利尿薬

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
サイアザイド系 トリクロルメチアジド フルイトラン 錠1mg/2mg
ヒドロクロロチアジド ダイクロトライド
ヒドロクロロチアジド「トーワ」
錠12.5mg/25mg、OD錠12.5mg
ベンチルヒドロクロロチアジド ベハイド 錠4mg、RAは販売中止
非チアジド系 インダパミド ナトリックス
テナキシル
錠1mg/2mg
メフルシド バイカロン 錠25mg
トリパミド ノルモナール 錠15mg
ループ利尿薬 フロセミド ラシックス 錠10㎎/20mg/40㎎、注、細粒はGEのみ
ブメタニド ルネトロン 錠1㎎、注射
アゾセミド ダイアート 錠30㎎/60mg
トラセミド ルプラック 錠4㎎/8mg、OD錠はGEのみ
K保持性利尿薬・MRA カンレノ酸カリウム ソルダクトン 静注
スピロノラクトン アルダクトンA 細粒10%、錠25mg/50mg
トリアムテレン トリテレン
ジウテレン
カプセル50mg
エプレレノン セララ 錠25mg/50mg/100mg
エサキセレノン ミネブロ 錠1.25mg/2.5mg/5mg、高血圧適応のみ
フィネレノン ケレンディア 10mg/20mg、2型DMでCKDが適応
炭酸脱水酵素阻害薬 アセタゾラミド ダイアモックス 末、錠250mg、注射、緑内障・てんかん・睡眠時無呼吸にも適応有
浸透圧利尿薬 イソソルビド イソバイド シロップ70%20ml/23ml/30ml/包、500ml/瓶
メニレット ゼリー20g/30g/個
D-マンニトール マンニットール等 注射等
濃グリセリン グリセオロール
グリセレブ
注射等
バソプレシンV2受容体拮抗薬 トルバプタン サムスカ 細粒1%、OD錠7.5mg/15㎎/30mg、多発性嚢胞は60mg/日使用
配合剤

利尿薬は、サイアザイド系、ループ利尿薬、K保持性利尿薬、バソプレシン受容体阻害薬の4つに大きく分類され、作用機序はそれぞれ異なりますが、バソプレシンブロッカー以外の3つについては、Naイオンの血中への再吸収を抑制することで降圧作用を示すという機序は共通しています。

利尿薬の作用点は下記を参照。

サイアザイド系(チアジド系)利尿薬

腎尿細管再吸収など、利尿作用が弱く、主に降圧剤として使用される。

塩分摂取量が多い患者の場合、RA系が活性化していないのでARB/ACE阻害薬の効きがイマイチなのことが多いのでこれが適応となる。高尿酸血症にも注意する(記事下部参照)。

遠位尿細管のNaポンプ(Na-Cl共輸送系)を阻害→Na, H2O再吸収抑制→相対的にNa-K交換機構活性化

  • フルイトラン(トリクロルメチアジド)・・・低K血症は少量投与やAT2、ACE阻害薬との併用でかなり予防できる。高血圧には1日1回の少量投与。浮腫には1日2回投与おk。
  • ダイクロトライド(ヒドロクロロチアジド)

非チアジド系利尿薬

チアジド系と同じ機序だが、チアジドではない薬剤。

  • ナトリックス(インダパミド)・・・尿中へのK排泄がチアジド系よりも少ない。
  • バイカロン(メフルシド)

ループ利尿薬

利尿作用が最も高く水と一緒に電解質も排泄するので低Na血症、低K血症に注意する。急性期にはカリウムを細胞内へ留めやすい塩化カリウムを、慢性期にはカリウムの細胞内以降性の高いカリウム塩のLアスパラギン酸カリウムやグルコン酸カリウム等を用いる。

降圧作用は弱いが腎機能を悪化させにくい。降圧目的で使われていた場合重度のCKDである可能性が高い。

ヘンレ上行脚でNa、Cl受動的再吸収抑制→尿の濃縮・希釈機構の抑制→相対的にNa-K交換機構活性化

朝食、朝昼後に服用の1日1~2回が多い(夜は不眠を招くため)。昇圧アミンに対する血管壁反応性低下→手術前慎重投与。

  • ラシックス(フロセミド)・・・高血圧、浮腫に適応。
  • ルプラック(トラセミド)・・・浮腫のみに適応
  • ダイアート(アゾセミド)・・・うっ血性心不全、浮腫に適応

K保持性利尿薬

まとめるとこの部類になるが、それぞれ微妙に作用点が異なる。

カリウムを保持して水分とNaを排泄するので、高カリウム血症に注意する。高カリウム血症の治療にはカリメート等のカリウムイオン交換剤が使用される。GI療法ではインスリンがカリウムを下げる働きがあることを利用するが、低血糖のリスクに注意するためグルコース・インスリン療法と呼ばれる

アルドステロンは心臓や腎臓の線維化に関わるため、心不全による浮腫でよく使用される。また総合的に血圧を下げる作用があるので高血圧にも使用される。他利尿薬で低K血症になりがちな患者にも使用される。

