クロストリジウム属(Clostridium)

いずれも、グラム陽性の芽胞形成嫌気性桿菌に属する。

膿瘍を作った場合はドレナージ(体液や他の液体を体外に排出するための医療的処置)の適応

ボツリヌス菌(C.botulinum)

  • 鞭毛○/莢膜×、易熱性(熱で不活化)
  • 神経毒素であるボツリヌス毒素を産生します。この毒素は非常に強力で、微量でも重篤な中毒症状を引き起こすことがあります。ボツリヌス毒素による中毒は、アセチルコリン神経を障害することで、筋肉麻痺や呼吸困難を引き起こし、治療を受けない場合は致命的になることがあります。症状には視力障害、嚥下困難、発声困難などが含まれます。つまり、抗コリン作用である便秘等が現れる。
  • ボツリヌス毒素(ボトックス)が筋肉の過剰な収縮を抑える目的で使用されることがあります。例えば、顔のしわの治療や、慢性的な筋肉痛の緩和などに利用されます。
  • 小腸→コリン作動性神経筋接合部→ACh遊離抑制→筋弛緩
  • 缶詰やホームメイドの保存食、ハチミツ、レンコンなど、食品から感染し、酸素が少ない環境で増殖します。
  • 治療は抗ボツリヌス毒素、人工呼吸も

ウェルシュ菌(C.perfringens)

  • 特に不適切に調理されたり保存されたりした食品(特に肉製品や調理済みの料理)で増殖し、食中毒を引き起こすことがあります。複数の毒素(エンテロトキシン等)が激しい腹痛と下痢を引き起こします。
  • 深い傷や外科手術後の感染によって、筋肉や皮下組織にガス壊疽を引き起こすことがあります。これは組織が壊死し、強い痛み、腫れ、皮膚の変色、ガスの生成などを特徴とする重篤な感染症です。
  • 第一選択はペニシリンG、デブリドマン(、傷や損傷した組織から死んだ、感染した、または損傷した組織を取り除く医療処置)、高圧酸素療法

破傷風菌(C.tetani)

  • 破傷風菌の毒素(テタノスパスミン)は、強力な神経毒素であり、脊髄前角に取り込まれ、抑制ニューロンを傷害し、筋肉の過剰な収縮やけいれんを引き起こします。
  • 破傷風は、剛直性けいれん(筋肉の硬直)、痙攣、難治性の筋肉痛、呼吸困難などを引き起こす可能性があります。特に顎や顔の筋肉に影響を与えることが多く、「リザススマイル」と呼ばれる顔のけいれんと口が開かなくなるのが特徴的です。
  • 傷口や外傷を通じて体内に侵入します。深い傷や汚染された傷が特にリスクが高いです。
  • 顔面の麻痺に関しては、額にしわをよせれれば中枢性神経障害、できなければ末梢性神経障害とする判別方法がある。
  • 予防接種によって効果的に予防できます。破傷風ワクチンは多くの国で幼少期の標準的な予防接種スケジュールに含まれています。
  • 治療は抗毒素、薬剤としてはペニシリンG、けいれんにはジアゼパム

クロストリジウム・デフィシル(C.dificile)

  • 下痢、腹痛、発熱などの症状を起こすことがあり、重篤な場合、腸の炎症や潰瘍を引き起こす。
  • 主に胃瘻施設内で感染することが多い。
  • 抗生物質随伴性偽膜性腸炎の原因。特に高齢者へ抗生物質を1週間以上投与するとこの菌以外の腸内常在菌が死滅して相対的にクロストリジウム・ディフィシルが増えて大腸で過剰に増殖することで引き起こされる。毒素はこの菌の頭文字をとったCDトキシンであり、症状は水様便。偽膜性大腸炎かどうかは便検査でCDトキシンが陽性かどうかを調べます。
  • 適切な手洗いと衛生管理が必要
  • 他のクロストリジウム属とは違い、ペニシリンが効かないのでメトロニダゾールが第一選択、第二選択はバンコマイシンの内服

酪酸菌(C.butyricum)

  • 一般的に人間や動物の腸内細菌叢に存在し、腸内環境のバランスを維持するのに役立ちます。
  • 炭水化物やアミノ酸の発酵により酪酸(ブチレート)を生成します。
  • 酪酸は短鎖脂肪酸の一種であり、腸の健康維持や免疫系の調整に重要な役割を果たします。

細菌の種類一覧

グラム陽性球菌

  • グラム陽性球菌(GPC:Gram-Positive Cocci)
    • ブドウ球菌属(Staphylococcus)
      • 黄色ブドウ球菌(S.aurens)
      • 表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)
      • 腐生ブドウ球菌(S.saprophyticus)
    • レンサ球菌属(Streptococcus)・・・腸内常在菌。ホモ
      • A群溶血性レンサ球菌(S.pyogenes)・・・溶連菌
      • B群溶血性レンサ球菌(S.agalactiae)
      • C, G群溶血性レンサ球菌(S.dysgalactiae ssp.equisimilis)
      • アンギノサス(S.anginosus)
      • コンステラータス(S.constellatus)
      • インターメディウス(S.intermedius)
      • 肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)・・・呼吸器
      • ミティス(S.mitis)
      • サングイニス(S.sangulnis)
      • サリバリアス(S.salivarius)
      • ウシレンサ球菌(S.bovis)
      • ミュータンス(S.mutans)
      • サーモフィルス菌(S.thermophilus)・・・乳酸菌
      • フェカリス菌(S.faecalis)・・・乳酸菌
    • 腸球菌属(Enterococcus)
      • フェカリス菌(E.faecalis)・・・ホモ(乳酸)
      • フェシウム菌(E.faecium)
    • ラクトコッカス属 (Lactococcus)
      • ラクトコッカス・ラクティス(L.lactis)・・・ホモ(乳酸)
    • ペディオコッカス属(Pediococcus)・・・ホモ(乳酸)
    • リューコノストック属 (Leuconostoc)・・・ヘテロ

グラム陽性桿菌

グラム陰性球菌

グラム陰性桿菌

その他

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