免疫抑制薬の種類と作用機序

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
DMARDs
(免疫調節薬)
ブシラミン リマチル 錠50㎎/100mg
適応:関節リウマチ
アクタリット オークル
モーバー
錠100mg
適応:関節リウマチ
サラゾスルファピリジン アザルフィジンEN 腸溶錠250mg/500mg
適応:関節リウマチ(NSAIDsで十分な効果が得られない場合)
黄赤色尿、コンタクト着色
サラゾピリン 錠500mg、坐剤500mg
適応:【錠】潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、非特異性大腸炎、【坐】潰瘍性大腸炎
皮膚・爪・尿・汗などが黄色~黄赤色に着色
5-ASA メサラジン ペンタサ 顆粒、錠250mg/500mg、注腸液、坐剤
適応:潰瘍性大腸炎(重症除く)、【内服のみ】クローン病
アサコール 錠400mg
適応:潰瘍性大腸炎(重症除く)
リアルダ 錠1200mg
適応:潰瘍性大腸炎(重症除く)
NF-κB阻害薬 イグラチモド ケアラム 錠25mg
適応:関節リウマチ
十分な知識を持つ医師が使用
リソソーム抑制薬 ヒドロキシクロロキン プラケニル 錠200mg
適応:SLE
網膜症状、定期眼科検査
合成レチノイド エトレチナート チガソン カプセル10㎎/25mg
適応:乾癬、魚鱗癬、掌蹠角化症、掌蹠膿疱症、ダリエー病、毛孔性紅色粃糠疹、紅斑性角化症、口腔白板症、口腔乳糖腫、口腔扁平苔癬
催奇形性
PDE4阻害薬 アプレミラスト オテズラ 錠10㎎/20mg/30mg
適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、ベーチェット病による口腔潰瘍
ジファミラスト モイゼルト 軟膏0.3%/1%
適応:アトピー性皮膚炎
プリン合成阻害薬 アザチオプリン イムラン
アザニン
錠50㎎
適応:移植時拒絶反応抑制、ステロイド依存性のクローン病の寛解導入及び寛解維持並びに潰瘍性大腸炎の寛解維持、治療抵抗性のリウマチ性疾患、SLE、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、自己免疫性肝炎
ミゾリビン プレディニン 錠25mg/50mg、OD錠25mg/50mg
適応:腎移植時拒絶反応抑制、原発性糸球体疾患によるネフローゼ症候群、ループス腎炎、関節リウマチ(条件有)
ミコフェノール酸モフェチル セルセプト 懸濁用散、カプセル250mg
適応:腎移植後の軟磁性拒絶反応、腎・肝・肺・膵移植時拒絶反応抑制、ループス腎炎
催奇形性
メトトレキサート リウマトレックス カプセル2㎎、【GEのみ】錠2㎎
適応:関節リウマチ、若年性特発性関節炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、嚢胞性乾癬、感染性紅皮症
催奇形性
ピリミジン合成阻害 レフルノミド アラバ 錠10㎎/20mg/100mg
適応:関節リウマチ
十分な知識を持つ医師が使用。肝・血液毒性
アルキル化薬 シクロホスファミド エンドキサン 経口用原末、錠50㎎、注射用
適応:SLE、全身血管炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、血管炎を伴う軟磁性リウマチ性疾患、ネフローゼ症候群
リンパ球増殖抑制 グスペリムス スパニジン 点滴静注
適応:腎移植後の拒絶反応
mTOR阻害 エベロリムス サーティカン 錠0.25mg/0.5mg/0.75mg
適応:心・腎・肝移植時拒絶反応
カルシニューリン阻害 シクロスポリン サンディミュン
ネオーラル
内用液、点滴静注(サンデ)、カプセル10mg/25mg/50mg(ネオ)、細粒(GE)
適応:腎・肝・心・肺・膵移植時拒絶反応抑制、骨髄移植時拒絶反応及び移植片対宿主病抑制、【内服のみ】眼症状のあるベーチェット病、尋常性乾癬、再生不良性貧血、ネフローゼ症候群、漸進型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎、川崎病の急性期、【点滴】潰瘍性大腸炎、ループス腎炎
移植後のMgの低下に注意
タクロリムス プログラフ 顆粒、カプセル0.5mg/1mg/5mg、注射液
適応:腎・肝・心・肺・膵・小腸移植時拒絶反応抑制、骨髄移植時拒絶反応・移植片対宿主病抑制、重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、軟磁性の活動期潰瘍性大腸炎、多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎
グラセプター カプセル0.5mg/1mg/5mg
適応:腎・肝・心・肺・膵・小腸移植時拒絶反応抑制、骨髄移植時拒絶反応・移植片対宿主病抑制
徐放剤のため、プログラフ経口からの切り替えは1日用量を1日1回朝投与
プロトピック 軟膏、小児用軟膏
適応:アトピー性皮膚炎
Th2サイトカイン阻害薬
(IL-4/5阻害)
スプラタストトシル酸塩 アイピーディ カプセル50mg/100mg、DS5%
適応:気管支喘息、【Capのみ】アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎
チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬 デュークラバシチニブ ソーティクツ 錠6㎎
適応:尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
α4インテグリン遮断薬 カロテグラスト カログラ 錠120mg
適応:中等症の潰瘍性大腸炎(5-ASA効果不十分な場合)
JAK阻害薬 トファシチニブ ゼルヤンツ 錠5㎎
適応:関節リウマチ、中等度~重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持
バリシチニブ オルミエント 錠2㎎/4mg
適応:関節リウマチ、難治性のアトピー性皮膚炎
ペフィシチニブ スマイラフ 錠50㎎/100mg
適応:関節リウマチ
ウパダシチニブ リンヴォック 錠7.5mg/15mg
適応:関節リウマチ
フィルゴチニブ ジセレカ 錠100mg/200mg
適応:関節リウマチ
