免疫抑制薬の種類と作用機序
分類 | 成分名 | 商品名 | 規格・剤形・補足 |
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DMARDs (免疫調節薬) |
ブシラミン | リマチル | 規格:錠50㎎/100mg 適応:関節リウマチ |
アクタリット | オークル モーバー |
規格:錠100mg 適応:関節リウマチ |
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サラゾスルファピリジン | アザルフィジンEN | 規格:腸溶錠250mg/500mg 適応:関節リウマチ(NSAIDsで十分な効果が得られない場合) 補足:黄赤色尿、コンタクト着色 |
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サラゾピリン | 規格:錠500mg、坐剤500mg 適応:【錠】潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、非特異性大腸炎、【坐】潰瘍性大腸炎 補足:皮膚・爪・尿・汗などが黄色~黄赤色に着色 |
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5-ASA | メサラジン | ペンタサ | 規格:顆粒、錠250mg/500mg、注腸液、坐剤 適応:潰瘍性大腸炎(重症除く)、【内服のみ】クローン病 |
アサコール | 規格:錠400mg 適応:潰瘍性大腸炎(重症除く) |
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リアルダ | 規格:錠1200mg 適応:潰瘍性大腸炎(重症除く) |
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NF-κB阻害薬 | イグラチモド | ケアラム | 規格:錠25mg 適応:関節リウマチ 補足:十分な知識を持つ医師が使用 |
リソソーム抑制薬 | ヒドロキシクロロキン | プラケニル | 規格:錠200mg 適応:SLE 補足:網膜症状、定期眼科検査 |
合成レチノイド | エトレチナート | チガソン | 規格:カプセル10㎎/25mg 適応:乾癬、魚鱗癬、掌蹠角化症、掌蹠膿疱症、ダリエー病、毛孔性紅色粃糠疹、紅斑性角化症、口腔白板症、口腔乳糖腫、口腔扁平苔癬 補足:催奇形性 |
PDE4阻害薬 | アプレミラスト | オテズラ | 規格:錠10㎎/20mg/30mg 適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、ベーチェット病による口腔潰瘍 |
ジファミラスト | モイゼルト | 規格:軟膏0.3%/1% 適応:アトピー性皮膚炎 |
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プリン合成阻害薬 | アザチオプリン | イムラン アザニン |
規格:錠50㎎ 適応:移植時拒絶反応抑制、ステロイド依存性のクローン病の寛解導入及び寛解維持並びに潰瘍性大腸炎の寛解維持、治療抵抗性のリウマチ性疾患、SLE、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、自己免疫性肝炎 |
ミゾリビン | プレディニン | 規格:錠25mg/50mg、OD錠25mg/50mg 適応:腎移植時拒絶反応抑制、原発性糸球体疾患によるネフローゼ症候群、ループス腎炎、関節リウマチ(条件有) |
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ミコフェノール酸モフェチル | セルセプト | 規格:懸濁用散、カプセル250mg 適応:腎移植後の軟磁性拒絶反応、腎・肝・肺・膵移植時拒絶反応抑制、ループス腎炎 補足:催奇形性 |
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メトトレキサート | リウマトレックス | 規格:カプセル2㎎、【GEのみ】錠2㎎ 適応:関節リウマチ、若年性特発性関節炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、嚢胞性乾癬、感染性紅皮症 補足:催奇形性 |
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ピリミジン合成阻害 | レフルノミド | アラバ | 規格:錠10㎎/20mg/100mg 適応:関節リウマチ< 補足:十分な知識を持つ医師が使用。肝・血液毒性 |
アルキル化薬 | シクロホスファミド | エンドキサン | 規格:経口用原末、錠50㎎、注射用 適応:SLE、全身血管炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、血管炎を伴う軟磁性リウマチ性疾患、ネフローゼ症候群 |
リンパ球増殖抑制 | グスペリムス | スパニジン | 規格:点滴静注 適応:腎移植後の拒絶反応 |
mTOR阻害 | エベロリムス | サーティカン | 規格:錠0.25mg/0.5mg/0.75mg 適応:心・腎・肝移植時拒絶反応 |
カルシニューリン阻害 | シクロスポリン | サンディミュン ネオーラル |
