初期mRNAを作るまで

サイトカイン、ホルモンなどの生理活性物質は脂溶性のものと、水溶性のものに分けることができます。

脂溶性のものは、ステロイドホルモン、ビタミンD、甲状腺ホルモンらが該当し、水溶性のものはサイトカイン全般と大部分のホルモンが該当します。

脂溶性リガンドは細胞膜を自由に通過できますので、細胞膜上の受容体に結合せず、直接細胞質へと移行し、核内の受容体型転写制御因子に結合してその作用を示します。

ステロイドは下記の図で言う脂溶性薬物に相当します。

一方、水溶性リガンドは、先ほど述べたような、受容体に結合→初期mRNA合成・・・というルートをたどります。

ただ、大まかな流れ1で話したとおり、ルートは1つではなく、リガンドの種類によっていくつかのルートに分けられます。

1、チロシンキナーゼ型受容体
2、JAK-STAT型受容体(非受容体型チロシンキナーゼ)
3、TGF受容体
4、TNF受容体
5、Wnt受容体
6、ケモカイン受容体
7、Notch受容体
8、Toll-like受容体

次はこれらの受容体一つ一つについて述べますが、先に重要な事項として、

「例外(ミオシン軽鎖キナーゼなど)もありますが、一般的には多くのタンパク質(ここでは受容体)はリン酸化(キナーゼ)されることで活性化し、脱リン酸化(ホスファターゼ)されることで不活性化する。よって、リン酸化酵素はタンパク質をリン酸化し、活性化することが出来る酵素で、ホスファターゼはタンパク質を脱リン酸化して不活性化することが出来る酵素である。

ということを覚えておいてください。これは非常に重要です。

受容体と酵素は主にセリン、スレオニン、チロシン残基をリン酸化もしくは脱リン酸化することでシグナル伝達のON/OFFを調節している。セリン/スレオニンキナーゼとチロシンキナーゼに大きく分けることができる。

セリン/スレオニンキナーゼ

  • Ca2+/カルモジュリン依存性蛋白キナーゼ(CaMKⅡ)・・・AMDA受容体のリン酸化によるシナプス伝達の増強作用(てんかんはこれも過剰に) 関連:メマリーはNMDA受容体に拮抗しこの作用もおさえる
  • Ca2+/カルモジュリン依存性蛋白キナーゼ(特異型)・・・ミオシン軽鎖キナーゼもこれに該当(Ca2+/カルモジュリン複合体はこのミオシン軽鎖キナーゼを脱リン酸化して活性化させる)。ミオシンをリン酸化して筋肉を収縮させる。血圧上昇の機序。
  • プロテインキナーゼC・・・SPがNK-1受容体に結合するとGq蛋白を介してPLC(ホスホリパーゼC)が活性化され、PLCはPIP2(イノシトール2リン酸)を IP3(イノシトール3リン酸)とDAG(ジアシルグリセロール)に分解する。IP3は筋小胞体からCa2+を放出させ、DAGはPKC(プロテインキナーゼC) を活性化することでMg2+によるNMDAの不活性化を抑制する。また、α受容体刺激でもPKCを介してCa2+を遊離して血圧を上昇させる。
  • プロテインキナーゼA・・・細胞内でcAMPによる制御を受ける(アドレナリンβ受容体)。上記ミオシン軽鎖キナーゼをリン酸化して不活性化し平滑筋を弛緩させる。また、PKAによりリン酸化される基質タンパク質としてCREB(cAMP response element binding protein)、NF-κB、NFAT等があり、これらの転写による遺伝子発現が制御されている。
  • MAPキナーゼ(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)・・・MAPKKのMKK1/2等によりリン酸化を受けることで活性化され、最終的にc-fosやc-junを始めとした転写因子を活性化。
  • mTOR(エムトア)・・・成長因子、ストレス等により活性化。

チロシンキナーゼ

  • 受容体型チロシンキナーゼ(PTK)・・・増殖因子(成長因子:GF)の受容体。2量体を形成しお互いをリン酸化する。
  • 非受容体型チロシンキナーゼ・・・代表はJAKやZAPといったPTKドメインを持つフリーのタンパク質で、サイトカイン受容体(JAK-STAT受容体)をリン酸化する。IL(インターロイキン)、造血因子などのサイトカインが結合し、それぞれのサイトカインの効能に関わる遺伝子の転写を促進する。

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