DNAの転写(DNA→mRNA)

転写は遺伝情報を翻訳してタンパク質を作るのに必要な操作です。原核生物の場合は細胞質で、真核生物の場合はで行われます。(真核生物と原核生物

なぜ転写が必要かというと、mRNAを利用してのproteinの合成は、相当数行われているため、転写して合成する必要があるためです。

そこで、DNAの持つ遺伝情報をmRNA(メッセンジャーRNA)に転写して、リボソームまで行ってもらいます。

原核生物のDNA転写

原核生物の場合、RNAポリメラーゼが開始コドンの上流にあるプロモーター(RNAポリメラーゼが酵素として働くために合図をする部位)に結合し、ついでシグマ因子(RNAポリメラーゼの誘導をする)が除かれることから転写がスタートする。

RNAポリメラーゼの作用でDNAのらせん構造をほどきながら、DNAの片方の鎖を鋳型として、3'末端→5'末端方向に読み取り、mRNAの3'末端側にもう片方の塩基配列と同じ(TはUになる)配列をコピーしながら伸長していく。(mRNAは5'末端が頭で、3'末端側に伸長)

RNAポリメラーゼ関連薬

  • コスメゲン(アクチノマイシンD)・・・抗悪性腫瘍薬。DNAと結合して、RNAポリメラーゼによるDNA転写反応を抑制します。
  • リファジン(リファンピシン)・・・抗結核薬。細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼに作用し、RNA合成を阻害することにより抗菌作用を示すが、動物細胞のRNAポリメラーゼは阻害しない。
  • レベトール(リバビリン)・・・抗C型肝炎ウイルス薬。リバビリンの詳細な作用機序は明らかでない。リバビリンは細胞内でリン酸化され、HCV由来RNA依存性RNAポリメラーゼによるグアノシン三リン酸のRNAへの取込みを抑制した(in vitro)。また、HCV由来RNA依存性RNAポリメラーゼによるRNA生成過程でリバビリン三リン酸がRNAに取り込まれ、このことがウイルスのゲノムを不安定にすると考えられた。

原核生物の場合は核という物がなく核様体として染色体がむき出しになっているため、そのままリボソームへ移動し蛋白合成へと進みます。

真核生物のDNA転写

真核生物の場合は、転写因子(サイトカインや増殖因子など)が標的遺伝子DNAの開始コドンのすぐ上流にあるプロモーター領域のエンハンサー/サイレンサー上にある転写制御因子の機能を調節することで、TATAboxの基本転写因子を活性化し、そこにRNAポリメラーゼが結合することで転写がスタートする。

その後の転写については原核生物と同じである。

下の表はサイトカインを結合する受容体の特徴によって分類したものです。サイトカインと一口に言っても、全てが同じルートで遺伝子を発現するのではありません

クラスⅠ・Ⅱファミリーに属するサイトカインは、JAK-STAT型受容体に、TGFはセリン・スレオニンキナーゼ受容体に、TNFは三量体受容体に、増殖因子はチロシンキナーゼ型受容体に、ケモカインやWntは7回膜貫通型受容体に結合してそれぞれ別のルートにて核内へと移行し、その作用を発現します。

クラスⅠ EPO 赤芽球前駆細胞の増殖・分化を促進する。
G-CSF 好中球顆粒白血球前駆細胞の増殖・分化を促進する。
トロンボポエチン 血小板前駆細胞の増殖・分化を促進する。
IL-2 T、B、NK細胞活性化
IL-3 造血幹細胞の生存、増殖、分化
IL-4 Th2細胞誘導、IgG1,IgEクラススイッチ、MHCクラスⅡ発現
IL-5 IgG、IgM、IgA産生細胞への分化促進
IL-6 Tc細胞誘導
IL-7 B細胞前駆細胞の増殖、分化
IL-8 好中球走化因子
IL-9 T細胞、赤芽球前駆細胞、肥満細胞増殖促進
IL-11 多能性幹細胞維持、脂肪化抑制因子
IL-12 活性化T細胞、NK細胞増殖促進
IL-13 IgE産生
IL-15 NK細胞、T細胞の増殖
IL-21 骨髄由来のNK細胞の増殖と成熟
IL-23 樹状細胞では右舷しIFN分泌
レプチン 脂肪細胞が分泌。摂食中枢に働き、食欲を抑制
クラスⅡ IFN-α,β,γ Th1活性化、抗ウィルス作用、IgG2,IgG3クラススイッチ(IFN-γのみ)
IL-10 サイトカイン合成阻止、
IgG1,IgG2,IgG3,IgAクラススイッチ誘導(IgE抑制)
IL-19 単球、B細胞で発現
IL-20 乾癬で著しく発現増加
IL-22 STAT1,3,5を活性化
TGF TGF-β 増殖抑制因子、コラーゲン合成促進、
IgG1,IgG2,IgG3,IgAクラススイッチ(IgE抑制)
activin/inhibin アクチビンはFSH分泌促進、インヒビンはFSH分泌抑制
BMP 骨形成、軟骨形成
TNF TNF-α 腫瘍細胞壊死因子
成長因子(GF) EGF等  
ケモカイン IL-8等  
Wnt Wnt1~20 分泌性糖タンパク質、器官形成に必須因子

ここで作られた初期mRNAは、核の中にあり核膜でおおわれているため、簡単にはリボソームへ移動できません

そこで、mRNAはまず装備を整えます(RNAプロセッシング)その時mRNAが身につける装備品は2つあって、5’末端に装備するRNAキャップ、3’末端に装備するポリAテール(アデニンの繰り返し配列)です。

装備が終わったmRNAは、今度はいらない脂肪(イントロン)を取り除き、必要な部分(エキソン)のみになるまで、体重を減らします。

こうして晴れて核膜孔から細胞質へと出て行き、リボソームへと移動し、タンパク合成に利用されます。

合成されたタンパク質(Fos,Jun等)は、さらに二次遺伝子の転写を促し、今度はサイクリン、CDKをはじめとしたS期(DNA合成期)に入るために必要なタンパク質を合成します。

サイクリン-CDK複合体は、Rb-E2FのRbをリン酸化することで、E2Fを遊離させて、そのE2FはS期に関連する遺伝子の転写を促進させ、DNAポリメラーゼ等のDNA合成に必要なタンパク質が作られる。

こうしてS期に入った後は、G2期→M期(細胞分裂期)の順に進行し、新しい細胞が作られる。

以上が大まかな流れです。


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