アブロシチニブ サイバインコ 錠50㎎/100mg/200mg
適応:アトピー性皮膚炎
リトレシチニブ リットフーロ カプセル50㎎
適応:円形脱毛症
デルゴシチニブ コレクチム 軟膏
適応:アトピー性皮膚炎
生物学的製剤(JAK阻害薬) デュピルマブ デュピクセント 皮下注シリンジ、皮下注ペン
適応:アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、気管支喘息(難治性)、慢性副鼻腔炎
生物学的製剤
TNF-α阻害薬
インフリキシマブ レミケード 点滴静注
適応:関節リウマチ、クローン病の治療および維持療法、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、腸管型・神経型・血液型ベーチェット病、川崎病の急性期
エタネルセプト エンブレル 皮下注、皮下注シリンジ、皮下注ペン
適応:関節リウマチ、【バイアルのみ】多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
アダリムマブ ヒュミラ 皮下注シリンジ、皮下注ペン
適応:若年性特発性関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、腸管型ベーチェット病、クローン病の寛解導入及び維持療法、潰瘍性大腸炎、非感染性の中間部・後頭部又は汎ぶどう膜炎、化膿性汗腺炎、壊疽性膿皮症
ゴリムマブ シンポニー 皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター
適応:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎
セルトリズマブ ペゴル シムジア 皮下注シリンジ、皮下注オートクリックス
適応:関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
オゾラリズマブ ナノゾラ 皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター
適応:関節リウマチ
生物学的製剤
(IL-6阻害薬)
トシリズマブ アクテムラ 点滴静注、皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター
適応:関節リウマチ、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、若年性特発性関節炎、成人スチル病、キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見の改善、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群
サリルマブ ケブザラ 皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター
適応:関節リウマチ
生物学的製剤
(IL-1阻害薬)
カナキヌマブ イラリス 皮下注
適応:クリオピリン関連周期性症候群、高IgD症候群、TNF受容体関連周期性症候群、家族性地中海熱、全身型若年性特発性関節炎
生物学的製剤
(T細胞刺激調節薬)
アバタセプト オレンシア 点滴静注、皮下注シリンジオートインジェクター
適応:関節リウマチ、【点滴静注のみ】多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
生物学的製剤
(IL-2阻害薬)
バシリキシマブ シムレクト 静注用、小児用静注用
適応:腎移植後の急性拒絶反応抑制
生物学的製剤
(B細胞標的薬)
ベリムマブ ベンリスタ 点滴静注、皮下注オートインジェクター、皮下注シリンジ
適応:SLE
生物学的製剤
(α4β7インテグリン阻害薬)
ベドリズマブ エンタイビオ 点滴静注
適応:潰瘍性大腸炎、活動期クローン病の治療及び維持療法
生物学的製剤
(IL-12/23阻害薬)
ウステキヌマブ ステラーラ 点滴静注、皮下注シリンジ
適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、活動期のクローン病、潰瘍性大腸炎の維持療法
生物学的製剤
IL-13阻害薬
トラロキヌマブ アドトラーザ 皮下注シリンジ
適応:アトピー性皮膚炎
生物学的製剤
(IL-17阻害薬)
セクキヌマブ コセンティクス 皮下注シリンジ、皮下注ペン
適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎炎、体軸性脊椎関節炎
イキセキズマブ トルツ 皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター
適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、強直性脊椎炎、体軸性脊椎関節炎
ブロダルマブ ルミセフ 皮下注シリンジ
適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、強直性脊椎炎、体軸性脊椎関節炎
生物学的製剤
(IL-23阻害薬)
グセルクマブ トレムフィア 皮下注シリンジ
適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症
リサンキズマブ スキリージ 皮下注シリンジ
適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
チルドラキズマブ イルミア 皮下注シリンジ
適応:尋常性乾癬
生物学的製剤
(IL-31阻害薬)
ネモリズマブ ミチーガ 皮下注シリンジ
適応:アトピー性皮膚炎に伴うそう痒
生物学的製剤
IL-36阻害薬
スペソリマブ スペビゴ 点滴静注
適応:膿疱性乾癬
生物学的製剤
TSLP阻害薬
テゼペルマブ テゼスパイア 皮下注シリンジ、皮下注ペン
適応:気管支喘息(難治性)
IBD治療薬 ベタメタゾンリン酸エステルNa ステロネマ 注腸
適応:限局性腸炎、潰瘍性大腸炎
プレドニゾロンリン酸エステルNa プレドネマ 注腸液
適応:限局性腸炎、潰瘍性大腸炎
ブデソニド ゼンタコート カプセル3㎎
適応:活動期クローン病
レクタブル 注腸フォーム
適応:潰瘍性大腸炎(重症除く)
コレチメント 錠9mg
適応:活動期潰瘍性大腸炎(重症除く)

