくと重症化するばかりかTh2型アレルギーが誘導されて、アレルギー体質へと移行する可能性が高くなるということである。

ヘルペスウイルス

アトピー性皮膚炎の患者が単純ヘルペスなどのヘルペスウイルスに罹患すると、その免疫力の低下のせいか全身に水庖ができることがある。 これを、カポジ水痘様発疹症と呼んで区別している。

カポジ水痘様発疹症の原因としてはNK細胞活性の低下であることが示されている。

また、 カポジ水痘様発疹症が発症すると、初期には好酸球の低下が起こり、好酸球による皮膚への影響がなくなることと、IFN-γの上昇のためにアトピー性皮膚炎は一時的に軽快する。

しかし、症状が回復すると好酸球値は元へと戻り、むしろ悪化する。


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