ACE阻害薬とARB一覧

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
ACE阻害薬 カプトプリル カプトリル 細粒5%、錠12.5mg/25mg、Rカプセル18.75mg
エナラプリル レニベース 錠2.5mg/5mg/10mg、細粒(アメル)、慢性心不全の適応有
アラセプリル セタプリル 錠25mg
デラプリル アデカット 錠7.5mg/15mg/30mg
シラザプリル インヒベース 販売中止
リシノプリル ロンゲス
ゼストリル
錠5mg/10㎎/20mg
ベナゼプリル チバセン 錠2.5mg/5mg/10mg
イミダプリル タナトリル 錠2.5mg/5mg/10mg、糖尿病性腎症の適応有
テモカプリル エースコール 錠1mg/2mg/4mg
キナプリル コナン 錠5mg/10mg/20mg
トランドラプリル オドリック 錠0.5mg/1mg
ペリンドプリル コバシル 錠2mg/4mg
ARB ロサルタン ニューロタン 錠25mg/50mg/100㎎、糖尿病性腎症に適応有
カンデサルタン ブロプレス 錠2㎎/4mg/8mg/12mg、OD錠はGEのみ
バルサルタン ディオバン 錠20㎎/40mg/80mg/160mg、OD錠20㎎/40mg/80mg/160mg、
テルミサルタン ミカルディス 錠20mg/40mg/80mg
オルメサルタン オルメテック OD錠5mg/10mg/20mg/40mg、普通錠はGEのみ
イルベサルタン イルベタン
アバプロ
錠50mg/100mg/200mg、OD錠はGEのみ
アジルサルタン アジルバ 錠10mg/20mg/40mg
配合剤

これら二つはレニン-アンジオテンシン系において血圧上昇に関与するアンジオテンシンⅡの働きを抑制する薬剤です。

レニンの活性化によってアンジオテンシンⅡが産生されると、アンジオテンシンⅡは血管平滑筋に存在するAT1(アンジオテンシンⅡ受容体 タイプⅠ)副腎皮質に存在するAT1に結合することで、血管収縮作用とアルドステロン分泌促進作用を示します。

アンジオテンシンⅡは血管内皮細胞のエンドセリンの放出と産生を高め、エンドセリンは血管平滑筋等のET_A受容体/ET_B受容体に結合してさらに血管を収縮させる。

エビデンスの量の関係、及び心筋梗塞抑制効果の関係で、ACE阻害薬のほうがARBに比べて分があるが、空咳や血管浮腫の副作用について考えれば、ACE阻害薬よりもARBのほうが分があるといえる。

ACE阻害薬、ARB両者に見られる注意点としては、妊娠中の服用が禁忌であること、血清カリウムの上昇によるしびれ症状の発現らがある。

副腎のAT1受容体を抑制することで、アルドステロンによるNa-K交換機構(Na+と水を内に、K+を外に)を抑制するスピロノラクトンのようなKを保持する作用を持つといえる。また、甘草の副作用である偽アルドステロン症はARBの作用とは逆なので低カリウム血症(倦怠感)と血圧上昇を引き起こす。

利尿薬ではNa排泄低下により代償的にレニン-アンジオテンシン系が亢進するため、ACE阻害薬を併用すると過度の血圧低下が起こる。→合剤の有効性。

また、これらは即効性ではなく有効かどうかは4~8週後に行われる。ACE阻害薬の降圧作用にはブラジキニンによるNO遊離も絡んでいる。

AⅡは、腎臓において主として輸出細動脈を収縮(輸入細動脈よりも)させ、糸球体内圧を上昇させるとともに、メサンギウム細胞の増殖やTGFβを介して糸球体硬化を進展させる。ARBやACE阻害薬は輸出細動脈を輸入細動脈よりも拡張させる作用がある

腎臓の機能にあるように、糸球体で浸透圧によるろ過を行う(圧力を作る)ために輸入細動脈よりも輸出細動脈の血管が細くなっているが、腎血流が悪くなると圧力が維持できず、レニンを分泌させて輸出細動脈を収縮させろ過圧を高めようとする。

腎機能低下による血圧の上昇を抑制するので、AT1拮抗薬には腎保護作用あり。

心筋は高血圧で肥大する以外に、AⅡが直接心筋を肥大させる。心臓の心筋細胞以外の部分である間質を増殖させ、繊維化や動脈内腔の狭小化を引き起こす。アルドステロンが腎臓や心臓の線維化が強く促進する。これを抑制するので心保護作用ももつ。

