β遮断薬・αβ遮断薬一覧

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
β1選択性(ISA-) ビソプロロール メインテート 規格:錠0.625mg/2.5mg/5mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症心室性期外収縮、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者、頻脈性心房細動
ビソノテープ 規格:テープ2mg/4mg/8mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、頻脈性心房細動
アテノロール テノーミン 規格:錠25mg/50mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮)
メトプロロール セロケン
ロプレソール
規格:錠20mg、SR120㎎(ロプレのみ)、錠40㎎(ロプレのみ)、L120㎎(セロケンのみ)
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈
ベタキソロール ケルロング 規格:錠5mg/10mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症
β1選択性(ISA+) セリプロロール セレクトール 規格:錠100mg/200mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症
アセブトロール アセタノール 販売中止
β1非選択性(ISA-) ニプラジロール ハイパジール 規格:錠3mg/6mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症
プロプラノロール インデラル 規格:錠10㎎、注射液
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、褐色細胞腫手術時、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防、片頭痛発作の発症抑制、右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制
ナドロール ナディック 規格:錠0㎎/60mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈
β1非選択性(ISA+) カルテオロール ミケラン 規格:細粒1%、小児細粒0.2%、錠5㎎(GRのみ)、LAカプセル15mg(GEのみ)
適応:狭心症、心臓神経症、不整脈(洞性頻脈、頻脈型不整脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮)、本態性高血圧症(軽症~中等症)
補足:血圧適応は錠/Capのみ
ピンドロール カルビスケン 規格:錠5㎎
適応:洞性頻脈、本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症
ピンドロール徐放剤 ブロクリンL 製造中止。規格:徐放カプセル5mg/15mg
ボピンドロール サンドノーム 販売中止
αβ遮断 カルベジロール アーチスト 規格:錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者、頻脈性心房細動
補足:血圧は10と20のみ
アロチノロール アルマール→アロチノロール塩酸塩「DSP」 規格:錠5㎎/10mg
適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈、 本態性振戦
アモスラロール ローガン 規格:錠10㎎
適応:本態性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症
ラベタロール トランデート 規格:錠50㎎/100㎎
適応:本態性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症
ベバントロール カルバン 規格:錠25mg/50㎎/100㎎
適応:高血圧症

作用機序

β受容体には主に心筋に存在するβ1受容体と平滑筋に存在するβ2受容体、脂肪細胞に存在するβ3受容体の3種類あります。ともにノルエピネフリン(NE)が受容体に結合することでその作用を示します。

β1が刺激されると、心筋が収縮して心臓が活性化され、β2が刺激されると、気管支や血管の平滑筋が弛緩(拡張)したり、グリコーゲンの分解等が起こります。

臓器とβ受容体の関係

臓器 部位 受容体 反応
眼 毛様体筋 β 弛緩(遠視)
心臓 洞房結節
心房
心室
β1 心拍数増加
収縮力増加
収縮力増加
動脈 冠血管
骨格筋血管
内臓・腎
β2 血管拡張
静脈   β2 血管拡張
肺 気管筋 β2 気管支拡張
肝臓 グリコーゲン分解 β2 血糖上昇
胃腸 運動と緊張 β1 運動抑制
腎臓 レニン分泌 β2 レニン分泌促進
膀胱 排尿筋
膀胱平滑筋
β2
β3
弛緩
唾液腺   β アミラーゼ分泌
脂肪細胞   β1、β3 脂肪分解促進

これをみると、β受容体を刺激する薬物は心臓を活性化する以外にも、脂肪を分解したり、唾液を分泌させたり(唾液は副交感神経でも分泌されます)、cAMP上昇によるグリコーゲン分解を促進して血糖値を上げる作用もあります。