規格:内用液、点滴静注(サンデ)、カプセル10mg/25mg/50mg(ネオ)、細粒(GE) 適応:腎・肝・心・肺・膵移植時拒絶反応抑制、骨髄移植時拒絶反応及び移植片対宿主病抑制、【内服のみ】眼症状のあるベーチェット病、尋常性乾癬、再生不良性貧血、ネフローゼ症候群、漸進型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎、川崎病の急性期、【点滴】潰瘍性大腸炎、ループス腎炎 補足:移植後のMgの低下に注意 |
タクロリムス | プログラフ | 規格:顆粒、カプセル0.5mg/1mg/5mg、注射液 適応:腎・肝・心・肺・膵・小腸移植時拒絶反応抑制、骨髄移植時拒絶反応・移植片対宿主病抑制、重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、軟磁性の活動期潰瘍性大腸炎、多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎 |
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グラセプター | 規格:カプセル0.5mg/1mg/5mg 適応:腎・肝・心・肺・膵・小腸移植時拒絶反応抑制、骨髄移植時拒絶反応・移植片対宿主病抑制 補足:徐放剤のため、プログラフ経口からの切り替えは1日用量を1日1回朝投与. K保持性利尿薬は禁忌 |
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プロトピック | 規格:軟膏、小児用軟膏 適応:アトピー性皮膚炎 |
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Th2サイトカイン阻害薬 (IL-4/5阻害) |
スプラタストトシル酸塩 | アイピーディ | 規格:カプセル50mg/100mg、DS5% 適応:気管支喘息、【Capのみ】アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎 |
α4インテグリン遮断薬 | カロテグラスト | カログラ | 規格:錠120mg 適応:中等症の潰瘍性大腸炎(5-ASA効果不十分な場合) |
JAK阻害薬 | トファシチニブ | ゼルヤンツ | 規格:錠5㎎ 適応:関節リウマチ、中等度~重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持 |
バリシチニブ | オルミエント | 規格:錠2㎎/4mg 適応:関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、若年性特発性関節炎、コロナによる肺炎、円形脱毛症 |
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ペフィシチニブ | スマイラフ | 規格:錠50㎎/100mg 適応:関節リウマチ |
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ウパダシチニブ | リンヴォック | 規格:錠7.5mg/15mg 適応:関節リウマチ、乾癬性関節炎、アトピー性皮膚炎、強直性脊椎炎、X戦基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、中等症から重症の潰瘍性大腸炎/クローン病の寛解導入及び維持 |
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フィルゴチニブ | ジセレカ | 規格:錠100mg/200mg 適応:関節リウマチ、中等症から重症の潰瘍性大腸炎/クローン病の寛解導入及び維持 |
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アブロシチニブ | サイバインコ | 規格:錠50㎎/100mg/200mg 適応:アトピー性皮膚炎 |
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リトレシチニブ | リットフーロ | 規格:カプセル50㎎ 適応:円形脱毛症 |
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デルゴシチニブ | コレクチム | 規格:軟膏 適応:アトピー性皮膚炎 |
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チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬 | デュークラバシチニブ | ソーティクツ | 規格:錠6㎎ 適応:尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症 |
治療用AhR調節薬 | タピナロフ | ブイタマー | 規格:クリーム 適応:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬 |
生物学的製剤(IL-4/13阻害薬) | デュピルマブ | デュピクセント | 規格:皮下注シリンジ、皮下注ペン 適応:アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、気管支喘息(難治性)、慢性副鼻腔炎 |
生物学的製剤 (TNF-α阻害薬) |
