タンパク質の合成
タンパク質合成の準備
ここでは、リボソームが70S(30S+50S)から成る原核生物についてのみ説明します。リボソーム以外については真核生物も同じ過程を経て合成されます。
翻訳開始因子IF-3とIF-1が30Sリボソームに結合し、GTPとIF-2がくっついたNホルミルメチオニンtRNAとmRNAが30SリボソームのP部位に結合したものを30S翻訳開始複合体と呼ぶ。
最初P部位に結合するペプチジルtRNAは、tRNAにメチオニンが結合した後、ホルミル化されたNホルミルメチオニンtRNA(=fMet tRNA=コドンはAUG)で無ければならない。
30S翻訳開始複合体からIF-3が外れた後、GTPが加水分解されてGDPになる際にIF-1とIF-2が外れると50Sサブユニットが結合できるようになり、ここで70S翻訳開始複合体が完成する。(これを抑制するのがリネゾリド)
30SリボソームにはmRNAの結合部位があり、30Sリボソームと50SリボソームにまたがってA部位(アミノアシルtRNA結合部位)、P部位(ペプチジルtRNA結合部位)、E部位(EXIT:出口)が存在している。
タンパク質合成の機序
mRNAを使ってタンパク質を合成する(アミノ酸をつなげてペプチドを作っていく)機序は以下。(イメージ動画)
- A部位にて読み込まれたmRNAのコドンに対応するアミノ酸をtRNAが運んできて、アンチコドンを介してmRNAのコドンに結合する。アンチコドンとはコドンの相補的な塩基配列のことである。(ここがアミノグリコシド系とテトラサイクリン系の作用点)
- 続いて、50SリボソームのリボソームRNA(rRNA)の一部であるペプチジルトランスフェラーゼの作用でP部位にあるアミノ酸(初期であればfMet)を外して、A部位のアミノ酸に結合させる。(50SrRNAを阻害するのがリンコマイシン系とクロラムフェニコール系)
- すると、本来ペプチド鎖がつながっているtRNAであるペプチジルtRNAはP部位にいなければならないはずなので、A部位にあるペプチド鎖がつながっているtRNAがP部位に、P部位にあるアミノ酸が外れた用済みのtRNAがE部位に移動し、mRNAも1コドン分5'側にずれるという転座が起こる。(ここがマクロライド系の作用点)
- 転座が起こると、E部位に移動したtRNAはリボソームから排出されて、空席のA部位に新たなmRNAのコドンに対応するアミノ酸を運ぶtRNAがアンチコドンを介してアミノアシルtRNAとして結合する。
- 後は、P部位にあるfMetと一つのアミノ酸が結合したものが、A部位のアミノ酸に結合して、転座・・・という形でアミノ酸が伸長してタンパク質が合成される。
コドンとは
ある任意の連続した3個のヌクレオチド(AACみたいなトリプレット)をコドンと呼ぶ。
そして、コドンの分け方(1,3,3・・か2,3,3・・か3,3,3・・の3種類で4,3,3・・は1,3,3・・と同じ分け方)は3種類あるが(読み枠)、実際には、3種の読み枠の内1つしか使われない。
1つのコドンが1つのアミノ酸に対応している。
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