胃の痛み/ムカムカの薬一覧

PPI(プロトンポンプインヒビター)

胃潰瘍では8週まで、十二指腸潰瘍では6週まで。再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法で連続投与可。胃酸分泌の最終段階を阻害するのでH2ブロッカーより作用は強い

ノーマルPPI

  • オメプラゾン、オメプラール(オメプラゾール)・・・ラセミ体であり、CYP2C19の影響を受ける。そのためクロピドグレルの併用は競合阻害を引き起こす
  • タケプロン(ランソプラゾール)・・・フッ素導入でオメプラゾールよりも安定性が向上。脂溶性が高く、膜内へもぐりこむことで内因性グルタチオンによるSS結合が切られにくい(胃酸分泌が回復しにくい)
  • パリエット(ラベプラゾール)・・・グルタチオンによる胃酸分泌抑制の回復が他のPPPIに比較して早く、血中ガストリンの上昇が少ない
  • ネキシウム(エソメプラゾール)・・・オメプラゾールのS体。CYP2C19の影響を受けにくい。PPIとの結合は不可逆的でPPIのターンオーバーに合わせて胃酸分泌が回復。肝臓での薬物動態に影響を与えないため、肝硬変へ使用するPPIの第一選択。

P-CAB(カリウムイオン競合型アッシドブロッカー)

(タケキャブ錠資料より)
  • タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩)
    • 作用発現が速やかである。投与1日目から速やかな酸分泌抑制作用を示す。
    • 酸分泌抑制効果が持続する。酸に安定なため、既存のPPIのように腸溶性にする必要がなく、粉砕も可能。
    • 酸に安定である。
    • CYP2C19の遺伝子多型の影響を受けにくい。
    • ヘリコバクター・ピロリの除菌においてもタケプロン30mgに対して優位な効果非劣性を示す。
    • タケキャブの逆流性食道炎への4週間投与時点での疑義照会は必須ではない。8週間を超えた時点での再燃・再発を繰り返す逆流性食道炎かどうかの疑義照会・コメントは必要。また、再燃逆食において、20mg投与を8週間を超えた時に一旦10mgに落とさないで20mgのまま継続していくことは可能は一旦10mgに落とすかもしくは他のPPIに切り替えたあとでなければ20mgは継続できない。(メーカー)

各種PPIの用法用量比較

1)胃(十二指腸)潰瘍

薬品名用法投与制限
ネキシウム20mg分18w(6w)
パリエット10mg or 20mg分18w(6w)
オメプラール20mg分18w(6w)
タケプロン30mg分18w(6w)
タケキャブ20mg分18w(6w)

2)非びらん性胃食道逆流症(NERD)

薬品名用法投与制限
ネキシウム10mg分14w
パリエット10mg分14w
オメプラール10mg分14w
タケプロン15mg分14w
タケキャブ--

非びらん性胃食道逆流症の治療については、問診により胸やけ、呑酸等の酸逆流症状が繰り返しみられること(1週間あたり2日以上)を確認のうえ投与すること。(タケプロン)

3)逆流性食道炎(GERD)

薬品名用法投与制限維持不十分
ネキシウム20mg分18w10mg or 20mg分1-
パリエット10mgor20mg分18w10mg分1or分2※1
オメプラール20mg分18w10mg or 20mg分1-
タケプロン30mg分18w15mg or 30mg分1-
タケキャブ20mg分14or8w10mg or 20mg分1-

※1 10mg or 20mgを分2で8w(20㎎分2は内視鏡で重度確認後)

4)NSAIDs

薬品名用法投与制限
ネキシウム20mg分1-
パリエット--
オメプラール--
タケプロン15mg分1-
タケキャブ10mg分1-

5)低用量アスピリン

薬品名用法投与制限
ネキシウム20mg分1-
パリエット5mg or 10mg分1-
オメプラール--
タケプロン15mg分1-
タケキャブ10mg分1-

H2ブロッカー

壁細胞のH2受容体を遮断し、胃酸の分泌抑制作用を示す。適応外で蕁麻疹にも用いる

  • アシノン(ニザチジン)・・・唾液分泌作用
  • アルタット(ロキサチジンアセタート)
  • ガスター(ファモチジン)
  • ザンタック(ラニチジン)
  • プロテカジン(ラフチジン)
  • タガメット(シメチジン)・・・Ca溶解作用

コリンエステラーゼ阻害薬

胃の運動を改善し機能性ディスペプシアの食後愁訴症候群(PDS)(食後のもたれ、早期膨満感)を改善する。

  • アコファイド(アコチアミド)・・・ChE阻害作用。適応はFDのPDSのみ

選択的ムスカリン遮断薬

遠心性の迷走神経のムスカリン受容体のうちM1受容体に特異的に作用する、心臓、消化管平滑筋への副作用が少ない。

  • ガストロゼピン(ピレンゼピン)

抗コリン薬

酸分泌抑制作用は弱く、胃酸の排泄を遅延させることを目的とした、鎮痙・鎮痛薬としての使用。アウエルバッハ神経叢のM受容体を阻害して輪走筋や縦走筋の働きを抑制する。

  • セスデン(チメピジウム)
  • ブスコパン(ブチルスコポラミン)

抗ガストリン薬

ガストリン受容体拮抗作用+G細胞のガストリン放出を抑制する。抗ガストリン作用による胃酸の分泌抑制、表面麻酔薬として局所麻酔作用(マイスナー神経叢の内在性知覚ニューロン終末の局所麻酔による求心性の痛みを抑制する)。

  • ストロカイン(オキセサゼイン)
薬品名 粘膜被覆 粘膜修復 粘液分泌↑ 血流↑ PG類↑ 活性酸素↓
アルサルミン   
イサロン  
ガストローム 
プロマック  
マーズレン    
セルベックス 
ムコスタ 
ウルグート   
ドグマチール     
ノイエル   
サイトテック    

