Ig(免疫グロブリン)
免疫グロブリンは、一般的には”抗体”と呼ばれ、目的の花粉や細菌などのアレルゲン(抗原)と結合することでその作用を示します。
IgにはIgA,IgM,IgG,IgD,IgEという5つのサブタイプがあり、その中でIgAはIgA1とIgA2に、IgGはIgG1,IgG2,IgG3,IgG4にさらに分類されます。
免疫グロブリンの基本構造としましては以下のような2本のL鎖(軽鎖)と2本のH鎖(重鎖)の4量体構造をとり、その4量体を一つのセグメントとすると、IgG,IgD,IgEは単量体、IgAはこれが二つついた2量体、IgMは5量体構造をとります。
抗原を見つけるとYの字の頭の抗原結合部に抗原がくっつき、抗原-抗体複合体(免疫複合体)を形成するわけです。
免疫グロブリンは抗原と複合体は形成しますが、抗原を直接死滅・破壊するような作用は持たず 、大きく分けてオプソニン化作用、補体活性化作用、中和作用、免疫関連細胞の活性化作用 の4つの作用にて異物の処理に対して補佐的に働きます。
オプソニン化作用とは、抗原が免疫グロブリンと結合して抗原抗体複合体になることで、抗体のFc部分を認識するFcRを持つ好中球やマクロファージが抗原単体の貪食の時よりも貪食能を 増すこと。また、補体の活性化により呼び出されるC3bが好中球、マクロファージの補体結合部位に結合して貪食能を増す場合も含む。
補体活性化作用とは、抗原を補足した抗体の補体結合部位に補体C1が結合することで起こる古典的経路の途中、もしくは細菌のLPSで直接活性化される補体C3bが、最終的にC9まで活性化されて 異物を破壊する作用のことです。
中和作用とは、抗原と抗体が複合体を形成する際に、異物の毒素部位を隠すことで、その異物の抗原性を不活化させるこという。
オプソニン作用や補体活性化作用を示す抗体はIgG1、IgG3、IgMの3つであり、IgG2は補体活性化能が極めて低く、他のIgG4、IgA、IgE、IgD抗体はこの作用を示しません。
ところで、アトピーの人であれば誰もが一度は耳にしたことがある言葉にIgE(アイジーイー)という言葉があると思います。IgEというのは免疫グロブリンと呼ばれる抗体群 のひとつで、正常では250IU/mlを示しますが、アトピーの人では数千、数万になる場合はざらにあります。
IgEはオプソニン作用や補体活性化作用は示しませんが、その代わりにFcεRIを持つマスト細胞や好塩基球に結合しケミカルメディエータの放出 、LCの活性化による抗原提示能の増強などの作用を示します。
これらの作用は血管透過性を増したり、血管を拡張させたりすることで炎症を起こしますが、白血球を目的の組織へと遊走させて、いち早く破壊できるようにするためには必要な作用です。
そんなIgE抗体は、免疫グロブリン全体から見ると0.001%以下に過ぎないですが、体内に過剰にありすぎると抗原-IgE抗体複合体としてだけでなく、抗原が体内になくても 単量体IgEとしてアレルギー反応を引き起こします。
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