肝臓がん
肝臓がんの原因は、ウイルス性肝炎(約80%がHCV、約15%がHBVの持続感染)、アルコール性肝炎(ADL)、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患/脂肪肝炎(MASLD/MASH)といった慢性肝疾患である。
肝臓がんは他のがんと異なり、腫瘍進行度だけでなく肝予備能が重要であり、腫瘍が進行していなくても肝予備能が不良であれば予後は不良となる。
肝予備能の評価
肝予備能を評価する上で最も良く用いられるのが以下のChild-Pugh分類である。
| 1点 | 2点 | 3点 | |
|---|---|---|---|
| 血清ビリルビン値(mg/dL) | 2.0未満 | 2.0~3.0 | 3.0超 |
| 血清アルブミン値(g/dL) | 3.5超 | 2.8~3.5 | 2.8未満 |
| プロトロンビン活性値(%) | 70超 | 40~70 | 40未満 |
| 腹水 | ない | 少量 | 中等量 |
| 肝性脳症 | ない | 軽度 | 時々昏睡 |
Child-Pugh分類において、各臨床症候と血液検査の合計点数に応じて、A:5~6点(代償期)、B:7~9点(非代償期)、C:10~15点、となっている。
そして、このGradeA~Cが肝細胞がん診療ガイドラインにおける治療アルゴリズムに使用されている。
その他の肝予備能の評価方法として、ALBIスコアやMELDスコア、MELD-Naスコア、肝障害度等の評価方法がある。
肝がんの治療
肝がんの治療法には、手術、肝移植、局所療法(ラジオ波焼灼療法(RFA))、冠動脈化学塞栓療法(TACE)、薬物療法がある。
肝がんの治療アルゴリズムは基本的には以下ガイドラインの治療アルゴリズムに従う。
Child-Pugh分類A/Bに対する治療において、腫瘍数が多かったり、サイズが大きかったりするとラジオ波焼灼療法(RFA)のような局所制御を狙った治療ができない。全身症状が保たれた患者に対しては全身薬物療法、特に複合免疫療法を選択。
Child-Pugh分類Cに対しては、65歳以下かつ肝細胞癌が「5-5-500基準」を満たしていれば、肝移植の適応となる。
肝がんの薬物療法
- ソラフェニブ単剤・・・初期の中心的治療。生存期間中央値(MST)が約10か月
- レゴラフェニブ、レンバチニブ、ラムシルマブ、カボザンチニブ単剤・・・MSTが約20か月
- 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)単剤or多剤との併用・・・
- Atez/Bez療法・・・アデゾリズマブ+ペバシズマブ併用療法。MSTが約26か月と長く、肝予備能(ALBIスコア)が良好に維持
- STRIDEレジメン・・・デュルバルマブ*トレメリムマブ併用療法。5年生存率が全体で約20%、腫瘍縮小率50%以上の症例では約60%。
(参考文献:調剤と情報2025.7)
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