カルシニューリン阻害剤

シクロスポリン

シクロスポリンAは、トリポクラジウム(Tolipocladium)属菌が産生する化合物で、先のFKBPに当たるタンパク質:CyP(シクロフィリン)と複合体を形成して、同じ作用を示すが、その効果はタクロリムスの1/10程度と言われる。

タクロリムス(FK506)

タクロリムスは別名:FK506と呼ばれ、1984年、筑波山の土壌の放線菌(Streptomyces tukubanesis)から抽出された生理活性天然化合物である。

FK506が特異的に結合するタンパク質をFKBP(FK506-binding-protein、イムノフィリンの一つ)と呼び、FKBPはペプチジルプロリルcis-trans-イソメラーゼ(活性生体内の機能分子であるタンパク質の主鎖の向きを大きく変換することのできる酵素)活性と、カルシニューリン阻害作用の2つの役割を持つといわれる。

FKBPのその他の特徴としては、細胞内に豊富の存在するタンパク質、FK506-FKBP間相互作用が安定である(解離定数が数nM)、可溶性が高いことなどがあげられる。

タクロリムスはFKBP12と複合体を形成しカルシニューリンを阻害することで、NF-AT(nuclear factor of activated T cells)の脱リン酸化を阻害してIL-2の合成を止める。IL2受容体(CD25)→JAK-STAT T細胞の増殖、B細胞の増殖、抗体産生能の亢進。この作用を抑制する。

T細胞刺激によるT細胞からのインターロイキン(IL)-2及びインターフェロン(IFN)-γのみならず、腫瘍壊死因子α、IL-1β及びIL-6等の産生も抑制すると能書上はなっている。

それ以外の作用として、ランゲルハンス細胞の抗原提示能の抑制や、肥満細胞からのIgE依存性ヒスタミン遊離抑制、好酸球の脱顆粒抑制、表皮ケラチノサイトに存在するSP、NGFとその受容体TrkAの発現抑制等も知られている。

