サルモネラ属(Salmonella)
- グラム陰性通性嫌気性桿菌
- 通常、鞭毛を持っていますが、莢膜の有無は種によって異なります。
- SSCEのSで細菌性腸炎の原因菌の一つ。第一選択は第三世代セフェム。ペニシリン系も可。
チフス性疾患型
ウィダール反応(Widal Test)は、主に腸チフス(Salmonella Typhi)やパラチフス(Salmonella Paratyphi A、B、C)の診断に用いられる検査です。この検査では、サルモネラ菌の特定の抗原(H抗原とO抗原)に反応する抗体の有無を調べます。H抗原は菌の鞭毛に関連しており、O抗原は菌体の表面に存在します。
- 腸チフス (Typhoid Fever): 2類感染症。この病気はSalmonella Typhiによって引き起こされます。腸チフスは飲食物(飲料水、食品)を通じて伝播し、
- 高熱(連続して長時間続く=稽留熱)と比較的徐脈(脈が上がらない)
- 発疹(ローズ斑)=バラ疹
- 脾腫
- 好酸球の低下
- 頭痛、腹痛、便秘または下痢、血便
この疾患は特に衛生状態が悪い地域で見られ、適切な治療を行わないと重症化することがあります。
腸チフスにはワクチンが存在し、高リスク地域への旅行者や居住者に推奨されることがあります。
- パラチフス: 2類感染症。Salmonella Paratyphi A、B、およびCによって引き起こされ、腸チフスに似た症状を示しますが、一般的には腸チフスよりも症状が軽度です。
食中毒型(Salmonella Enteritidis,S.Typhimurium)
ウィダール反応は、これらの非チフス性サルモネラ症の診断には通常用いられません。非チフス性サルモネラ症の診断には、通常、症状の評価、患者の食歴、そして便や血液の培養による細菌の直接的な同定が行われます。
- 非チフス性サルモネラ症 (Non-Typhoidal Salmonellosis): このタイプはSalmonella属の他の種、特にSalmonella enteritidisやSalmonella typhimuriumによって引き起こされます。
症状には下痢、腹痛、発熱、嘔吐が含まれ、通常は数日間で自然に改善します。このタイプのサルモネラ感染は、汚染された食品(特に生肉、卵、乳製品)を介して発生することが多いです。 - 潜伏期は1~2日。チフス性のものと異なり、血中への移行、臓器の感染なし
細菌の種類一覧
グラム陽性球菌
- グラム陽性球菌(GPC:Gram-Positive Cocci)
- ブドウ球菌属(Staphylococcus)
- 黄色ブドウ球菌(S.aurens)
- 表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)
- 腐生ブドウ球菌(S.saprophyticus)
- レンサ球菌属(Streptococcus)・・・腸内常在菌。ホモ
- A群溶血性レンサ球菌(S.pyogenes)・・・溶連菌
- B群溶血性レンサ球菌(S.agalactiae)
- C, G群溶血性レンサ球菌(S.dysgalactiae ssp.equisimilis)
- アンギノサス(S.anginosus)
- コンステラータス(S.constellatus)
- インターメディウス(S.intermedius)
- 肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)・・・呼吸器
- ミティス(S.mitis)
- サングイニス(S.sangulnis)
- サリバリアス(S.salivarius)
- ウシレンサ球菌(S.bovis)
- ミュータンス(S.mutans)
- サーモフィルス菌(S.thermophilus)・・・乳酸菌
- フェカリス菌(S.faecalis)・・・乳酸菌
- 腸球菌属(Enterococcus)
- フェカリス菌(E.faecalis)・・・ホモ(乳酸)
- フェシウム菌(E.faecium)
- ラクトコッカス属 (Lactococcus)
- ラクトコッカス・ラクティス(L.lactis)・・・ホモ(乳酸)
- ペディオコッカス属(Pediococcus)・・・ホモ(乳酸)
- リューコノストック属 (Leuconostoc)・・・ヘテロ
- ブドウ球菌属(Staphylococcus)
グラム陽性桿菌
- グラム陽性有芽胞(通性)嫌気性桿菌
- バシラスorバチルス属(Bacillus)
- 炭疽菌(B.anthracis)
- セレウス菌(B.cereus)
- ポリファーメンチカス菌(B.polyfermenticus)・・・糖化菌
