補体の活性化、抗体産生

補体の活性化図

T細胞によりB細胞が抗体を分泌すると、抗原抗体反応が起こり、その時に補体の誘導(古典的経路)も起こる。

補体の活性化経路は古典的経路、副経路、レクチン経路の3つの経路が知られており、古典的経路は抗体依存的であり、副経路およびレクチン経路は抗体非依存的であることから自然免疫機構には副経路およびレクチン経路が関与している。

C1から順番にC5b,6,7,8,9と呼び出され、膜障害複合体MAC(membrane attack complex)を形成し、主としてグラム陰性菌の外膜を破壊する。

途中に呼び出されるC3a、C4a、C5aはアナフィラトキシンと呼ばれ、特にC5aはマスト細胞や好塩基球からのヒスタミン遊離を促進する。

C5aは単球、好中球、好酸球などの走化性を亢進する。

C3bは、抗原がグラム陰性菌であればLPSの作用で活性化される(副経路)C3bとともにマクロファージおよび好中球のレセプターに結合し、オプソニン化(C3b、iC3bが細菌表層に結合することで、貪食細胞の補体受容体であるCR1、CR3に認識され食作用が亢進すること)をする。

B細胞が産生する抗体がIgGであったときは、マクロファージや好中球がIgGのFc部分に対するレセプターも持っているため、さらなるオプソニン化が起こる。

レクチン経路ではC1qと似たマンノース結合タンパクが細胞表層のマンノースを含む多糖体と結合することでC3とC4/C2を活性化する。

補足として「Igの構造」の項も参考にしてください。

B細胞が産生する抗体がIgEであったときは、抗体が肥満細胞or好塩基球上のIgEに対するレセプター(FcεRI)に結合すると、FcεRIが凝集して細胞内シグナル伝達経路が活性化されて、蓄えられていたヒスタミン(血管透過性亢進、気管支収縮)、セロトニン(気管支収縮)、好中球走化因子(NCF)、好酸球走化因子(ECF-A)らが肥満細胞・好塩基球から遊離する(脱顆粒)。

また、その刺激(肥満細胞の細胞膜リン脂質に対する刺激)及び皮膚を掻くことによりアラキドン酸カスケードが活性化されて、ロイコトリエンC4、ロイコトリエンB4、PAF(血小板活性化因子)、PGD2らも合成・遊離される。

LTは好酸球からも遊離するため、ECF-Aによっても活性化するとともに、気管支の強力な収縮(咳)、血管透過性亢進やブラジキニンを増強する。

PAFは血小板を活性化しTXA2産生を増強→血小板凝集、気管支収縮に関与したり、セロトニンを血小板から放出させる。

PGD2は自然睡眠誘発作用、血管透過性亢進らの作用を持つ。



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