ACE阻害薬

ACE阻害薬の作用機序

アンジオテンシン転換酵素(ACE=キニナーゼⅡ)を阻害することでアンジオテンシンⅡの生成を抑制する薬剤。 心血管系の肥厚を改善させ、動脈硬化の進展を阻止する。

動脈を拡張し、後負荷を改善、アルドステロン抑制→Na貯留抑制 により前負荷も軽減。

糖・脂質代謝に悪影響を与えず、インスリン抵抗性を改善する。

尿蛋白の減少効果など腎保護効果、心不全・心筋梗塞の予後改善に効果的がある。心血管イベント抑制や生命予後改善エビデンスは豊富なものの、海外用量に比べて用量が低い(レニベースで1/4,タナトリルで1/2)のと空咳のSEのせいで高血圧治療としてはあまり使用されず、心保護、腎保護作用を期待して低用量が出されることが多い。

ACEはブラジキニンを不活性型にする酵素であるキニナーゼⅡと同一であるため、ACEを阻害するとキニナーゼⅡを阻害することとなり、 結果としてブラジキニンが分解されずに、ブラジキニンによる生理作用が増強する。これが空咳の原因である。空咳は就寝前投与にすることやCa拮抗薬や利尿薬を併用するといくらかましになるという。

ACE阻害薬の種類

  • タナトリル(イミダプリル)・・・糖尿病性腎症にも適応(腎保護)。プロドラッグ、空咳の発現頻度が低い、(T1/2:8h)。海外用量の1/2。
  • レニベース(エナラプリル)・・・慢性心不全にも適応(心保護)。適応のせいもあり、おそらくもっとも多く使われている。海外用量の1/4。
  • アデカット(デラプリル)・・・速攻型、1日30~60mg
  • インヒベース(シラザプリル)・・・降圧効果はレニベースより強い(T1/2:53h)。海外用量の1/2.5。
  • コナン(キナプリル)・・・プロドラッグ
  • エースコール(テモカプリル)・・・吸収のよいプロドラッグ(T1/2:22h)。海外用量と同じ。
  • コバシル(ペリンドプリル)・・・有効域が広く、血管リモデリングの改善作用あり(T1/2:53h)。海外用量の1~1/2。
  • ゼストリル、ロンゲス(リシノプリル))・・・海外用量の1/4。
  • オドリック、プレラン(トランドラプリル)・・・海外用量の1/4。
  • カプトプリル(カプトプリル)・・・海外用量の1/3。
  • セタプリル(アラセプリル)・・・海外用量と同用量。
  • チバセン(ベナゼプリル)・・・海外用量の1/8。

ARB

ARBの作用機序と特徴

AT1(アンジオテンシンⅡタイプⅠ)受容体に結合しAⅡに拮抗し、緩やかではあるが確実な降圧作用を示す。

直接血管平滑筋に作用するだけでなく、アルドステロン分泌を抑制することで、Naの貯留を防いで血圧を低下させる。 そのため、ACE阻害剤と同様、心・腎保護作用がある。 慢性心不全やCKDへの積極的使用がなされる。

Ca拮抗薬は動脈拡張作用による末梢性浮腫が発現することが知られているが、ARBは末梢細動脈だけでなく細静脈の血管も拡張することで、Ca拮抗薬との併用により末梢性浮腫の発現を抑制すると言われる。

これを抑制するために、T型やN型チャネル抑制効果を持つCa拮抗薬を使用する方法もあるが、T/N型チャネル抑制による効果は気持ち程度なので、Ca拮抗薬にARBを併用するというのが一般的になっている。

ロサルタンは尿細管で尿酸吸収を担うURAT1トランスポーターを阻害することで尿酸上昇を抑制するため、利尿薬による尿酸値上昇を緩和できる。また慢性心不全において血圧を下げずに心保護作用を期待するために0.125mg投与もしばしば行われる。

