胆管炎と胆のう炎

胆汁性胆管炎(胆汁性肝硬変)

  • 肝硬変とは異なり症状は重くないので肝硬変→胆管炎へ名称変更。
  • 肝臓の微細な胆管が長期にわたり慢性的に炎症と破壊を受ける。
  • 圧倒的に女性が多く、リスク因子は遺伝的要因、環境要因、ホルモン要因など
  • 体の免疫系が誤って肝臓の胆管を攻撃する自己免疫疾患の一つ
  • 進行性であり、放置すると肝硬変や肝不全→肝移植に進行する可能性があるため、とにかく早期発見が必須。
  • 診断は血液検査(ALP、γGTP、抗ミトコンドリアM2抗体、IgM高値)、肝生検、MRIなどにより行われる。
  • 初期の症状には発熱、疲労感、かゆみ、黄疸、皮膚のドライネス、右上腹部の不快感などがある。
  • 治療は進行を遅らせることを目的にウルソの服用

硬化性胆管炎

  • 肝臓の中および外の大きな胆管が炎症と瘢痕化(硬化)を起こす慢性疾患で自己免疫の異常が関与していると考えられている。
  • 胆管の硬化と狭窄により、胆汁の流れが妨げられ、肝臓内に胆汁が蓄積
  • 進行性の疾患であり、最終的には肝硬変や肝不全を引き起こす可能性がある。
  • 初期症状は胆汁性胆管炎と同じく、発熱、疲労感、かゆみ、黄疸、右上腹部の不快感など
  • 診断は血液検査(ALP、γGTP高値)、これだけでは判断できないため、診断にMRIやCT等の検査、場合によっては胆管内視鏡検査(ERCP)や肝生検
  • 根治療法は存在せず、治療は症状の緩和と病態の進行の遅延に焦点を当てています。進行した場合は、肝移植が必要になることがある
  • 硬化性胆管炎はしばしば潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患と関連があると報告されている。

急性胆のう炎

  • 胆のうの役割は、胆汁の貯留と濃縮、分泌の調節の3つ。
  • 胆汁は、胃で消化された食べ物を十二指腸で消化吸収する作用を担う。
  • 胆石発作は胆のうから総胆管へ通じる管が詰まって、胆汁が滞留することで心窩部痛、悪心嘔吐等が起こる。進行すると胆のう内に細菌が繁殖し炎症を引き起こす急性胆のう炎を生じる
  • 胆石があっても自覚症状がなければ無理に摘出術は行わない。また、詰まっている胆石だけを取り除くという選択肢はなく、胆のうの全摘出となる。
  • 急性胆のう炎では心窩部痛、悪心嘔吐に加えて、右肩痛や右季肋部痛(みぎきろくぶつう)という右わきばらの痛みを生じ、これが24時間持続的に生じるのが特徴。治療が遅れると予後が悪いので、持続的な痛みの際は早めに受診すること。
  • 治療は、開腹や腹腔鏡下での胆のう摘出術(肝臓と胆のうの接着部位を剥がして切除し、残った胆管を縛る)。
  • 高齢などで手術が出来ない場合など特殊な場合には、PTGBD(経皮経管胆道ドレナージ:皮膚から肝臓を通して胆管へカテーテルを接続して、胆汁を吸い出すことで急性胆のう炎の症状を一時的に改善させる)を行う。
  • 急性胆のう炎は細菌(PEKか腸球菌)によって炎症が起こっているので、抗生物質の投与が必要(腸球菌の第一選択はアモキシシリン(セフェムは効果なし)、PEKは第一世代セフェム)。
  • 胆のうを摘出してしまうと肝臓で作られた胆汁はそのまま総胆管に入ってしまうので初期は下痢する場合があるが、機能としての影響はない。

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