細胞性免疫と体液性免疫

最初のほうで少しだけ述べた細胞性免疫体液性免疫、この二つの理解がまとめとなります。

細胞性免疫とは抗体(Ig)の絡まない免疫のことでTh1や単球、顆粒球が活躍します。

体液性免疫とは抗体(Ig)が絡む免疫のことでTh2、B細胞が活躍します。

最初のほうでも言いましたが、アトピーの原因となるダニなどのアレルゲンは体の中に入っても細胞を壊したり、細胞の中にいついたり細胞レベル(細胞性)で悪さはしません。ただ血液中ないし組織液、リンパ液に溶けているだけ(体液性)です。

こういう場合には、Th2が産生するIL-4により抗体が産生され、アレルゲンが処理されます(+して肥満細胞からヒスタミンなどケミカルメディエーターが遊離します)。

一方、ウイルス、癌などの細胞レベルで悪さをするものは、細胞ごと破壊する必要があるため、マクロファージが産生するTNF-αやTh1の産生するINF-γ、NK細胞、Tc(キラーT細胞)、顆粒球によって処理されます。

ただTh1が細胞性、Th2が体液性とは一概には言えず、Th1が産生するIL-2はB細胞の抗体産生細胞への分化を促進する(体液性免疫に絡む)し、Th2が産生するIL-6はTcの活性化に関与、IL-5は顆粒球の分化に関与(細胞性免疫にも絡む)というように例外もあります。

しかし、ここをうまく利用するのがプロトピックやステロイドでして、この二つはIL-2の産生を抑制しますので、Th1の悪いところのみを抑制し、残りのIFN-γや感作T細胞が出す単球走化因子や好中球走化因子はそのままにして細胞性免疫はできる限り抑制しないようにしています。

とはいえ、IL-2がTh1の分化に必要というのがあるのでTh1活性(細胞性免疫)が鈍り癌になりやすくなるというのは否めません。



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