マクロライド系抗生物質

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
マクロライド系(14員環) エリスロマイシンエチルコハク酸エステル エリスロシン W顆粒20%、錠100㎎/200mg、DS10%、DSW20%、点滴静注用
エリスロマイシン エリスロマイシン「サワイ」 腸溶錠200㎎
クラリスロマイシン クラリス
クラリシッド
錠200㎎、錠小児用50㎎、DS10%
ロキシスロマイシン ルリッド 錠150㎎
マクロライド系(15員環) アジスロマイシン ジスロマック 細粒小児用10%、錠250㎎/600mg、錠500㎎(トーワのみ)、錠100㎎(タカタのみ)、カプセル小児用100mg、点滴静注。
600㎎は適応がエイズのみ
ジスロマックSR 販売中止
マクロライド系(16員環) ジョサマイシン
ジョサマイ
錠50㎎/200mg、シロップ3%、DS10% 錠50㎎/200mg(ジョサマイシン)、シロップ3%/DS10%(ジョサマイ)
スピラマイシン アセチルスピラマイシン 錠100㎎/200mg
スピラマイシン スピラマイシン「サノフィ」 錠150万単位
フィダキソマイシン ダフクリア 錠200㎎

マクロライド系抗生物質は14員環or15員環or16員環ラクトンに、ジメチルアミノ糖がグリコシド結合した構造を持っている。

マクロライド系抗生物質はは細菌に取り込まれた後、細菌の細菌のリボソームの50Sサブユニットに特異的に結合して、タンパク質合成の中の後半部分である転座(A部位がP部位に、P部位がE部位へ移動する反応)を阻害してタンパク合成をストップさせる。

この系の薬剤はグラム陽性・陰性菌への広範囲のスペクトルを有しているが、抗菌作用はβラクタム系等よりは弱い(静菌作用)ため、細胞壁をもたないマイコプラズマや細胞内寄生菌であるクラミジア属、リケッチア属、レジオネラ属に対して主として用いられる。小児のライノウイルスやRSウイルスにも使用される。

テトラサイクリン系のように緑膿菌やMRSAに対する適応がなく、肺組織への移行性が高いため、マイコプラズマに対してはテトラサイクリン系に比して第一選択薬となっている。

なお、マクロライド系抗生物質は抗菌作用に加えて、

  • IL-8抑制→好中球抑制
  • ICAM-1抑制→ウイルス
  • 好酸球も抑制、MUC5抑制→ムチン合成抑制→痰の分解
  • 上皮細胞や腺細胞のClイオン輸送を抑制→鼻水抑制
  • モチリンレセプターに結合→モチリンアゴニスト→消化管蠕動運動促進作用
  • バイオフィルム形成抑制(緑膿菌)→抗炎症作用

など複数の作用を持っている。

一部の薬剤は、CYP3A4のヘム鉄と共有結合して阻害することで、CYP3A4で代謝される他の薬剤の血中濃度を上昇させるため、禁忌となっている薬が多いのも特徴。

長期連用で細菌の50Sサブユニットがメチル化されてしまい、薬剤が50Sに結合することができなくなり抗菌作用が低下することがある。

マクロライド系(14員環)

  • エリスロシン(エリスロマイシン)・・・胃酸による分解を受けやすいため、経口で投与する場合、腸溶性のコーティングを施すか、安定な塩やエステルにする必要がある。先発品のエリスロシン及びドライシロップ、W顆粒はエリスロマイシン塩基とすることで難溶性、耐酸性を高めている。サワイ製品は腸溶性コーティングをしているため、粉砕だけでなく簡易懸濁法にも適さない。
    禁忌薬剤:クリアミン、ジヒデルゴット、オーラップ、スンベプラ
  • クラリス、クラリシッド(クラリスロマイシン)・・・エリスロマイシンの6位水酸基のみを選択的にメチル化して、酸に対する安定性を向上させた。→粉砕可能だが苦味がありくっつくしDS使用推奨。
    慢性副鼻腔炎への分1少量長期投与は抗炎症作用を期待。
    ヘリコバクターピロリの一次除菌へ使用。
    >禁忌薬剤:クリアミン、ジヒデルゴット、ベルソムララツーダ、ジャクスタピッド、ブリリンタ、アドシルカ、イムブルビカ、スンベプラ、ジメンシー、バニヘップ
  • ルリッド(ロキシスロマイシン)・・・皮膚疾患で使われる印象。禁忌薬剤:クリアミン、ジヒデルゴット
  • ケテック(テリスロマイシン)・・・1日1回、2T、5日間投与。肺炎は7日まで投与可。

マクロライド系(15員環)

  • ジスロマック(アジスロマイシン)・・・呼吸器感染等では500㎎を1日1回3日服用で効果7日間持続。泌尿器感染では1000㎎を1回のみ投与。短期高用量かつモチリン作用で下痢起きやすい。

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記事No2177 題名:Re:松本大策様 投稿者:管理人tera 投稿日:2022-06-17 15:50:11

15員環ですね・・・。
ご指摘ありがとうございます。
また何かありましたらよろしくお願いいたします。


記事No2175 題名:ジスロマックについて 投稿者:松本大策 投稿日:2022-06-17 09:16:43

一番下の図にあるジスロマック(アジスロマイシン)は15員環芸ではありませんか?


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