市販の風邪薬・痛み止め(おすすめ)
ドラッグストアやインターネット等で売られている(処方箋なしでも買うことができる)医薬品(一般用医薬品)の中で、おすすめのものを簡単に難しくご紹介。
まず、現在市販されている風邪薬や痛み止めの市販薬は沢山ありすぎて何を選んでよいのかわからないかと思いますので、成分表を作ってみました。
錠剤の一回服用量が多いのは、1錠に含有できる成分量が高くなると覚せい剤原料等規制医薬品の扱いになるためです。
※表の幅の関係で、チアミン硝化物、ビスイブチアミン、ベンフォチアミンの3つはチアミン(ビタミンB1)に、カンゾウ粗エキス、カンゾウエキスの2つはカンゾウエキスに、無水カフェイン、カフェイン水和物の2つは無水カフェインに集約してあります。
風邪薬・痛み止めの成分解説
解熱鎮痛・抗炎症薬
成分名 | 機序・効果 |
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ロキソプロフェン | 同成分含有医療用医薬品:ロキソニン60mg 非ピリン系。非選択型COX阻害によるPG抑制→解熱・高い鎮痛・抗炎症作用。プロドラッグにすることで胃の負担が軽減されている。 |
アセトアミノフェン | 同成分含有医療用医薬品:カロナール錠200、300 非ピリン系。中枢COX3阻害によるPG抑制→解熱・弱い鎮痛作用。インフルエンザでも使える。小児・妊婦でも比較的安全に使える。 |
イブプロフェン | 同成分含有医療用医薬品:ブルフェン錠100、200 非ピリン系。非選択型COX阻害によるPG抑制→解熱・高い鎮痛・抗炎症作用。600mg/日以上は要指導医薬品に分類される。 |
アスピリン | 同成分含有医療用医薬品:バファリン配合錠330mg サリチル酸系。非選択型COX阻害によるPG抑制→解熱・鎮痛・抗炎症作用。小児は川崎病治療に使用。胃腸障害予防のため通常制酸剤が配合される。 |
エテンザミド | 同成分含有医療用医薬品:エテンザミド「ヨシダ」 サリチル酸系。非選択型COX阻害によるPG抑制→解熱・鎮痛・抗炎症作用。アスピリンと同等の効果も、アスピリンより胃腸障害の負担が少ない。 |
サリチルアミド | 同成分含有医療用医薬品:PL配合顆粒(270mg/包) サリチル酸系。非選択型COX阻害によるPG抑制→解熱・鎮痛・抗炎症作用。エテンザミドの活性代謝物。 |
イソプロピルアンチピリン | 同成分含有医療用医薬品:SG配合顆粒(150mg/包) ピリン系。アセトアミノフェンと同じ機序にて体温調節中枢に作用して皮膚血管を拡張し,熱の放散を盛んにして解熱効果を示す。 |
グリチルリチン酸 | 同成分含有医療用医薬品:グリチロン配合錠(25mg/錠) グリチルリチン酸は腸内細菌でグリチルレチン酸へ代謝され、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫調節作用、血小板凝集抑制作用などを示す。グリチルリチン酸は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が促進されることで偽アルドステロン症に注意する。 |
トラネキサム酸 | 同成分含有医療用医薬品:トランサミン錠250、500 抗プラスミン薬。炎症性プロテアーゼの分解による抗炎症作用。メラニン分解作用もある。 |
鼻水、くしゃみ、鼻閉治療薬
成分名 | 機序・効果 |
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メキタジン | 同成分含有医療用医薬品:ゼスラン錠3mg 第二世代抗ヒスタミン薬として鼻水、くしゃみを抑える。第一世代よりも眠気が起きにくい。 |
ケトチフェンフマル酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:ザジテンカプセル1mg 第二世代抗ヒスタミン薬として鼻水、くしゃみを抑える。眠気は起きやすい。熱性痙攣誘発注意。 |
クレマスチンフマル酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:タベジール錠1mg 第一世代抗ヒスタミン薬として鼻水、くしゃみを抑える。眠気は起きやすい。Tmax:4hの持続型。熱性痙攣誘発注意。 |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:ポララミン錠2mg 第一世代抗ヒスタミン薬として鼻水、くしゃみを抑える。眠気は起きやすい。熱性痙攣誘発注意。 |