タクロリムスの免疫抑制作用は、主として T 細胞による分化・増殖因子の産生を阻害することにより発揮されるが、この産生阻害はメッセンジャーRNA への転写レベルで抑制されることに基づくと考えられている。

タクロリムスは細胞内でタクロリムス結合蛋白(FKBP)と結合して作用を発揮すると考えられているが、この蛋白はシクロスポリン結合蛋白であるシクロフィリンとは全く異なることが明らかとなっている。この結合蛋白の相違がタクロリムスとシクロスポリンとの作用の相違及び強度の相違として現れていると思われる。

タクロリムスの副作用として怖いのが腎障害発ガン性でしょうか。

タクロリムスは肝臓でCYP3A4により代謝され、大部分は胆汁中に、1%が尿中へ排泄されます。その上、血中濃度は腎機能の影響を受けないとされています。

それなのになぜ、腎障害が起こるのか?

タクロリムスの腎障害の機序は、腎細動脈の血管収縮作用による血流量の低下が原因です。血流量の低下は、尿細管細胞に栄養補給がなされなくなり、やがて腎障害が起こると言われています。

タクロリムス製剤といえば、プロトピックとプログラフですが、プロトピックは外用剤なので、プログラフほど腎障害を気にする必要はありません。

発がん性に関しては、免疫抑制によるところが大きいのではないでしょうか。私たちは誰もが癌原遺伝子という癌の元になる遺伝子を持っていますが、この癌原遺伝子は私たちの体が正常に働くために必要な遺伝子でもあるのでないわけにはいきません。

  • プログラフ、グラセプター(タクロリムス)・・・カプセル(ただし、グラセプターは徐放カプセルでありプログラフとは異なる)。シクロスポリンとタクロリムスは有効治療濃度域が狭いのと、個人により差があるので、薬物血中濃度モニタリングに基づく投与設計が必要。
    • (グラセプター、プログラフでは 5~20 ng/mL、ネオーラルでは 50~400 ng/mL)、濃度がこれらの範囲より低いと拒絶が起こりやすくなってしまい、逆に高過ぎると副作用が起こりやすくなる
    • グレープフルーツジュースはこれらの免疫抑制薬の血中濃度を上げるので避ける。
    • プログラフ、ネオーラルによる副作用で比較的多く認められるものには、①尿量減少、発熱、手足のむくみなどの腎機能障害、②手足のかすかなふるえ、③体毛の過度の伸び (多毛)、④血糖値の上昇、⑥頭痛等がある。
    • CYP3A4やP糖タンパクを介して血中濃度に影響する薬やGFJに注意。
    • プログラフの禁忌はトラクリアやスピロノラクトンなどのK保持性利尿薬。ネオーラルの禁忌はリバロやクレストール等。
  • プロトピック(タクロリムス)・・・軟膏。
    • ランク的にはステロイドのstrongランク同程度と言われる。皮膚の萎縮の副作用がないが、炎症がひどい部位に使用すると刺激感がある(湿疹がよくなるとひいてくる)。
    • 体には力不足なので、もっぱら顔に使用する。
    • プロトピックはランクでいうとstrongレベルと言われているが、使える量に上限がある(発がん性のために1日10g以下)ので、顔中心に用いられる。皮膚に傷がある状態で使用すると刺激感・ほてり感がでるので注意する。
    • 規格は0.1%と0.03%の二つがあり、0.1%は16歳以上、0.03%は2歳以上に対して用いられます。2歳未満の幼児に関しては使用経験がなく安全性が確立されていません。
    • プロトピックには大人用の0.1%と小児用の0.03%があるが、大人が刺激が強いからという理由で0.03%を持っていくことがあるので、疑義照会時に注意する。
    • その他発がん性の問題もあるため、使用量には「1日10gを越えないこと」との制限があります。
    • 臨床では、マウスに2年間プロトピック軟膏を塗り続けた実験で、リンパ腫という癌が発症したというデータはありますが、マウスの皮膚は人に比べて薄いため薬物の吸収率が高く、血中濃度が常に高い状態であることを考えれば、あまり有用なデータではないとされています。
    • 紫外線を浴びると癌原遺伝子から癌遺伝子への変異が起こりやすくなるため、紫外線はなるべく避けるようにとの注意があります。
    • ピメクロリムスはタクロリムスと同じカルシニューリン阻害薬であるが、日本では販売されていない(米国でクリーム剤として使用されている)。

