マイコプラズマ(Mycoplasma)

  • 細胞壁を欠いた細菌(細胞壁合成阻害剤に耐性)
  • 他の非定型菌とは違って自己増殖できる
  • 増殖にコレステロール、血清蛋白を必要とする
  • 検査は咽頭ぬぐい液のイムノクロマトグラフィ法による検査キットで即時に判別可能。また、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法やリアルタイム PCR 法によりマクロライド耐性遺伝子変異の検出もできる遺伝子診断法がある。

肺炎マイコプラズマ(M.pneumoniae)

  • 異型肺炎の原因菌、症状は軽い
  • マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法で「第三種学校伝染病」に指定されているため、急性期は出席停止となります。一方で、明確な出席停止期間は定められておらず、症状が軽快したら登校可能となります。
  • 2~3週間続く乾いた咳が特徴だが、3週間以上経過すると湿性咳嗽になる。微熱を伴うことが多いが、他の細菌との重複感染でなければ黄色膿性痰にはならない。
  • 白血球は変化しないがCRPは上昇し、熱が出る点が百日咳と正反対なので区別の判断材料となる。
  • 肺炎マイコプラズマの第一選択
  • 下記の 6 項目中 5 項目以上が合致するとマイコプラズマ肺炎を強く疑い、2 項目以下合致する場合は細菌性肺炎を強く疑う。
    • 年齢 60 歳未満
    • 基礎疾患がない、あるいは軽微
    • 頑固な咳嗽がある
    • 胸部聴診上所見が乏しい
    • 迅速診断法で原因菌が証明されない*(マイコプラズマ抗原または遺伝子検査陽性を除く)
    • 末梢白血球数が 10,000/μl 未満である
    また、マイコプラズマ肺炎では、病初期に、胸部 X 線、CT では多発するスリガラス陰影、気道散布型の粒状陰影および小斑状陰影、中枢気管支壁の肥厚様像などが出現し、経過とともに浸潤影が出現、さらにこれらの混合性陰影がみられ、肺炎球菌によるいわゆる細菌性肺炎とは異なるパターンをとる。

肺炎マイコプラズマの第一選択

小児マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方のポイント

  1. 急性期の血清抗体価陽性所見のみでは、肺炎マイコプラズマ感染症の診断が困難な場合も多いため、急性期の確定診断には、肺炎マイコプラズマ核酸同定検査(LAMP 法)を実施することが望ましい。
  2. マイコプラズマ肺炎治療の第一選択薬に、マクロライド系薬が推奨される。
  3. マクロライド系薬の効果は、投与後 2~3 日以内の解熱で概ね評価できる。
  4. マクロライド系薬が無効の肺炎には、使用する必要があると判断される場合は、トスフロキサシン(オゼックス)あるいはテトラサイクリン系薬の投与を考慮する。ただし、8歳未満には、テトラサイクリン系薬剤は原則禁忌である。
  5. これらの抗菌薬の投与期間は、それぞれの薬剤で推奨されている期間を遵守する。
  6. 重篤な肺炎症例には、ステロイドの全身投与が考慮される。ただし、安易なステロイド投与は控えるべきである
抗菌薬 用法・用量 投与法 投与期間
エリスロシン 25~50mg/kg/日、分4~6 経口 14日
クラリス 10~15mg/kg/日、分2~3 経口 10日
ジスロマック 10mg/kg/日、分1 経口 3日
オゼックス 12mg/kg/日、分2 経口 7~14日
ミノマイシン 2~4 mg/kg/日、分2 経口、点滴静注 7~14日

(引用元:日本小児科学会

マクロライド耐性株がアジアを中心に急速に拡大しており、中国では90%以上、韓国では 80%以上、台湾では 70%以上がマクロライド耐性を示しています。

このため、マクロライド系薬を使用して 48 時間~72 時間で解熱が観察されない場合、マクロライド耐性株を考慮し、成人では、テトラサイクリン系薬剤を第一選択とし、レスピラトリー・キノロンを第二選択としてお勧めします。ただし、妊婦や小児への投与については注意を要する。

テトラサイクリン系薬剤の使用が困難な小児における治療薬がなくなる可能性があり、小児における治療薬を温存するためにも、成人におけるキノロン系薬剤の使用には特段の注意が求められます。

(引用元:マイコプラズマ肺炎増加に関する学会からの提言について(令和6年10月24日事務連絡))

マイコプラズマ・ジェニタリウム(M.genitalium)

  • 性器系の感染症を引き起こすことで知られており、非ゴノコッカル性尿道炎や子宮頸管炎の原因となることがあります。

マイコプラズマ・ホミニス(M.hominis)

  • これも主に性器系に感染し、尿道炎や子宮内感染症、その他の骨盤内感染症を引き起こす可能性があります。

細菌の種類一覧

グラム陽性球菌

  • グラム陽性球菌(GPC:Gram-Positive Cocci)
    • ブドウ球菌属(Staphylococcus)
      • 黄色ブドウ球菌(S.aurens)
      • 表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)
      • 腐生ブドウ球菌(S.saprophyticus)
    • レンサ球菌属(Streptococcus)・・・腸内常在菌。ホモ
      • A群溶血性レンサ球菌(S.pyogenes)・・・溶連菌
      • B群溶血性レンサ球菌(S.agalactiae)
      • C, G群溶血性レンサ球菌(S.dysgalactiae ssp.equisimilis)
      • アンギノサス(S.anginosus)
      • コンステラータス(S.constellatus)
      • インターメディウス(S.intermedius)
      • 肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)・・・呼吸器
      • ミティス(S.mitis)
      • サングイニス(S.sangulnis)
      • サリバリアス(S.salivarius)
      • ウシレンサ球菌(S.bovis)
      • ミュータンス(S.mutans)
      • サーモフィルス菌(S.thermophilus)・・・乳酸菌
      • フェカリス菌(S.faecalis)・・・乳酸菌
    • 腸球菌属(Enterococcus)
      • フェカリス菌(E.faecalis)・・・ホモ(乳酸)
      • フェシウム菌(E.faecium)
    • ラクトコッカス属 (Lactococcus)
      • ラクトコッカス・ラクティス(L.lactis)・・・ホモ(乳酸)
    • ペディオコッカス属(Pediococcus)・・・ホモ(乳酸)
    • リューコノストック属 (Leuconostoc)・・・ヘテロ

グラム陽性桿菌

グラム陰性球菌

グラム陰性桿菌

その他

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