マレイン酸カルビノキサミン | 同成分含有医療用医薬品:なし 第一世代抗ヒスタミン薬として鼻水、くしゃみを抑える。眠気は起きやすい。熱性痙攣誘発注意。 |
ヨウ化イソプロパミド | 同成分含有医療用医薬品:なし 抗コリン作用による副交感神経遮断→鼻汁分泌抑制。 |
ベラドンナ総アルカロイド | |
塩酸プソイドエフェドリン | 同成分含有医療用医薬品:ディレグラ配合錠(60mg/錠) 濫用等のおそれのある医薬品 α交感神経刺激作用により血管を収縮して鼻閉を抑える(鼻にはα1受容体がある。βはない)。エフェドリンに比べてα1、β1作用及び中枢作用は弱く、β2作用はほぼ同等と言われる |
フェニレフリン塩酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:点眼のみ α刺激作用による血管収縮作用→鼻閉を抑える。 |
リゾチーム塩酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:ノイチーム錠10,30,90mg の鼻汁を分解し、粘稠度を低下させる。鼻腔粘膜の線毛細胞の線毛運動が有意に増加させる。炎症時の組織修復促進作用。 |
鎮咳薬/気管支拡張薬
成分名 | 機序・効果 |
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d-メチルエフェドリン塩酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:カフコデN配合錠(5mg/錠) 濫用等のおそれのある医薬品 エフェドリンと類似のαβ作用を示すが、気管支拡張作用はエフェドリンより強く、中枢性の鎮咳作用がある |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:カフコデN配合錠(2.5mg/錠) 濫用等のおそれのある医薬品 コデインの還元体のμ拮抗薬。脊髄後角や脳幹、大脳皮質のμ拮抗による鎮痛・鎮咳作用。モルヒネとコデインの中間に位するがコデインにより近い。鎮痛作用はモルヒネの約1/3、コデインリン酸塩水和物の約2倍で、精神機能抑制作用、催眠作用及び呼吸抑制作用はモルヒネの約 1/4 で、コデインリン酸塩水和物と同等といわれる。また延髄の咳嗽中枢に直接作用し、コデインリン酸塩水和物の約2倍の鎮咳作用を現す。また腸管蠕動運動を抑制して止瀉作用を現す。 |
デキストロメトルファン | 同成分含有医療用医薬品:メジコン錠15mg 非麻薬性中枢性鎮咳薬。コデインリン酸塩と同等か,若しくはそれ以上の鎮咳効果で、副作用が少ない。 |
ジメモルファン塩酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:アストミン錠10mg 非麻薬性中枢性鎮咳薬。コデインリン酸塩水和物やデキストロメトルファンよりも優れた鎮咳効果を発揮する(動物実験)。 |
ノスカピン | 同成分含有医療用医薬品:アストフィリン配合錠(5mg/錠) 非麻薬性中枢性鎮咳薬。緩和な咳嗽抑制作用。 |
テオフィリン | 同成分含有医療用医薬品:テオドール錠100,200mg PDE阻害作用による気管支拡張、アデノシン拮抗、細胞内Ca2+分布調節、マスト細胞からのメディエーター遊離抑制、抗炎症作用等。熱性痙攣注意。 |
ジプロフィリン | 同成分含有医療用医薬品:カフコデN配合錠(20mg/錠) テオフィリンと同機序・同作用。強心・利尿作用はテオフィリンやアミノフィリンに比べて緩和で安全。 |
去痰薬
成分名 | 機序・効果 |
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アンブロキソール塩酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:ムコソルバン錠15mg 去痰薬。肺サーファクタント(表面活性物質)分泌促進作用、気道液の分泌促進作用、線毛運動亢進作用、副鼻腔粘液分泌の正常化作用。 |
L-カルボシステイン | 同成分含有医療用医薬品:ムコダイン錠250、500mg 去痰薬。粘液の構成成分のバランスを改善(ムチン分解)し、障害された粘膜上皮を正常化することにより粘液線毛輸送能を改善し、喀痰の喀出、慢性副鼻腔炎の鼻汁の排泄、滲出性中耳炎の中耳貯留液の排泄を促進する。 |