ラパマイシン

ラパマイシンはFKBP12と複合体を形成し、mTORC1に結合、mTORを阻害し、IL-2やほかのサイトカインを抑制する。すなわち、Th1とTh2の出すサイトカイン(IL-2、4、5、6、10、IFN-γ)の合成を抑制するので結果としてTh0からの分化(自己による自己の分化促進:IFN-γやIL-4)やB細胞の分化(IL-2)も抑制することになる。腎に対する毒性がタクロリムスより低い。

JAK阻害剤

  • オルミエント(バリシチニブ)・・・錠剤、1日1回4㎎(腎障害で2㎎)。適応:既存治療で効果不十分な関節リウマチ、難治性のアトピー性皮膚炎
    • 2番目のJAK阻害剤。JAK1/2を阻害して、IFN-γ、IL-6等のシグナル伝達を阻害。
    • 抗リウマチ作用が生物学的製剤と同等以上、効果発現が早い
    • eGFRが30未満では投与しない。
    • MTX等のDMARDが無効な患者に使用。
    • 好中球やリンパ球数が減った場合注意、
    • 免疫抑制薬特有の副作用:咳、発熱、帯状疱疹
    • 禁忌薬剤はない。腎機能障害(eGFR30以下は禁忌)、他リンパ球、好中球低下に注意
  • コレクチム(デルゴシチニブ)・・・軟膏
    • プロトピックよりも皮膚刺激が少なく、同じようにstrongレベルの効果を示すとされ、フィラグリンや天然保湿因子を増加させてバリア機能を改善する効果を持つ。効果発現に時間がかかるのが特徴。生後6か月から使用可能。
    • コレクチムは,ヤヌスキナーゼファミリー(JAK1,JAK2,JAK3及びTyk2)のすべてのキナーゼ活性を阻害することにより,種々のサイトカインシグナル伝達を阻害する。本作用機序に基づき,サイトカインにより誘発される免疫細胞及び炎症細胞の活性化を抑制して皮膚の炎症を抑制する。また,サイトカインにより誘発される掻破行動(そう痒)を抑制する。
  • デュピクセント(デュピルマブ)・・・注射
    • デュピルマブは、本剤は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。
    • ペン型の注射剤。ヒトインターロイキン-4及びインターロイキン-13受容体の複合体が共有しているIL-4受容体αサブユニットに特異的に結合することにより、IL-4及びIL-13の両シグナル伝達を阻害する遺伝子組換えヒトIgG4モノクローナル抗体である。IL-4 及び IL-13 は、アトピー性皮膚炎の病態において重要な役割を担う 2 型サイトカインである。
    • 対象者は既存治療で効果不十分な成人で、初回600mg、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。
    • 強い炎症を伴う皮疹の体表面積に占める割合が10%以上(シクロスポリンは30%以上)であることが推奨。
    • 治療効果は16週までに得られるとされ、16週を超えて効果が得られない場合は中止を検討する。
    • 実際の効果は幅があり、ほとんどはステロイドの外用薬を併用してコントロールしている。
  • リットフーロ(リトレシチニブ)・・・カプセル。円形脱毛症の適応。

核酸合成阻害剤

  • セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル)・・・カプセル
    • プリン合成阻害(イノシンモノホスフェイト脱水素酵素の阻害)によるGTP、dGTPを枯渇させ、結果的にリンパ系細胞の増殖を抑える。
    • 1 日 2 回 12 時間毎に服用
    • 副作用に白血球減少症、催奇形性がある

