高カリウム血症
血清カリウムは、総死亡、CVDリスクを低下させる可能性があるため、血清K値4.0mEq/L以上、5.5mEq/L未満での管理が推奨される。
カリウム制限はG3bで2000mg/日以下、G4,G5は1500mg/日以下が目標値。
致死性不整脈を生じる可能性の高い血清K値6.0mEq/L以上(or急激に1.0mEq/L以上上昇し、4.5mEq/Lを超える場合)は緊急治療が必要。
高カリウム血症の治療としては、
- カルシウム製剤・・・グルコン酸カルシウム静脈注射等。カリウムを減らすというわけではなく、緊急時に心筋の興奮を減少させ、高カリウムによる心臓への影響を減らす目的で使用される。
- GI療法・・・ブドウ糖+インスリン。インスリンがブドウ糖を取り込む時にカリウムを取り込むことを利用する。
- β2刺激薬の吸入・静注・・・サルブタモール吸入など。β2刺激薬はPKAの活性化により、血管拡張とは別に、特定のカリウムチャネルを活性化することで、カリウムイオンが細胞外から細胞内へ移動することが知られています。これにより、血中のカリウム濃度が一時的に低下することがある。逆にβ遮断薬は高カリウム血症のリスクを高める。
- 陰イオン交換樹脂・・・ケイキサレート、ロケルマ等。腸内でカリウムと結合して、交換によりナトリウムやカルシウムを放出し、カリウムの排泄を促進する。薬価は高いがロケルマは他のポリマー陽イオン交換化合物よりもK+を選択的に取り込める(他はCa2+、Mg2+なども取り込む)ため併用薬による作用減弱がないこと、水分で膨張しないので消化器系の副作用が少ないことが特徴。
- ロケルマ(ジルコニウムシクロケイ酸Na)・・・非透析患者:1回10g1日3回を通常2日間(最長3日間)、以降1回5g1日1回(最高投与量1日1回15g)
透析患者:1回5gを非透析日に1日1回服用(最高用量は1日1回15g)。
無臭の懸濁用散剤。食事による服用時間の制限なし(食後食前OK)。5g、10g問わず約45mlの水に懸濁して服用。 - カリメート、アーガメイト(ポリスチレンスルホン酸Ca)・・・カリメートDSは1回1~2包を1日2-3回30~50mlの水で懸濁。経口液も1回1-2包を1日2-3回そのまま服用する。
- ケイキサレート(ポリスチレンスルホン酸Na)・・・散は1日30g(6包)、DSは1日39.24g(12包)を50~100mlの水に溶かして飲むが、1日1回3.27g(1包)等用量調整は可。
- ロケルマ(ジルコニウムシクロケイ酸Na)・・・非透析患者:1回10g1日3回を通常2日間(最長3日間)、以降1回5g1日1回(最高投与量1日1回15g)
- ループ利尿薬・・・ラシックス等。尿中へのカリウム排泄を増加させることで血中カリウムを減少させることが出来る。
- 炭酸ナトリウム・・・高カリウム血症で、代謝性アシドーシスを伴う場合に使用。
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