インフリキシマブ | レミケード | 規格:点滴静注 適応:関節リウマチ、クローン病の治療および維持療法、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、腸管型・神経型・血液型ベーチェット病、川崎病の急性期 |
エタネルセプト | エンブレル | 規格:皮下注、皮下注シリンジ、皮下注ペン 適応:関節リウマチ、【バイアルのみ】多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎 |
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アダリムマブ | ヒュミラ | 規格:皮下注シリンジ、皮下注ペン 適応:若年性特発性関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、腸管型ベーチェット病、クローン病の寛解導入及び維持療法、潰瘍性大腸炎、非感染性の中間部・後頭部又は汎ぶどう膜炎、化膿性汗腺炎、壊疽性膿皮症 |
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ゴリムマブ | シンポニー | 規格:皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター 適応:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎 |
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セルトリズマブ ペゴル | シムジア | 規格:皮下注シリンジ、皮下注オートクリックス 適応:関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症 |
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オゾラリズマブ | ナノゾラ | 規格:皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター 適応:関節リウマチ |
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生物学的製剤 (IL-6阻害薬) |
トシリズマブ | アクテムラ | 規格:点滴静注、皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター 適応:関節リウマチ、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、若年性特発性関節炎、成人スチル病、キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見の改善、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群 |
サリルマブ | ケブザラ | 規格:皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター 適応:関節リウマチ |
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生物学的製剤 (IL-1阻害薬) |
カナキヌマブ | イラリス | 規格:皮下注 適応:クリオピリン関連周期性症候群、高IgD症候群、TNF受容体関連周期性症候群、家族性地中海熱、全身型若年性特発性関節炎 |
生物学的製剤 (T細胞刺激調節薬) |
アバタセプト | オレンシア | 規格:点滴静注、皮下注シリンジオートインジェクター 適応:関節リウマチ、【点滴静注のみ】多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎 |
生物学的製剤 (IL-2阻害薬) |
バシリキシマブ | シムレクト | 規格:静注用、小児用静注用 適応:腎移植後の急性拒絶反応抑制 |
生物学的製剤 (B細胞標的薬) |
ベリムマブ | ベンリスタ | 規格:点滴静注、皮下注オートインジェクター、皮下注シリンジ 適応:SLE |
生物学的製剤 (α4β7インテグリン阻害薬) |
ベドリズマブ | エンタイビオ | 規格:点滴静注 適応:潰瘍性大腸炎、活動期クローン病の治療及び維持療法 |
生物学的製剤 (IL-12/23阻害薬) |
ウステキヌマブ | ステラーラ | 規格:点滴静注、皮下注シリンジ 適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、活動期のクローン病、潰瘍性大腸炎の維持療法 |
生物学的製剤 (IL-13阻害薬) |
トラロキヌマブ | アドトラーザ | 規格:皮下注シリンジ 適応:アトピー性皮膚炎 |
生物学的製剤 (IL-17阻害薬) |
セクキヌマブ | コセンティクス | 規格:皮下注シリンジ、皮下注ペン 適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎炎、体軸性脊椎関節炎 |
イキセキズマブ | トルツ | 規格:皮下注シリンジ、皮下注オートインジェクター 適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、強直性脊椎炎、体軸性脊椎関節炎 |
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ブロダルマブ | ルミセフ | 規格:皮下注シリンジ 適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、強直性脊椎炎、体軸性脊椎関節炎 |
