ヒト乳頭腫ウイルス

ヒト乳頭腫ウイルス(HPV:Human Papillomavirus)は、別名ヒト疣贅ウイルスと呼ばれ、非常に一般的なウイルスであり、皮膚や粘膜の細胞に感染します。

HPVには200種類以上の異なる型があり、その中には無害なものもあれば、イボ(乳頭腫)やがんを引き起こすものもあります。

  • HPVの多くの型は、手足のイボや足底イボ、顔面や他の体部のイボを引き起こします。
  • 一部のHPV型は性器イボを引き起こし、これは性的接触によって伝播します。
  • いくつかのHPV型(特に16型と18型)は、子宮頸がん、肛門がん、陰茎がん、膣がん、外陰がん、および口腔咽頭がんと関連しています。
  • HPVは主に性的接触を通じて広がりますが、非性的な接触を通じても伝播する可能性があります。
  • HPVに対する予防ワクチンが存在し、特に子宮頸がんと関連するHPV型に対して効果的です。ワクチンは主に若い女性に推奨されますが、男性にも利益があります。
  • 多くのHPV感染は無症状で、感染した多くの人はウイルスを自然に排除します。
  • HPVは環状二本鎖DNAをゲノムとする非エンベロープウイルスで初期遺伝子(E6、E7、E1、E2、E4、E5)と後期遺伝子(L1、L2)及び長い制御領域LCR(Long control region)から構成される。
    • L1タンパク質は単独でウイルスに似た中空の粒子(VLP:ウイルス様粒子)を自動的に形成する能力を持っている。現在のHPVワクチン(ガーダシルやシルガードなど)はまさにこの性質を利用していて、内部にDNAを持たない「安全な空っぽの殻」を体内にいれて免疫を獲得させている。
    • ウイルスが子宮頸部移行帯(SCJ)の微小な傷から基底層に到達すると、L1が最初にHSPGに結合する。L1が結合することでウイルスの構造が変化し、L2の一部が表面に露出する。そこを宿主の酵素であるFurin(フリン)が切断する。この切断がトリガーとなって細胞内に取り込まれ(エンドサイトーシス)、エンドソーム内でL1が外れる。そして、L2がウイルスDNAのガイド役となってエンドソームを脱出し、核へ移行する働きを担う。
    • 核内(PMLボディ/ND10と呼ばれる領域)にたどり着いたウイルスゲノムは、初期タンパク質であるE1(DNAの二重らせんを解くヘリカーゼ)とE2(E1をサポートし、転写を調節する因子)の働きによって複製を開始する。
    • 感染した細胞が上皮の上層へ押し上げられるにつれて、E4タンパク質が大量に作られる。E4は細胞のケラチン骨格を破壊して細胞を脆弱にし、L1/L2によって組み立てられた大量の完成ウイルス(ビリオン)が細胞外へ剥がれ落ちやすくする役割を持っている。
    • 本来、基底細胞は上へ移動するにつれて分化し、細胞分裂をやめる。しかし、ウイルスは自分のDNAを増やすために細胞の複製機能(S期)を動かし続ける必要がある。 そこで、E7が細胞のブレーキ(Rbタンパク質)を破壊して無理やり分裂サイクルを回し続け、E6が「異常な分裂を感知して自死する機能」(p53タンパク質)を無効化する。結果として、細胞は「分化できず、未熟なまま増殖し続ける状態」に固定され、これが長期間続くことで遺伝子の変異が蓄積し、がん化(子宮頸がん)へと繋がっていく。

ウイルスの種類

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