ブロムヘキシン塩酸塩 | 同成分含有医療用医薬品:ビソルボン錠4mg 去痰薬。気管支粘膜及び粘膜下気管腺の分泌を活性化し,漿液性分泌を増加させる。気道粘膜の杯細胞及び気管腺において粘液溶解作用を示す。また,線毛運動を亢進させる。 |
グアヤコールスルホン酸カリウム | 同成分含有医療用医薬品:なし 去痰薬。気道粘液を分泌したんを切りやすくする。 |
グアイフェネシン | 同成分含有医療用医薬品:フストジル注射液50mg 鎮咳、去痰薬。粘稠性及び表面張力の減少により気道内粘液の排出を強め、去痰作用を示す。分泌物の粘稠性が減少し流動性が増すことにより、線毛運動が促進され、粘液の排出を容易にする。これにより乾性咳を湿性咳に転じ咳を鎮める。 |
ビタミン剤
成分名 | 機序・効果 |
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チアミン | 同成分含有医療用医薬品:アリナミンF糖衣錠5mg エネルギー代謝亢進、体力回復目的。ビタミンB1製剤。 |
リボフラビン | 同成分含有医療用医薬品:フラビタン錠5、10mg 風邪で消耗しやすく喉鼻粘膜を健康に役立つ。ビタミンB2製剤。 |
アスコルビン酸 | 同成分含有医療用医薬品: 風邪で消耗しやすい。ビタミンC製剤。 |
ヘスペリジン | 同成分含有医療用医薬品: 免疫増強、抗アレルギー等。ビタミンP製剤。 |
覚醒・鎮静
成分名 | 機序・効果 |
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無水カフェイン | 同成分含有医療用医薬品:PL配合顆粒(60mg/包) 中枢神経興奮作用は神経機能を活発にして,不快感等の疼痛反応を除去することにより疼痛を緩和し,更に血管性頭痛に対しては脳血管を収縮して鎮痛作用を示す。眠気防止の意味合いもある。(カフェインの作用機序) |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | 同成分含有医療用医薬品:SG配合顆粒(60mg/包) 穏和な鎮静薬で、痛みに伴う不安,不快感,恐怖心等の疼痛反応を除去することにより疼痛を緩和するとともに,鎮痛薬の作用を増強する |
胃薬
成分名 | 機序・効果 |
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合成ヒドロタルサイト | 同成分含有医療用医薬品:オメプラゾール錠「トーワ」 胃酸を中和し、胃粘膜を保護する。 |
乾燥水酸化アルミニウムゲル | 同成分含有医療用医薬品:マーロックス配合顆粒(約538mg/包) 胃酸を中和し、胃粘膜を保護する。 |
酸化マグネシウム | 同成分含有医療用医薬品:マグラックス錠250、330、500mg 胃酸を中和し、胃粘膜を保護する。水分を腸へ引き寄せて便秘を改善する。 |
漢方・生薬
成分名 | 機序・効果 |
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カンゾウエキス | 主成分:グリチルリチン、グリチルレチン酸。抗炎症、抗アレルギー、免疫調節作用他。 |
葛根湯乾燥エキス | 葛根湯=カッコン、タイソウ、マオウ、カンゾウ、ケイヒ、シャクヤク、ショウキョウ |
サイシン乾燥エキス | 細辛には解熱・鎮痛作用がある。小青竜湯、麻黄附子細辛湯等にも含まれる。 |
シンイエキス | 辛夷には鼻水・鼻閉を抑える効果がある。 |
キキョウ乾燥エキス末 | 主成分:サポニン。去痰作用 |
ケイヒ末 | 身体の表面の血液循環を促進し、発汗を促し解熱効果を発揮します。 |
ショウキョウ末 | 生姜のこと。末梢血行促進作用により、発汗を促し解熱効果を発揮します。 |
セネガ流エキス | 主成分:サポニン。去痰作用。 |
風邪の市販薬の選び方(考察)
現在のところ、抗生物質が一般用医薬品として販売されていないので、市販の風邪薬はあくまで軽い風邪症状、もしくは病院にかかるまでの対処療法の意味合いで使うと良いかと思います。
とりあえずポイント的なのをいくつか。
- インフルエンザの可能性がある場合(熱がなくても体のだるさ、関節痛あれば)の解熱鎮痛薬は、アセトアミノフェンの1択
- 喉が少し痛いなら、ロキソプロフェン、イブプロフェン、トラネキサム酸。超絶痛いなら抗生剤もらいに病院へ。