- 枯草菌(B.subtilis)・・・糖化菌。ビオフェルミン、ビオスリー
- 納豆菌(B.natto)・・・糖化菌
- ジャガイモ菌(B.mesentericus)
- バシラスorバチルス属(Bacillus)
- グラム陽性有芽胞(偏性)嫌気性桿菌
- クロストリジウム属(Clostridium)・・・腸内常在菌
- ボツリヌス菌(C.botulinum)
- ウェルシュ菌(C.perfringens)
- 破傷風菌(C.tetani)
- クロストリジウム・デフィシル(C.dificile)・・・菌交代症
- 酪酸菌(C.butyricum)・・・ミヤBM、ビオスリー
- クロストリジウム属(Clostridium)・・・腸内常在菌
- グラム陽性無芽胞(通性)嫌気性桿菌
- コリネバクテリウム属(Corynebacterium)
- ジフテリア菌(C.diphtheriae)
- コリネバクテ リウム・ジェイケィアム菌(C.jeikeium)
- リステリア属(Listeria)
- リステリア・モノサイトゲネス(L.monocytogenes)
- コリネバクテリウム属(Corynebacterium)
- ラクトバシラスorラクトバチルス属(Lactobacillus)・・・乳酸菌
- アシドフィルス菌(L.acidophilus)・・・カルピスのL29乳酸菌、レベニン
- カゼイ菌(L.casei)・・・ヤクルト菌(シロタ株)
- ガセリ菌(L.gasseri)・・・雪印のLG乳酸菌
- デルブリュッキ菌(L.delbrueckii)
- ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)
- ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.helveticus)
- ラクトバチルス・ライヒマニ(L.leichmannii)
- ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)・・・キリンのKW乳酸菌
- ラクトバチルス・プランタルム(L.plantarum)
- ラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus)
- ファーメンタム菌(L.fermentum)
- ブルガリクス菌(L.bulgaricus)・・・明治ブルガリアLB81
- ロイテリ菌(L.reuteri)
- プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)
- キューティバクテリウム属(Cutibacterium)・・・アクネ菌
- ペプトコッカス属(Peptococcus)
- ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)・・・腸内常在菌
- エリジペロスリックス属(Erysipelothrix)
- ルミノコッカス属(Ruminococcus)
- ビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium)・・・腸内常在菌
- ビフィズス菌類(B.bifidum、B.adolescentis他)・・・ヘテロ(乳酸・酢酸)、ラックビー、ビオフェルミン錠、レベニン、ビオスミン
- ユーバクテリウム属(Eubacterium)・・・腸内常在菌
- ユーバクテリウム・レクタル(E.rectale)
- ユーバクテリウム・ハリー(E.hallii)
グラム陰性球菌
- グラム陰性球菌(GNC)
- モラクセラ属(Moraxella)
- モラクセラ・カタラーリス(M.catarrhalis)・・・SHM(呼吸器)
- モラクセラ・オスロエンシス(M.osloensis)
- ナイセリア属(Neisseria)
- 髄膜炎菌(N.meningitidis)
- 淋菌(N.gonorrhoeae)・・・(STD)
- モラクセラ属(Moraxella)
グラム陰性桿菌
- グラム陰性好気性桿菌(GNR:Gram-Negative Rods)
- シュードモナス属(Pseudomonas)
- 緑膿菌(P.aeruginosa)・・・(SPACE)
- ボルデテラ属(Bordetella)
- 百日咳菌(B.pertussis)・・・(呼吸器)
- ブルセラ属(Brucella)・・・流産菌
- フランシセラ属(Francisella)
- 野兎病菌(F.tularensis)
- シュードモナス属(Pseudomonas)
- グラム陰性(通性)嫌気性桿菌(GNR)
- エシェリキア属 (Eshericha)
