JAK-STAT型受容体
JAK-STAT型受容体(サイトカイン受容体)は非受容体型チロシンキナーゼの一つで、IL(インターロイキン)、造血因子などのサイトカインが結合します。
JAK-STAT型受容体は、クラスⅠタイプとクラスⅡタイプの2つのタイプに分けられ、それぞれの受容体のタイプ別に刺激するサイトカインの種類も異なります。
両者ともよく似ていて、ともに受容体自体にPTK(チロシンキナーゼ)活性がないことと、共通の部分としてBox1領域を持っているのが特徴です。
サイトカインが受容体に結合すると、受容体のBox1領域にJAK(Janus kinase)が結合します。
JAKは、非受容体型PTK(非受容体型チロシンキナーゼ)の一つでして、非受容体型PTKの役割を理解することもシグナル伝達を理解するためには非常に重要です。
非受容体型PTKというのは、PTKドメインを持つフリーのタンパク質のことで、前項にて述べたPTK型受容体のように、固定された受容体の中にPTKドメインを持つわけではありません。
フリーのくせに、他のアダプター分子やドッキングタンパク質にはない、他のタンパク質をリン酸化する能力を持ちます。
このようなJAKがサイトカイン受容体のBox1領域に結合すると、JAKは自身のPTK活性を使って、サイトカイン受容体のチロシンをリン酸化します。
すると、リン酸化された受容体をめがけて、SH2ドメインを持つGrb2やSHP-2といったアダプタータンパク質やサイトカインのシグナル伝達に重要なSTATが近づいてきて、リン酸化チロシンに結合します。
Grb2は違いますが、SHP-2やSTATはSH2ドメインとは別に、リン酸化されうるチロシン残基を持っていますので、そこをJAKがリン酸化してあげるわけです。
JAKは受容体のみならず、他のタンパク質もリン酸化してあげるところに意味があります。
さて、SHP-2がリン酸化されると、そのリン酸化チロシンをめがけてGrb2やPI3KなどSH2ドメインを持つものが結合し、Grb2→SOS→Ras→Rac-1・・・などのようにMAPKカスケードなどが進行します。
また、STATがリン酸化されると、リン酸化STATはお互いのSH2を認識しあって二量体を形成します。 二量体を形成したリン酸化STATは核内へと移行し転写因子として働きます。
JAKにもSTATにもいくつかのファミリーがあり、厳密に言えば、リガンドに対応したJAKやSTATが結合して、これまた対応する転写因子(MGFなど)を活性化します。
例えば、IL-12はSTAT4を介してTh1優位の反応を、IL-4はSTAT6を介してTh2優位の反応を促進する。
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