子宮頸がん
子宮頸がんの95%はHPV(人パピローマウイルス)感染が原因で、特にHPV16型が全体の半分を占め、ついで18型が10~20%を占める。
HPVは200型以上が同定されているが、そのうち粘膜上皮に感染する型はAlpha属に分類され、さらに発がん性のリスクにより高リスク軍と低リスク軍に分けられている。
| リスク | HPVの型 | 詳細 |
|---|---|---|
| 発がん性がある | 16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58, 59 | 発がんリスクが明確に証明されている |
| おそらく発がん性がある | 68 | 上と合わせて高リスク型13種として一括りで判定 |
| 発がん性の可能性がある | 26, 53, 66, 67, 70, 73, 82 など | 発がんの「可能性」はあるものの、単独でがん化を引き起こす力は弱い |
| 発がん性として分類できない | 6, 11 など | 主に外陰部や腟にできる良性のイボ(尖圭コンジローマ)の原因 |
HPVウイルスは男女ともに感染する可能性があり、男性では子宮頸がんの発症はないもののキャリアにはなりえるため、性行為によるピンポン感染を防ぐためや、男性の中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、尖圭コンジローマなどの直接的な原因になるため、男性がワクチン接種を行うことは有用である。
男女ともにワクチンを接種することでウイルス全種の根絶は難しいが、「がんを引き起こす主要な高リスク型HPV」の感染をゼロに近づけることはできる。
HPVワクチンの経緯
HPVワクチンの定期接種は実を言うと2013年に既に開始されている。
ところが、定期接種開始直後に、接種後に生じたとされる疼痛や運動障害等の副作用に関する報道が頻回にあったことから2013.6に厚労省が「HPVワクチン接種の積極的勧奨の一時差し控え」を通知したため、事実上の停止状態に陥った。
その後、2021年に、差し控え通知の終了が発表され、2022.4から積極的勧奨の再開になっている。
停止期間(空白の9年間)の間の年代に対して、2024.4~2025.3までキャッチアップ接種(無料)が行われていた。
HPVワクチン(2価:サーバリックス、4価:ガーダシル、9価:シルガード9)の定期接種(公費)の対象は12~16歳の女性小学6年~高校1年相当の女性(性行経験者率が増加する前の年齢)で、持続期間は10年以上(抗体が持続)とされる。
※効能効果の追加により、シルガード9は男性への接種も可能になった。男性のHPVワクチン接種は任意接種の対象。自治体によっては男子に対する費用補助を行っている場合もある。
子宮頸がんの治療
ワクチンを接種していなかった人や、接種していたとしてもワクチンの型とは異なるHPVに感染してしまえばHPVウイルスに感染する可能性はある。
感染してしまった場合、進行度によって適切な治療を行う必要がある。
- Ⅰ期・・・がんが子宮頚部に限局するもの
- Ⅱ期・・・がんが子宮頚部を超えて広がっているが、骨盤壁または膣壁下1/3には達していないもの
- Ⅲ期・・・がん浸潤が骨盤壁にまで達するもので、腫瘍塊と骨盤壁との間にcancer free spaceを残さない。また膣壁浸潤が下1/3に達するもの
- Ⅳ期・・・がんが小骨盤腔を超えて広がるか、膀胱、直腸粘膜を侵すもの
1期の前段階である前がん病変では子宮頸部円錐切除術、1期~2期初めにかけては子宮全摘出術、2期~3期にかけては同時化学放射線療法、4期以降については全身化学療法が主として使われる。
- 子宮頸部円錐切除術・・・子宮頸部を円錐状に切除する方法
- 子宮全摘出術・・・未閉経患者に対して行った場合、術後更年期症状がでたり、心疾患やDMなどのリスクが増えるため、術後ホルモン補充療法をが必要
- 同時化学放射線療法・・・放射線治療(対外照射と膣内照射を組み合わせる)に、シスプラチンを週一回投与が標準。
- 全身化学療法・・・プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)、微小管重合阻害薬(パクリタキセル)、血管新生阻害薬(ベバシズマブ)、免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ、セミプリマブ)、抗体薬物複合体(チソツマブ ベドチン)
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