肺がん

肺がんは小細胞肺がんと非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)に大別される。うち非小細胞肺がんが80%を占める。

小細胞がんは喫煙との関連性が高く、中枢側の気管支から発生することが多い。増殖速度が早く悪性が強い、抗癌剤による反応性が高いので化学療法が推奨される。多くは再発するため予後は不良。

非小細胞がんの中では腺がんが多く、抗がん剤に低感受性、放射線治療の適応がないⅢ期~Ⅳ期は化学療法、特に分子標的薬を用いるケースが多い。

術後病理病期Ⅱ/ⅢA期の完全切除例に対しては、術後にシスプラチンと従来の抗癌剤の併用療法、腫瘍径2cmを超える術後病理病期Ⅰ期の完全切除例に対しては術後にUFT(テガフール・ウラシル配合剤)療法が推奨されている。

Ⅳ期の非小細胞肺がんでは根治療法の適応とはならず、延命をはかることであり、症状の緩和を目的として使われる薬剤が分子標的薬となる。分子標的薬の適応は主として、手術不能又は再発非小細胞がん。効果を示す反面、耐性獲得腫瘍が問題であり、7次治療とかまで移行するケースは少なくない。

非小細胞肺がんでは、非扁平上皮癌と扁平上皮癌で治療がやや異なる。

扁平上皮がんでは、CD8陽性T細胞表面の活性化抑制チェックポイント分子であるPD-1にがん細胞のPD-L1が結合するのを抑制する分子標的薬を用いる。

非扁平上皮がんでは、遺伝子スクリーニングにおいてEGFR遺伝子変異陽性、ALK遺伝子転座陽性、ROS1遺伝子転座陽性、PD-L1陽性、またはそれらの組み合わせによって対応する分子標的薬を用いるなど治療が異なる。

  • ザーコリ(グリゾチニブ)・・・ALK-TKI。ALK、MET、ROS1受容体チロシンキナーゼに対するATP競合性の傾向低分子チロシンキナーゼ阻害薬、下流のERK、AKT、STAT3など細胞増殖・伸展に関与する経路を抑制する。
  • アレセンサ(アレクチニブ)・・・選択的ALK阻害薬。グリゾチニブの約10倍のALKに対する親和性。グリゾチニブ耐性ALK陽性肺がんに用いる。

EGFR遺伝子変異陰性の際は、白金製剤(CDDP)とPTX、DTX、GEMなどのの併用が標準で、これらが無効の際はDTXの単剤投与。葉酸代謝拮抗薬のペメトレキセドは進行した非扁平上皮癌に高い効果。

肺がん確定診断までの流れ

自覚症状(咳、痰、発熱、息苦しさ、同期、胸の痛み等の呼吸器症状)→胸部X腺、喀痰細胞診→胸水、陰影確認、細胞診で悪性細胞+→CTでガンの大きさや場所、リンパ節転移の有無を調べる→気管支鏡検査で気管・気管支の状態を観察し、検査のための組織や細胞を採取→MRIで他の部位の転移状態確認→FDG-PET/CT検査で全身のがん細胞を検出→確定診断。

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