- 大腸菌(E.coli)・・・腸内常在菌。PEK
- シゲラ属(Shigella)
- S. dysenteriae・・・赤痢菌(SS)
- サルモネラ属(Salmonella)・・・(SS)
- 腸チフス(S.Typhi)
- パラチフス(S.Paratyphi A、B、C)
- クレブシエラ属(Klebsiella)
- 肺炎桿菌(K.Pneumoniae)・・・腸内常在菌。PEK
- プロテウス属(Proteus)・・・PEK
- エルシニア属(Yersinia)
- ペスト菌(Y.pestis)
- エルシニア・エンテロコリチカ(Y.enterocolitica)
- 仮性結核菌(Y.pseudotuberculosis)
- ビブリオ属(Vibrio)
- コレラ菌(V.cholerae)
- 腸炎ビブリオ(V.parahaemolyticus)
- ビブリオ・バルニフィカス(V.vulnificus)
- ヘモフィルス属(Haemophilus)
- インフルエンザ菌(H.infuluenzae)・・・SHM(呼吸器)
- 軟性下疳菌(H.ducreyi)
- アエギプチウス(H.aegyptius)
- セラチア属(Serratia)
- セラチア・マルセセンス(S.marcescens)・・・SPACE
- サイトロバクター属(Citrobacter)・・・SPACE
- エンテロバクター属(Enterobacter)
- エンテロバクター・クロアカ(E.cloacae)・・・腸内常在菌。SPACE
- モーガネラ属(Morganella)
- プロビデンシア属(Providencia)
- エロモナス属(Aeromonas)
- バークホルデリア属(Burkholderia)
- アシネトバクター属(Acinetobacter)・・・SPACE
- ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas)
- エイケネラ属(Eikenella)・・・口腔内常在菌(ヒト)
- パスツレラ属(Pasteurella)・・・口腔内常在菌(動物)
- アクチノバチルス属(Actinobacillus)・・・HACEK
- カルディオバクテリウム属(Cardiobacterium)・・・HACEK
- キンゲラ属(Kingella)・・・HACEK
- エシェリキア属 (Eshericha)
- グラム陰性(偏性)嫌気性桿菌
- バクテロイデス属(Bacteroides)
- バクテロイデス・フラギリス(B.fragilis)・・・腸内常在菌
- プレボテラ属(Prevotella)
- バクテロイデス属(Bacteroides)
その他
- 抗酸菌
- マイコバクテリウム属(Mycobacterium)
- 結核菌(M.tuberculosis)
- ハンセン病菌(M.leprae)
- 非定型抗酸菌(Atypical Mycobacteria)
- マイコバクテリウム属(Mycobacterium)
- 放線菌
- アクチノマイセス属(Actinomyces)・・・口腔細菌
- ノカルジア属(Nocardia)・・・皮下組織感染
- スピリルム
- カンピロバクター属(Campylobacter)
- カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)・・・SSCE(細菌性腸炎=食中毒)
- カンピロバクター・フェタス(C.fetus)
- カンピロバクター・フェタス(C.coli)
- ヘリコバクター属(Helicobacter)
- アルコバクター属(Arcobacter)
- スピリルム属(Spirillum)
- カンピロバクター属(Campylobacter)
- スピロヘータ
- 非定型菌
- マイコプラズマ(Mycoplasma)
- 肺炎マイコプラズマ(M.pneumoniae)・・・呼吸器
- マイコプラズマ・ジェニタリウム(M.genitalium)
- マイコプラズマ・ホミニス(M.hominis)
- ウレアプラズマ属(Ureaplasma)・・・STD
- レジオネラ属(Legionella)
- レジオネラ・ニューモフィラ(L.Pneumophila)・・・呼吸器
- クラミジア(Clamydia)
- クラミジア・トラコマチス(C.Trachomatis)
- 肺炎クラミジア(C.pneumoniae)
- クラミジア・シッタシ(C.psittaci)
- リケッチア(Rickettsia)
- マイコプラズマ(Mycoplasma)
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