ARBの種類

  • ディオバン(バルサルタン)・・・降圧力★★。AT1受容体に選択性が高い)。半減期が短く分2投与推奨。
  • エンレスト(サクビトリルバルサルタン)・・・アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNI)で、1:1のモル比でサクビトリル及びバルサルタンを含有する。
    サクビトリルはナトリウム利尿ペプチドの分解にかかわるネプリライシンの阻害作用=利尿。高血圧での開始用量は1日1回200㎎(状態等により1回100㎎)で、1日1回400㎎まで増量可能。
    エンレスト200㎎の中のバルサルタンは半分の100㎎とバルサルタン80㎎より一見すると強そうである。
    しかし、ネプリライシンはペプチド分解酵素でナトリウム利尿ペプチド以外にもアンジオテンシンⅠやⅡを分解してしまいRA系を亢進させてしまい、単剤での効果は乏しく、バルサルタンと一緒にすることで効果を示すため、バルサルタンの用量をやや増やすことで帳尻を合わせているらしい。
    なお、50mg錠と100mg錠又は200mg錠の生物学的同等性は示されていないため、100mg以上の容量を投与する際には50㎎錠を使用しないこと。
  • ニューロタン(ロサルタン)・・・降圧力★。AT1選択性=1000倍。尿酸値低下作用。糖尿病性腎症の適応を持ち、腎保護作用を期待して低用量の25mgやその半錠が出されることの方が多い。
  • ブロプレス(カンデサルタン)・・・降圧力★★。AT1選択性=1万倍。プロドラッグ。慢性心不全の適応があり心保護作用を期待して低用量2mgで出る場合もあり。
  • ミカルディス(デルミサルタン)・・・降圧力★★★。AT1選択性=3万倍。
    CYPの影響を受けず、胆汁からほぼ100%排泄される。血中半減期が20~24hとARB中最も長く、24hにわたり持続的な降圧作用を示す。PPARγ活性化作用を併せ持ち、インスリン抵抗性を改善し、糖・脂質代謝を改善する。腎保護作用にも期待。
  • オルメテック(オルメサルタンメドキソミル)・・・降圧力★★★★。高親和性AT1拮抗薬。
    プロドラックでCYPの影響を受けず、前駆体は脱エステル化をうけてオルメサルタンに代謝される。活性酸素を生み出すNADPHオキシダーゼの働きを低下させる。
    その他、抗酸化作用、抗ストレス作用、インスリン抵抗性改善作用、エストロゲン作用増強作用(→抗コレステロール)、 脳血流増加作用あり。
    メトホルミンと一緒に一包化するとメトホルミンのグアニジノ基とオルメサルタンのDMDO基が反応して、メトホルミンがランソプラゾールOD15に見えます。
  • アバプロ、イルベタン(イルベサルタン)・・・降圧力★★。適応はないが、ニューロタンに匹敵する腎保護作用がある。尿酸値低下作用。
  • アジルバ(アジルサルタン)・・・降圧力★★★★★。最も降圧力が強い。

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記事No2258 題名:Re:松原隆雄様 投稿者:管理人tera 投稿日:2022-08-21 13:18:51

アダラートとオルメサルタンの併用は全く問題ありません。2つの作用点は異なるため、1つを倍量のむよりは2種類飲んだ方が効果は高いです。


記事No2254 題名:アダラートCR20とオルメサルタン 投稿者:松原隆雄 投稿日:2022-08-20 16:43:58

飲み合わせは問題ありませんか。必ず2種類飲み合わせしなければならないですか。


記事No912 題名:Re:白石様 投稿者:管理人tera 投稿日:2019-03-15 11:52:12

この内容は、10年以上前の日経DIの血圧トピックの抜粋で記載しました。バックナンバーを探してみましたが、ヒットしなかった上、自分でも改めて見ても詳しくはわからなかったため、後日削除させていただこうと思います。


記事No910 題名:血管収縮度 投稿者:白石 投稿日:2019-03-14 17:03:32

恥ずかしながら質問させてください。
血管収縮度とは何でしょうか。


記事No757 題名:Re:村田様 投稿者:管理人tera 投稿日:2018-10-21 20:40:43

一般的な血圧上昇に伴う薬の変更例として、
アジルバ10mg1日1回服用であれば、20mg1日1回へ増量
アジルバ20mg1日1回復用であれば、他の作用機序のCa拮抗薬等を追加して、血圧安定後、配合剤へ切り替える
というのが一般的です。
アジルバの40mgはほとんど使用はされておりません。あと、アジルバ1日2回服用も保険適応がないのもありますが、ほぼ実績がありません。
あとは各自のご判断、もしくは、医療機関へ電話にて村田様の状況をお話しいただき、ひとまずの対処法を教えていただくかですね。


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