ボルデテラ属(Bordetella)

百日咳菌(B.pertussis)

  • ボルデテラ属に属するグラム陰性好気性桿菌
  • 4類感染症
  • 病巣からの新鮮分離株は莢膜を持つS型の強毒菌(莢膜なしR型は毒性なし)→普通の免疫能があれば大丈夫
  • 気管、気管支粘膜に付着して増殖、激しい咳、咳はかなり長く続く咳の発作は、高い音を伴う深い息を吸う「whoop」音として知られる特徴的な音を伴うことがあります。まれに間質性肺炎、脳症、チアノーゼを引き起こす。
  • カタル期(感染症の初期)は症状がひどくはないが感染力が強いため知らずに外出して集団感染を引き起こす。潜伏期間は1~2週間で、それ以降に咳が強く出る時期が2~3週間以上と長く続く。熱は出ないことが多く、CRPも上昇しない。
  • 外毒素=百日咳毒素→インスリン分泌亢進、インスリン分泌細胞のみならず種々の細胞に侵入→cAMP濃度上昇
  • 診断は細菌培養、PCR、血清のIgMやIgAの測定、リンパ球の上昇等。
  • 第一選択は肺への移行性が高いマクロライド系(特にアジスロマイシン)、ニューキノロンやセフェム系もスペクトルがあるので使うことはある。
  • 服用開始から5日後には菌の分離はほぼ陰性となるが、再排菌を考慮して、抗菌薬の投与期間は2週間程度は必要。痰咳に対しては鎮咳去痰薬、気管支拡張薬などが使用される。
  • DPTの効果が切れてくる若い人がなりやすく、子供からうつる。呼気性笛声(ひゅー)、発作性の咳、咳き込み後の嘔吐(嘔吐があるのは百日咳くらい)。

百日咳の咳のメカニズム

百日咳の咳のメカニズムは現在解明されており、百日咳菌の産生するVag8(病原性関連遺伝子の一つ)、LOS(エンドトキシンであるリポオリゴサッカライド)を介したブラジキニン産生の誘発と、PTxがGiを不活性化することによりTRPV1のネガティブフィードバックを解除することにより起こるとされている。

(引用元:The mechanism of pertussis cough revealed by the mouse-coughing model)

しかしながら、この経路を遮断する薬剤がまだないので、抗菌剤に頼るしかないのが現状。(2022現在)

予防接種

  • 百日咳に対する最も効果的な予防策はワクチン接種です。百日咳ワクチンは通常、ジフテリア、破傷風と組み合わせてDTPワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳ワクチン)として摂取する。現在はポリオを入れてDTP-IPV(4種混合ワクチン)となっている。
  • 【定期接種】初回は生後2か月~1年以内に3~8週間隔を開けて3回、3回目終了から半年以上の間隔をあけて(通常1歳を超えてから)4回目の追加接種を行う。さらに、11歳~13歳の間にジフテリアと破傷風だけの二種混合ワクチン(DT)(3種にしてもいいが任意になる)を1回追加接種する。
  • 【任意接種】5~7歳未満の小学校就学前に3種混合ワクチンの追加接種が推奨されている。

細菌の種類一覧

グラム陽性球菌

  • グラム陽性球菌(GPC:Gram-Positive Cocci)
    • ブドウ球菌属(Staphylococcus)
      • 黄色ブドウ球菌(S.aurens)
      • 表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)
      • 腐生ブドウ球菌(S.saprophyticus)
    • レンサ球菌属(Streptococcus)・・・腸内常在菌。ホモ
      • A群溶血性レンサ球菌(S.pyogenes)・・・溶連菌
      • B群溶血性レンサ球菌(S.agalactiae)
      • C, G群溶血性レンサ球菌(S.dysgalactiae ssp.equisimilis)
      • アンギノサス(S.anginosus)
      • コンステラータス(S.constellatus)
      • インターメディウス(S.intermedius)
      • 肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)・・・呼吸器
      • ミティス(S.mitis)
      • サングイニス(S.sangulnis)
      • サリバリアス(S.salivarius)
      • ウシレンサ球菌(S.bovis)
      • ミュータンス(S.mutans)
      • サーモフィルス菌(S.thermophilus)・・・乳酸菌
      • フェカリス菌(S.faecalis)・・・乳酸菌
    • 腸球菌属(Enterococcus)
      • フェカリス菌(E.faecalis)・・・ホモ(乳酸)
      • フェシウム菌(E.faecium)
    • ラクトコッカス属 (Lactococcus)
      • ラクトコッカス・ラクティス(L.lactis)・・・ホモ(乳酸)
    • ペディオコッカス属(Pediococcus)・・・ホモ(乳酸)
    • リューコノストック属 (Leuconostoc)・・・ヘテロ

グラム陽性桿菌

グラム陰性球菌

グラム陰性桿菌

その他

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