  • アルダクトンA(スピロノラクトン)・・・利尿作用も降圧作用も弱い。
    遠位尿細管~集合管のアルドステロン受容体に拮抗→Naチャネル遮断→遠位尿細管のNa-K交換機構不活性化→Na、H2O再吸収抑制
    うっ血性心不全に適応あり。
    鉱質コルチコイド受容体だけでなく、アンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体に対する親和性もあるため、女性ホルモン様作用(女性化乳房他)が起こることがある。対策はセララ切り替え。
  • トリテレン、ジウテレン(トリアムテレン)・・・アルドステロンと無関係に直接尿細管に作用する。
  • セララ(エプレレノン)・・・SAB(選択的アルドステロンブロッカー)。1日1回。Tmax:1.46h、T1/2:5h。 アルドステロンは、 腎などの上皮組織並びに心臓、血管及び脳などの非上皮組織における鉱質コルチコイド受容体に結合し、ナトリウム再吸収及びその他の機序を介して血圧を上昇させる。
  • ミネブロ(エサキセレノン)・・・非ステロイド。ミネラルコルチコイド受容体の活性化を抑制することで、降圧作用を発揮するものと考えられる
  • ケレンディア(フィネレノン)・・・非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬。炎症及び線維化等を引き起こすMR受容体の活性化を抑制することで心血管・腎臓傷害を抑制する。用量が少ないため、血圧を下げる働きは弱い(用量を増やせば血圧も下がるかも)。
    血清カリウム値及びeGFRに応じて用量を調節する。1日1回。2型糖尿病を合併したアルブミン尿(UACR≧30㎎/g)が検出された患者が適応(UACRは尿中アルブミン/クレアチニン比)。
    CKDでなくてはならず、CKDと判定してしまうと、アルブミン尿の検査は出来なくなることがデメリット(タンパク尿の検査はできる)らしい。
    SGLT2阻害薬と同じように、投与後一時的にeGFRが悪化するが、長期ではよくなる。 重大な副作用は他のと同様高カリウム血症。

K保持性利尿薬であるスピロノラクトンの作用機序は、Na-K交換機構のアルドステロン受容体に拮抗することで、Na+の血液中への再吸収を抑制して血圧を下げるというものであるが、 SAB(選択的アルドステロンブロッカー)は、このNa-K交換機構のアルドステロン受容体だけでなく、その他の組織のアルドステロン受容体にも作用し、結果的にアルドステロンによるNa貯留を抑えるばかりか、アルドステロン→ Na貯留から起こるレニンへのネガティブフィードバックも抑制することができる。

レニンは、レニン-アンジオテンシン系の図からもわかるとおり、最終的には”血圧を上げる”物質ですので、レニンが少なくなれば、血圧が常に下がっている状態が保てるわけです。

一方、日本人のように食塩の摂取量が多い場合は、食塩の摂取量が多い=Na+が多いことを意味するので、ネガティブフィードバックをかけずしてレニン活性は低下しています。

このような食塩によって誘発される低レニン高血圧は、食塩によって血圧が上昇しているので、アルドステロンやアンジオテンシンらの作用で血圧が上がっているときとは違って、ACE阻害薬、ATⅡ拮抗薬など他の降圧剤は効きにくいといわれますが、SABはこのような低レニン型の高血圧であっても優れた降圧作用を示すといわれています。

つまり、SABは食塩摂取量の多い低レニン型の高血圧患者さんに適しています。

利尿剤以外の降圧剤との併用は問題ないですが、今主流のACE阻害orATⅡ拮抗薬+利尿剤の組み合わせよりも、ATⅡの腎保護、心保護作用がない分、分が悪いのかもしれません。

併用禁忌薬としては、K保持性利尿薬と同じようにK+貯留を招くゆえ、カリウム製剤、そして、CYP3A4で代謝されることから、イトリゾールと併用不可、GFJ(グレープフルーツジュース)はなるべく一緒にとらないように伝えます。

バソプレシン受容体阻害薬

集合管にてバソプレシンV2受容体に拮抗し、Na等の電解質を維持して水再吸収を阻害することにより選択的に水を排泄し、電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す。また、多発性のう胞腎においてはバソプレシンによる細胞内cAMPの上昇を抑制することにより、腎容積及び腎のう胞の増大を抑制する。

うっ血性心不全や肝硬変による体液貯留に用いる場合、Na+を排泄せずに水分のみを排泄するため、高ナトリウム血症にならないためにも他の利尿薬(ループ、サイアザイド、抗アルドステロン等)と併用して使用する。

特に投与開始時又は漸増期において、過剰な水利尿に伴う脱水症状、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、少なくとも本剤の投与開始は入院下で行い、適切な水分補給の必要性について指導すること。また、本剤投与中は少なくとも月1 回は血清ナトリウム濃度を測定すること。

目標体重に戻っても漫然と投与しない。

  • サムスカ(トルバプタン)・・・心不全及び肝硬変における体液貯留、常染色体優性多発性のう胞腎に適応。

利尿薬と高尿酸血症

腎臓の糸球体にてろ過された尿酸は、近位尿細管で90%が再吸収され、残りが尿中に排泄される。尿酸の尿細管内への取り込み(尿細管分泌) と尿細管細胞内への取り込み(再吸収)はURAT1(尿酸トランスポーター) によってなされている。

このURAT1は尿酸排泄促進薬(プロベネシドなど)の標的でもあり、有機アニオン(グルコース、アミノ酸などの陰イオン) 、乳酸、ニコチン酸らと交換で尿酸を再吸収するタンパク質です。

一般に利尿薬服用によって血流量が減少すると、レニン-アンジオテンシン系が賦活され、Na+吸収を伴う血圧の上昇が起こります。

有機アニオン類は近位尿細管でNa+と共輸送によって再吸収されるので、この際にNa+と一緒に尿細管細胞内へと再吸収される。

尿細管細胞内 で増加した有機アニオン類はURAT1を介して尿細管へと分泌され、それと交換で尿酸が再吸収されて高尿酸血症になる。

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