DPP4阻害薬
分類 | 成分名 | 商品名 | 規格・剤形・補足 |
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DPP4阻害薬 | シタグリプチン | ジャヌビア グラクティブ |
規格:錠12.5mg/25mg/50mg/100mg、腎機能正常は50~100mg 適応:2型糖尿病 |
ビルダグリプチン | エクア | 規格:錠50mg 適応:2型糖尿病 |
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アログリプチン | ネシーナ | 規格:錠6.25mg/12.5mg/25mg、腎機能正常は25㎎ 適応:2型糖尿病 |
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リナグリプチン | トラゼンタ | 規格:錠5mg 適応:2型糖尿病 |
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テネリグリプチン | テネリア | 規格:錠20㎎/40mg、OD錠20mg/40mg 適応:2型糖尿病 |
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アナグリプチン | スイニー | 規格:錠100mg 適応:2型糖尿病 |
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サキサグリプチン | オングリザ | 規格:錠2.5mg/5mg 適応:2型糖尿病 |
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トレラグリプチン | ザファテック | 規格:錠25mg/50mg/100mg、週一 適応:2型糖尿病 |
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オマリグリプチン | マリゼブ | 規格:錠12.5mg/25mg、週一、腎機能正常は25㎎ 適応:2型糖尿病 |
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配合剤 | スージャヌ エクメット イニシンク リオベル カナリア メトアナ |
DPP4阻害薬の作用機序
DPP-4作用を阻害することにより、インクレチンGIPとGLP-1の血中濃度を高め、 糖濃度依存的にインスリン分泌を促進させ、血糖値を低下させる。また、食後のグルカゴンの分泌は抑制するが、低血糖のグルカゴンの分泌は抑制せず、高血糖のみ血糖改善効果を示す。
また、インクレチンの副経路として、cAMPがEpac2に結合することで始まる、PKA非依存のインスリン分泌増強作用がある。
インクレチンとは
インクレチンは、食事摂取時に消化管から分泌されて膵β細胞からのインスリン分泌を促進するホルモンの総称であり、小腸上部の十二指腸・空腸の粘膜上皮細胞に存在するK細胞から分泌されるGIP(Glucose-dependent insulinotropic peptide)と下腹部小腸の回腸粘膜上皮細胞に存在するL細胞から分泌されるGLP-1(Glucagon-like peptide)の2種類が知られている。
GLP-1はインスリン産生と分泌を促進する作用以外に、膵臓β細胞の増殖や新生の促進、グルカゴン分泌抑制、胃排泄遅延作用、中枢を介して食欲の抑制など血糖値を下げる働き、心筋保護作用を有する。
一方、GIPの作用は、インスリン分泌増強作用に加えて、胃酸分泌抑制、ガストリン分泌抑制、脂肪細胞での脂肪蓄積作用、骨芽細胞でのカルシウム蓄積作用などがある。
GIP 及びGLP-1は、食事やブドウ糖の刺激により、血糖値の上昇に伴って細胞内Ca2+濃度が上昇するとインスリン産生と分泌を促進し、膵臓β細胞の7回貫通型G蛋白共役受容体であるGIP 及びGLP-1受容体に作用できるが、それぞれ単独、もしくは血糖値が低く細胞内Ca2+濃度の上昇がみられない状況下では、インスリン分泌を刺激しない。このため、低血糖をきたしにくいが、これらは、血管壁内に広く存在するDDP-4酵素により速やかに分解・不活性化されて腎臓より排泄されるため、GIPの血中半減期は約5分、 GLP-1は約2分となっている。
DPP4阻害薬の種類
気がついたときにできるだけ早く飲み忘れた分(1日分)を服用するが、次の服用時間が近い場合は飲み忘れた分は飛ばして、次の決められた時間に服用する 食事摂取により影響されないことがわかっている。
腎代謝のものは中等度以上の腎機能障害(男:Cre1.4~1.5、女:Cre1.2~1.3)には慎重投与となるので注意する。
商品名 | 一般名 | 規格 | 服用回数 | 代謝・排泄 |
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ジャヌビア グラクティブ |
シタグリプチン | 12.5mg 25mg 50mg 100mg |
1日1回 | 腎代謝(約87%が未変化体として尿中へ、約13%がCYP代謝され糞中へ) 中等度腎障害1/2、高度腎障害1/4 |
ネシーナ (リオベル) (イニシンク) |
アログリプチン | 6.25mg 12.5mg 25mg |
1日1回 | 腎代謝(約72.8%が未変化体として尿中へ、1%未満がCYPで活性代謝物へ、6%未満が非活性代謝物へ) 中等度腎障害1/2、高度腎障害1/4 |
エクア (エクメット) |
ビルダグリプチン | 50mg | 1日1~2回 | 腎代謝(大部分肝で代謝→25.7%が未変化体、63.6%が不活性代謝物、9.5%がグルクロン酸抱合体で同等活性。未変化体の85%が尿中、15%が糞中へ) 中等度or高度腎障害1/2(分1)、肝機能障害投与不可 |
テネリア (カナリア) |
テネリグリプチン | 20mg | 1日1回 | 肝腎代謝(一部肝で代謝→71.1%が未変化体、残りが代謝物(活性か不明)→合わせたものの45.4%が尿中、46.5%が糞中へ。) |
トラゼンタ | リナグリプチン | 5mg | 1日1回 | 肝代謝(一部肝で代謝→62%が未変化体、残り代謝物→合わせたものの5%が尿中、80%が糞中へ。尿中未変化体排泄率0.6%) |
オングリザ | サキサグリプチン | 2.5mg 5mg |
1日1回 | 腎代謝(一部肝で代謝→うち(未変化体+活性代謝物)の75%が尿中、22%が糞中へ) 中等度or高度腎障害1/2 |
スイニー | アナグリプチン | 100mg | 1日2回 | 腎代謝(一部肝で代謝→50%が未変化体、30%が不活性代謝物→合わせたものの73%が尿中、25%が糞中へ) 高度腎障害1/2(分1) |
ザファテック | トレラグリプチン | 50mg 100mg |
週1回 | 腎代謝(ほぼ未変化体、累積尿中排泄率約76%) 中等度腎障害1/2、高度腎障害1/4 |
マリゼブ | オマリグリプチン | 12.5mg 25mg |
週1回 | 腎代謝(89%が未変化体、残り代謝物→これらの74%が尿中、3%が糞中へ) 高度腎障害1/2 |
※括弧内は配合剤
※腎代謝:未変化体及び活性代謝物の尿中排泄率が70%以上、肝代謝:未変化体及び活性代謝物の尿中排泄率が30%未満(CYPや抱合での代謝はまた別、CYP代謝で活性体になってそれが尿中へ沢山排泄されれば腎代謝)
糖尿病の薬の種類
- インスリン製剤
- GLP-1受容体作動薬
- SU剤(スルホニルウレア剤)
- グリニド剤(速効型インスリン分泌促進薬)
- ビグアナイド剤
- グリミン系(ツイミーグ(イメグリミン))
- チアゾリジン剤
- α-グルコシダーゼ阻害薬
- DPP4阻害薬
- SGLT2阻害薬
- 糖尿病性神経症治療薬
- 糖尿病性腎症治療薬
- 配合剤
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記事No539 題名:追加してもらいたい情報 投稿者:かつき 投稿日:2017-10-11 08:43:57
それぞれの薬剤が肝代謝なのか、腎代謝なのかの情報があるとありがたいです。
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