癌とは

がん原遺伝子ががん遺伝子に変化し、がん細胞ができると、指数関数的に増え、画像検査で見つかる直径1cmになるまで約10年かかる。

がん細胞は最初に発生した場所(原発巣)から、基底膜を破って湿潤し、血行性転移(血管の流れに乗って広がる)、リンパ行性転移(リンパ管のリンパ液に乗って広がる)、播種(臓器からがん細胞が剥がれ落ちる)の3パターンで他の臓器へと転移する。

そのため、がんが最初に出来た原発巣を外科的に除去しても、原発巣が100万個くらいのがん細胞になった時にはすでにもう、原発巣の近く(局所転移、領域転移)や遠く(遠隔転移)へ転移していることも多い。

がん細胞が遠隔転移を引き起こす際には、次のような現象を起こすと考えられている。

  • 周囲の組織との結びつきを失い、剥がれやすい状態になる。・・・細胞と細胞の間の接着因子と呼ばれるタンパク質の発現を低下させる。
  • 運動能力を得て、組織内でふらふらと動き出す。・・・細胞が動くためのアクチンファイバーを壊したり、再構築して動く。
  • 血管新生因子を放出し、新しい血管を創りだしてがん細胞近くまで引き寄せ、そこから酸素や栄養を得る。がんはVEGF(血管内皮増殖因子)を放出することで新生血管を作る。
  • 血管の壁を溶かす物質を放出して血管内に入り込む。がん細胞はMMPなどのタンパク質分解酵素を分泌して血管の壁を壊し、血管内へ入り込む。
  • 血流に乗って他の臓器や器官へと移動し、そこに付着して増殖を始める。

転移・湿潤しやすいがんは

  • 乳がん・・・肺、肝臓、脳、骨
  • 骨肉腫・・・肺、肝臓、脳、骨
  • 卵巣がん・・・子宮、大網、大腸、腹膜
  • すい臓がん・・・十二指腸、胆管、肝臓、血管、神経、腹膜
  • メラノーマ・・・リンパ節
  • スキルス胃がん・・・腹膜

で、肺や肝臓は毛細血管が網の目のように広がっているので、がん細胞が引っかかって着床しやすいので転移しやすい。

小細胞がんは小さな細胞が密集しているがんで増殖が速く、転移しやすい。非小細胞がんは扁平上皮がんと腺がん、大細胞がんにわけられる。扁平上皮がんは体の外部(表面)を覆っている皮膚や粘膜にできる癌で角質を作る性質がある、腺がんは体の内部の分泌物等を出す組織から発生するがん。大細胞がんは扁平上皮がんと腺がんに属しないもの。

がん死亡数は男女合わせると、肺>大腸>胃>膵臓>肝臓。がんは治療後2-3年以内に再発することが多く、再発しやすいがんは、肝臓がん、すい臓がん、食道がん、膀胱がん、直腸がん。

5年立って再発しなければ一般に完治したとみなされるが、乳がん、腎臓がん、甲状腺がんのように10年以上経ってから再発する例もある。2017時点の5年生存率は胃がん70.4%、大腸がん72.6%、肝臓がん38.5%、肺がん39.1%、乳がん92.7%である。

再発したがんは、悪性度の高い細胞の比率が高まり、手術で取り除いても一般に治らないことが多いので、初回手術後に抗癌剤を投与したり、放射線を照射したりする術後補助療法が行われている。これにより限りなくゼロへ近づけ、あとは人間の免疫細胞にて抑制させる。

かつては細胞傷害性抗がん剤による治療が主流であったが、今般はがん細胞の遺伝子を解析して、患者ごとにがんの原因遺伝子変異を見つけ、その遺伝子変異に効果がある分子標的薬を使用する。

がん治療は、手術療法、放射線治療、化学療法、免疫療法の4本柱。

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