PDE4阻害剤

  • オテズラ(アプレミラスト)・・・内服。適応は乾癬。
  • (ロフルミラスト)・・・内服。未発売で海外のみ。適応はCOPD
  • モイゼルト(ジファミラスト)・・・軟膏。基剤中に微細な液滴として分散した液滴分散系軟膏であり、他剤と混合することにより液滴が合一 して大きくなるため、混合することは好ましくない。生後3か月から使用可能。
    • 炎症に係るT細胞、B細胞、ケラチノサイト、マクロファージ、単球、好酸球、好塩基球、好中球、樹状細胞等のPDE4を阻害して、cAMP濃度を高める(cAMPはプロテインキナーゼA、Epac、CNGチャネルの大きく3つを活性化する)。PDEはcAMPを不活性型のAMPへの変換をコントロールしてAキナーゼ活性を調節する。
      Aキナーゼの活性化は、CREB(クレブ)、NF-κB、NFAT等による転写を抑制して炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-23、IFN-γ 等)の産生を抑制する。
      活性化されたAキナーゼは細胞核へ移行し、そこでCREB(cAMP-responsive element binding protein)の133位のセリン残基がAキナーゼによりリン酸化され、CREBが活性化する。
      活性化されたCREBはCRE(c-AMP-responsive element)領域に結合し、その後コアクチベーターであるCBP(cAMP responsive element binding protein[CREB] binding protein)が結合して特定の遺伝子をオンにしたりオフにしたりするが、この場合は抑制側に働いていることになる。
      CREBの応答配列CREはAP-1結合部位(サイトカイン遺伝子のプロモーター等)の上流に位置している。
      一方、AP-1はTCRからのシグナル伝達の過程で、DAG→PLC→MAPKを経て生じる蛋白であるFosとJunが元となっているが、AP-1がリン酸化により活性化されるとCRE配列の下流にてCREBと同じようにCBPと結合し転写を促進する。ステロイド-ステロイド受容体複合体はこのコアクチベーターのCBPに結合もしくはAP-1を直接阻害して転写を抑制し炎症を抑えるとされている。
      AP-1の抑制は抗炎症作用を示し、その上流のCREBはリン酸化による活性化が抗炎症作用を示すことから、CREBはIL-2等のサイトカイン遺伝子上で転写の調節をしているのではと推測できる。つまり、本来はTCRからシグナル伝達が進んでAP-1リン酸化等による炎症反応が進むが、CREBはその上流でAP-1の作用を阻害している(CBP競合的にも?)のではないだろうか。
      また、テオフィリンやβ2刺激薬の抗炎症作用も、このPDE阻害作用で説明がつく。
      EpacによるRasやMAPK、PLC活性化が関与しているかは不明。

チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬

  • ソーティクツ(デュークラバシチニブ)・・・チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬である。TYK2の機能制御部位に結合し、この部位と触媒部位の間の相互作用を安定化することで、インターロイキン(IL)-23、IL-12、I型インターフェロン(IFN)などで誘導されるTYK2の活性化が阻害され、TYK2が介在する炎症や免疫応答が抑制される。

IL-36受容体阻害薬

  • スペビゴ(スペソリマブ)・・・ヒトIL-36受容体(IL-36R)に結合する、ヒト化抗ヒトIL-36RモノクローナルIgG抗体である。本剤はIL-36Rに結合することにより、内因性のIL-36RリガンドであるIL-36α、β及びγのシグナル伝達を阻害し、IL-36Rリガンドによる炎症及び線維化シグナルを抑制すると考えられる。

胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)受容体阻害薬

  • テゼスパイア(テゼペルマブ)・・・胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)に対するヒトIgG2λのモノクローナル抗体であり、ヒトTSLPに結合し、ヘテロ二量体のTSLP受容体との相互作用を阻害する。TSLPは喘息における炎症誘導経路の上流に位置する上皮細胞由来サイトカインであり、喘息に伴う気道炎症の発症及び持続において重要な役割を果たしている。喘息では、アレルギー性及び非アレルギー性曝露のいずれによってもTSLP産生が誘導される。テゼペルマブでTSLPを阻害することにより、血中好酸球、IgE、FeNO、IL-5、IL-13等の炎症に関連する広範囲のバイオマーカー及びサイトカインが減少し、気道過敏性が軽減する。

IL-13受容体阻害薬

  • アドトラーザ(トラロキヌマブ)・・・ヒトIgG4モノクローナル抗体で、2型サイトカインであるIL-13と結合し、IL-13とIL-13受容体のα1及びα2サブユニットとの相互作用を阻害する 。IL-13は、IL-13Rα1/IL-4Rα受容体複合体を介しシグナルを伝え、炎症反応を刺激し、そう痒発生に寄与し、正常皮膚のバリア機能に必要な蛋白の産生を阻害する。

免疫機構・メカニズム

免疫機構・メカニズムのページを参照。

その他の免疫治療

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