粘膜抵抗強化薬

  • アルサルミン(スクラルファート)
  • イサロン(アルジオキサ)
  • ガストローム(エカベトNa)
  • プロマック(ポラプレジンク)・・・亜鉛を含むため、味覚障害に対しても用いられる
  • プロテカジン(ラフチジン)
  • マーズレンS(アズレン+L-グルタミン)

粘液産生・分泌促進薬

  • セルベックス(テプレノン)・・・空腹時では吸収が低下するので痛み止めと併用で頓服で飲むならムコスタ。またH2ブロッカーと併用すると相乗効果が表れるらしい
  • ムコスタ(レバミピド)

胃粘膜微小循環改善薬

  • ウルグート(ベネキサートβデクス)
  • ガスロンN(イルソグラジン)
  • ドグマチール(スルピリド)
  • ノイエル(セトラキサート)

PG製剤

PGE1誘導体、NSAIDsによる胃障害にのみ適応、妊婦に禁忌。Mg製剤と併用で下痢↑

  • サイトテック(ミソプロストール)

漢方薬

カンゾウの主成分:グリチルリチン酸は腸内細菌でグリチルレチン酸へ代謝され抗炎症・抗アレルギー作用を示す。グリチルリチン酸は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることで偽アルドステロン症(「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「こわばり」に加えて、「力の抜ける感じ」「こむら返り」「筋肉痛」が現れ、だんだんきつくなる等の初期症状)が現れることが有ります。

  • 六君子湯(ソウジュツ、ニンジン、ハンゲ、ブクリョウ、タイソウ、チンピ、カンゾウ、ショウキョウ)・・・脳内グレリン受容体増加作用、5HT2b,2c受容体拮抗作用→グレリン分泌促進→食欲増進。
  • 安中散(ケイヒ、エンゴサク、ボレイ、ウイキョウ、カンゾウ、シュクシャ、リョウキョウ)・・・炎症を抑えるボレイ以外は全て温める生薬。血行を良くして胃の調子を回復する。

嘔吐関連薬

吐き気止めのページ参照

抗コリン薬(胃・腹痛)

抗コリン作用により鎮痙作用、胃酸分泌抑制作用を示す。

  • ブスコパン(ブチルスコポラミン)・・・適応胃・十二指腸潰瘍、食道痙攣、幽門痙攣、胃炎、腸炎、腸疝痛、痙攣性便秘、機能性下痢、胆のう・胆管炎、胆石症、胆道ジスキネジー、胆のう切除後の後遺症、尿路結石症、膀胱炎、月経困難症における痙攣並びに運動機能亢進
  • ロートエキス(-ヒヨスチアミン、 アトロピン及びスコポラミン)・・・適応:胃酸過多、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、痙れん性便秘における分泌・運動亢進並びに疼痛
  • セスデン(チメピジウム)・・・・適応:①胃炎、胃・十二指腸潰瘍、腸炎、胆のう・胆道疾患、尿路結石における痙攣並びに運動障害に伴う疼痛の緩解、②膵炎に起因する疼痛の緩解。迷走神経刺激によるラットの胃の痙縮に対し、静脈内投与でアトロピンの約3倍、ブチルスコポラミン臭化物の約5倍の抑制作用を示す。

関連ページ

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記事No1032 題名:通達(みと・あかつかカンファレンス) 投稿者:池田剛士 投稿日:2019-08-04 14:40:11

通達(みと・あかつかカンファレンス)*ムチン騒乱対策本部;安倍晋三 首相案件【令和の改新】#令和の大号令
https://news.nissyoku.co.jp/hyakusai/goushi20190719114655561
http://kankan2025.jp/#mhlw
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9701/9701_kaisetsu.pdf




学術秘書
池田です。


ご承知おきください。
http://nokyoko.jp/#mucovac

では。


この件に関するお問い合わせ先:
みと・あかつかカンファレンス事務局長
ラクトース研究班「いもいち2025」班長代理
有限会社学術秘書
本店営業部
池田剛士
〒311-4141
茨城県水戸市赤塚1-386-1-107
電話:029-254-7189
携帯:090-4134-7927

※8月15日(木)正午より、「この件に関するお問い合わせ先:」を変更いたします。

読売新聞東京本社
〒100-8055
東京都千代田区大手町1-7-1
電話:03-3242-1111
https://info.yomiuri.co.jp/contact/index.html


記事No499 題名:Re:管理栄養士様 投稿者:管理人tera 投稿日:2017-07-07 10:39:01

ご指摘ありがとうございます。
早速修正させていただきました。
今後共よろしくお願いいたします。


記事No498 題名:コメント失礼します 投稿者:管理栄養士 投稿日:2017-07-06 20:32:45

消化態経腸栄養剤・・・ツインラインNF、エレンタール、エレンタールP
と記載がありますが、エレンタール、エレンタールPは成分栄養剤になるかと思います。


記事No104 題名:Re:タケキャブの除菌データ 投稿者:管理人tera 投稿日:2015-05-29 09:19:08

タケキャブ資料の3剤併用療法での1次除菌率(終了後4週間)のグラフで、タケキャブが除菌率92.6%、タケプロンが75.9%となっていたのでそのまま優位性としてしまいましたが、語弊のないよう非劣性ということで宜しいかと思います。


記事No103 題名:タケキャブの除菌データ 投稿者:匿名希望 投稿日:2015-05-28 15:36:03

タケプロン30mgに比べて有意に効果が高かったと記載がございますが、タケキャブのデータは全てタケプロンとの非劣勢試験によるものでしたので有意性は言えないと考えておりました。


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