ペプチド類(グリコペプチド系・ポリペプチド系)抗生物質
分類 | 成分名 | 商品名 | 規格・剤形・補足 |
---|---|---|---|
グリコペプチド系 | バンコマイシン | 塩酸バンコマイシン | 散0.5g/瓶、点滴静注用 |
テイコプラニン | タゴシッド | 注射用、点滴静注用(GE) | |
ポリペプチド系 | コリスチンメタンスルホン酸Na | オルドレブ | 点滴静注用 |
コリマイシン | 散 | ||
メタコリマイシン | 顆粒、カプセル300万単位 | ||
ポリミキシンB | 硫酸ポリミキシンB | 散、錠25万単位/100万単位 | |
バシトラシン・フラジオマイシン | バラマイシン | 軟膏 | |
リポペプチド系 | ダプトマイシン | キュビシン | 静注用 |
グリコペプチド系
グリコペプチド系抗生物質は細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)の構成単位であるムレインモノマーのD-Ala-D-Ala部位と水素結合をして覆うことで、PBP(ペニシリン結合タンパク)がD-Ala-D-Ala部位に結合するのを阻害し、ペプチドグリカンの合成を抑制する。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、PBPがD-Ala-D-Alaと親和性の低いPBP2'(2プライム)になっているため、D-Ala-D-Alaに似た構造を持つβラクタム系抗生物質がPBP2'に結合できず、ペプチドグリカンの架橋形成を抑制することが出来ない。
グリコペプチド系はPBPを標的としていないため、MRSAにも抗菌作用を示す。
分子量が大きいので、グラム陰性菌の外膜(のポーリン)を通過できず、グラム陰性菌の細胞壁まで到達できないため、グラム陰性菌には効かない。
グラム陽性菌にのみ抗菌作用を示す。MRSAはもちろんのこと、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)も得意。嫌気性菌は基本効果がないが、クロストリジウム・ディフィシルはカバーできる。
しかしながら、グラム陽性菌であったとしても、バンコマイシン耐性遺伝子(VanA型はバンコマイシンとテイコプラニン両方に、VanB型はバンコマイシンのみの耐性遺伝子)を持つ菌(D-Ala-D-AlaがD-Ala-D-Lac(乳酸)になっている)に対しては効果がない。
- 塩酸バンコマイシン(バンコマイシン塩酸塩)・・・適応:内服は偽膜性大腸炎、嫌気性菌(クロストリジウム・ディフィシルのみ)にメトロニダゾールの代わり、注射はMRSAとペニシリン感受性肺炎球菌の第一選択(敗血症や熱傷・外傷の二次感染、肺炎など)
分子量が大きく腸管からは吸収されないので腸管感染症(クロストリジウム・ディフィシル)には内服で用いることで効果を示す。
治療域と中毒域が近いのでトラフ値のTDMが必須。TDMを行っていたとしても腎障害と第八脳神経障害には注意する。
また特徴的な副作用としてレッドネック症候群がある。これはバンコマイシンを急速に静注するとヒスタミンが遊離して頭や顔に紅斑がみられる症状でアナフィラキシーとは区別される。防ぐためには60分以上かけて静注を行う必要がある。 - タゴシッド(テイコプラニン)・・・使い方や注意点はバンコマイシンと同じ。バンコマイシン耐性菌に用いる。静注の際は30分以上かけて行う。
-
抗菌薬
├ βラクタム系
├ ホスホマイシン系
├ ペプチド類
├ アミノグリコシド系
├ テトラサイクリン系
├ マクロライド系
├ ニューキノロン系
├ 抗酸菌治療薬(抗結核薬、抗ハンセン病)
├ ST合剤
└ その他・・・リンコマイシン系、、オキサゾリジノン系、クロラムフェニコール系、メトロニダゾール、フシジンレオ、バクトロバン
- 抗菌ペプチド
コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。
- << 前のページ
- 次のページ >>