心臓を活性化させる目的で使った場合は、脂肪分解作用は副作用ということになります。

β1受容体のメカニズムは下図。

β2受容体のメカニズムは下図。

β2受容体に結合→ACの働きでATPがcAMPとなり、cAMPはプロテインキナーゼAを活性化し、Aキナーゼはミオシン軽鎖キナーゼをリン酸化して不活性化することで、ミオシンのリン酸化による血管収縮が抑制されて、血管が拡張する。

cAMPはホスホジエステラーゼ(PDE)により分解されてAMPとなる。PDEを抑制するとcAMPが増えるため、β2の作用が増強される(テオフィリン等)。

反対にCa2+濃度の上昇は、カルモジュリンと複合体を形成し、Ca2+/カルモジュリン複合体はミオシン軽鎖キナーゼを脱リン酸化して活性化することで、ミオシンのリン酸化を促し、血管が収縮する。

選択性の違いについて

  1. β1選択性か→インデラルなどの非選択型β遮断薬は、β2受容体も阻害するので、気管支喘息のヒトには注意である。
  2. 脂溶性か水溶性か→脂溶性のβ遮断薬(プロプラノロール、メトプロロールなど)は肝臓で代謝され、作用時間が短いが。水溶性のβ遮断薬(アテノロール)などは腎臓で排泄され、作用時間が長い。
  3. ISA→ISA(内因性β刺激作用)作用をもつβ遮断薬は、過度の徐脈を防ぐので、高齢者、徐脈の患者さんに適している。

ISAとは、内因性β刺激の意味で、交感神経が興奮しているときは βを抑え、興奮していないときはβをわずかに刺激する作用のこと。

ISA+は心拍出量を減少させすぎないため、高齢者や徐脈の患者さんに適している。→生命予後改善のエビデンスが得られず選ばれることは少ない。

ISA-は心拍出量を減少させるため、狭心症や頻脈の患者さんに適していて、 心筋梗塞の再発や虚血性疾患を防止し、心不全の予後を改善する。

β遮断薬の使い方

インデラル、セロケンは食後に服用すると血中濃度が上昇する(食事で門脈血流量が増加するため)。

慢性心不全の適応はメインテートとアーチストが持ち、β1選択性が高いメインテートは心機能抑制力が強いので中等度の心不全に、β1選択性が低いアーチストは血圧が高く、重度の心不全の患者等に用いられる。

不整脈(頻脈)にはメインテートやテノーミン等のβ1選択的遮断薬が単剤かつ頓服で使用されることが多い。

労作性狭心症や心筋梗塞の予防にも心筋の酸素消費量を下げるためにβ遮断薬が投与される。安静時狭心症では血管を収縮する可能性があり冠攣縮を悪化させるβ遮断薬は使用されない。

β1選択性(ISA-)

β1受容体に選択的に結合して心臓機能を抑制する。脂肪分解抑制作用は肥満の患者さんによくない。

  • メインテート、ビソノテープ(ビソプロロール)・・・狭心症、心不全、不整脈。β1:β2=75:1
  • テノーミン(アテノロール)・・・狭心症、不整脈。β1:β2=35:1
  • セロケン(メトプロロール)・・・・狭心症、不整脈。β1:β2=20:1
  • ケルロング(ベタキソロール)・・・狭心症

β1選択性(ISA+)

  • セレクトール(セリプロロール)・・・狭心症。持続性

非選択性β(ISA-)

  • インデラル(プロプラノロール)・・・狭心症、不整脈。非選択性のため、心機能抑制作用に加えて、β2遮断作用である血管収縮が起こる。同時に気管支収縮も起こるので、 喘息患者には禁忌となっている。

非選択性β(ISA+)

  • サンドノーム(ボピンドロール)・・・プロドラッグであり持続性。効果はインデラルの倍以上といわれる。
  • カルビスケン(ピンドロール)・・・膜安定化作用-

αβ遮断

  • アーチスト(カルベジロール)・・・持続性高血圧、狭心症、慢性心不全に適応。高血圧:成人1日1回10~20mg、狭心症:成人1日1回20mg、慢性心不全:通常、成人1回1.25mg、1日2回で開始する。検査で心不全の増悪がないか確認しながら1~2週かけて段階的に増量し、維持量である 1回2.5mg~10mgに到達させる。慢性腎不全に使用する場合は、ACE阻害薬、ジギタリス、利尿薬で治療中のものに限る。
  • アルマール(アロチノロール)・・・狭心症、不整脈に適応。心不全には適応なし。インデラルより効果、持続時間↑。

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