- 熱が高い、熱がなくても体がダルかったり、頭痛がしたりするなら、アセトアミノフェン
- 鼻水止めはどれも大差ないが、一番眠くなりにくいのはメキタジン。ヨウ化イソプロパミドとベラドンナ総アルカロイドは付録。鼻閉にはプソイドエフェドリン。ドロドロの鼻にはリゾチームだけど卵アレルギー注意。
- 咳止めは、咳だけ抑えたいならジメモルファンかデキストロメトルファン。コデインとエフェドリンは咳もだけど他の精神的なのを期待する感じか・・・こいつらのせいで風邪薬中毒者もいるようだし。
- 痰切りは、アンブロキソールとL-カルボシステインが一番よさげ。ついでブロムヘキシンとかか。
- ビタミンは食事とか飲み物で補えばいいんで入ってても入ってなくても問題なし
- アリルイソプロピル尿素は頭痛が強い時とかに一緒に入っているといいみたい
- 無水カフェインはほぼ入ってるので入ってないのを選ぶのが困難。入ってていい。
- 胃薬は胃が弱い人に。胃に負担のかかるアスピリンにはもともと混ざってるし。
- 生薬製剤は、甘草が喉の痛み、桂皮・生姜は体を温める、桔梗は痰切りなので症状あるなら程度
ケーススタディ
1,インフルエンザの可能性がある場合or胃が弱い人
インフルにはアセトアミノフェン以外のNSAIDsはなるべく使わないほうがいい(サリチル酸系は×)ので、アセトアミノフェンだけが入ってるやつを選ぶ。また、胃が弱い人にはアセトアミノフェンがいい。
他の症状がないならアセトアミノフェンしか入ってないバファリンルナJを選ぶ(大人でも1回2錠で十分だ)
残念ながら鼻水止めが入るのを選ぶと、もれなく咳止めがついてくるので、鼻水と咳はセットで選ぶことになる。どれでもそんなに変わらない。
痰があるなら、痰切りが入ってるのを選ぶ。アンブロキソールとカルボシステインはイブプロフェンとセットで含有してる商品しか無いので選べないので必然的にそれ以外になるかと。
あとは、値段と年齢、服用回数(1日2回か、3回か)、服用量(錠剤だと飲む数が多いので顆粒を選ぶ等)で選ぶことになる。
で、何がいいかって?
パターンが多すぎて選べません。。。喉に来てる人はトランサミン入りの新ルルAゴールドDX細粒、ベンザブロックSプラス、ベンザエースA、熱はないが咳鼻だけならベンザブロックの咳止めやアネトンシリーズ。鼻症状だけなら、プレコール鼻炎カプセルやコンタック600プラス、アネトン鼻炎錠とか。
2,のどが痛い場合
イブプロフェン入りで良いかと思われる。トラネキサム酸も一緒に含有しているルルアタックEXあたりがいいかもしれない。咳鼻痰の薬も入ってるのでこれで問題ない。
胃が弱い人は、アセトアミノフェンとトラネキサム酸のセットのベンザブロックプラスSや新ルルAゴールドDXあたりを選択する。
3,頭痛がひどい場合
余計な咳鼻痰の成分が入っていない純粋な痛み止めを選ぶと、必然的にバファリン系を選ぶことになる。
中でも副成分のアリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインが入ったバファリンプレミアムがいいと思われる。鎮静成分のアリルイソプロピルアセチル尿素で眠気とか出る人はバファリンルナiを、アセトアミノフェン単体がいい場合はバファリンルナJを選ぶ。妊婦とインフルエンザの小児にはバファリンルナJの一択。
イブクイック頭痛薬はイブプロフェン単剤であるが、含有量はバファリンプレミアムとさほど差がないので、プラスでアセトアミノフェンが入っているバファリンプレミアムのほうが結果的には強力。
胃に自信があるなら他の体の痛みにも兼用できるロキソプロフェン含有のロキソニンSやエキセドリンLOXでもいい。
4,咳だけ
解熱剤が入らない咳止めを選ぶ。コデインとテオフィリンを含有するアネトン咳止め顆粒が最も効果が高い。
副作用の便秘とか気になる人は、コンタック咳止めSTを選ぶという手もある。
5、鼻水、くしゃみ、鼻閉がひどい
鼻水だけなら、この中ではエスタック鼻炎ソフトニスキャップとかだが、花粉症の薬の中から選ぶのが良いかと思われる。
鼻水+鼻閉、鼻閉が入るとプソイドエフェドリンの出番だ。
プソイドエフェドリン入りの一択。アネトンアルメディ鼻炎錠、コンタック600プラス、パブロン鼻炎錠Sやプレコール持続性鼻炎カプセルLあたりから選択すると良いだろう。
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