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生物学的製剤 (IL-23阻害薬) |
グセルクマブ | トレムフィア | 規格:皮下注シリンジ 適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症 |
リサンキズマブ | スキリージ | 規格:皮下注シリンジ 適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症 |
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チルドラキズマブ | イルミア | 規格:皮下注シリンジ 適応:尋常性乾癬 |
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生物学的製剤 (IL-31阻害薬) |
ネモリズマブ | ミチーガ | 規格:皮下注シリンジ 適応:アトピー性皮膚炎に伴うそう痒 |
生物学的製剤 (IL-36阻害薬) |
スペソリマブ | スペビゴ | 規格:点滴静注 適応:膿疱性乾癬 |
生物学的製剤 (TSLP阻害薬) |
テゼペルマブ | テゼスパイア | 規格:皮下注シリンジ、皮下注ペン 適応:気管支喘息(難治性) |
生物学的製剤 (IgE阻害薬) |
オマリズマブ | ゾレア | 規格:皮下注シリンジ、皮下注ペン 適応:気管支喘息(難治性)、季節性アレルギー性鼻炎(重症)、特発性慢性蕁麻疹(既存治療で不十分) |
IBD治療薬 | ベタメタゾンリン酸エステルNa | ステロネマ | 規格:注腸 適応:限局性腸炎、潰瘍性大腸炎 |
プレドニゾロンリン酸エステルNa | プレドネマ | 規格:注腸液 適応:限局性腸炎、潰瘍性大腸炎 |
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ブデソニド | ゼンタコート | 規格:カプセル3㎎ 適応:活動期クローン病 |
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レクタブル | 規格:注腸フォーム 適応:潰瘍性大腸炎(重症除く) |
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コレチメント | 規格:錠9mg 適応:活動期潰瘍性大腸炎(重症除く) |

カルシニューリン阻害剤
シクロスポリン
シクロスポリンAは、トリポクラジウム(Tolipocladium)属菌が産生する化合物で、先のFKBPに当たるタンパク質:CyP(シクロフィリン)と複合体を形成して、同じ作用を示すが、その効果はタクロリムスの1/10程度と言われる。
タクロリムス(FK506)
タクロリムスは別名:FK506と呼ばれ、1984年、筑波山の土壌の放線菌(Streptomyces tukubanesis)から抽出された生理活性天然化合物である。
FK506が特異的に結合するタンパク質をFKBP(FK506-binding-protein、イムノフィリンの一つ)と呼び、FKBPは、
- ペプチジルプロリルcis-trans-イソメラーゼ(活性生体内の機能分子であるタンパク質の主鎖の向きを大きく変換することのできる酵素)活性
- カルシニューリン阻害作用
の2つの役割を持つといわれる。
FKBPのその他の特徴としては、細胞内に豊富の存在するタンパク質、FK506-FKBP間相互作用が安定である(解離定数が数nM)、可溶性が高いことなどがあげられる。
タクロリムスはFKBP12と複合体を形成しカルシニューリンを阻害することで、NF-AT(nuclear factor of activated T cells)の脱リン酸化を阻害してIL-2の合成を止める。IL2受容体(CD25)→JAK-STAT T細胞の増殖、B細胞の増殖、抗体産生能の亢進。この作用を抑制する。
T細胞刺激によるT細胞からのインターロイキン(IL)-2及びインターフェロン(IFN)-γのみならず、腫瘍壊死因子α、IL-1β及びIL-6等の産生も抑制すると能書上はなっている。
それ以外の作用として、ランゲルハンス細胞の抗原提示能の抑制や、肥満細胞からのIgE依存性ヒスタミン遊離抑制、好酸球の脱顆粒抑制、表皮ケラチノサイトに存在するSP、NGFとその受容体TrkAの発現抑制等も知られている。
タクロリムスの免疫抑制作用は、主として T 細胞による分化・増殖因子の産生を阻害することにより発揮されるが、この産生阻害はメッセンジャーRNA への転写レベルで抑制されることに基づくと考えられている。
タクロリムスは細胞内でタクロリムス結合蛋白(FKBP)と結合して作用を発揮すると考えられているが、この蛋白はシクロスポリン結合蛋白であるシクロフィリンとは全く異なることが明らかとなっている。この結合蛋白の相違がタクロリムスとシクロスポリンとの作用の相違及び強度の相違として現れていると思われる。
タクロリムスの副作用として怖いのが腎障害、発ガン性でしょうか。
タクロリムスは肝臓でCYP3A4により代謝され、大部分は胆汁中に、1%が尿中へ排泄されます。その上、血中濃度は腎機能の影響を受けないとされています。
それなのになぜ、腎障害が起こるのか?
タクロリムスの腎障害の機序は、腎細動脈の血管収縮作用による血流量の低下が原因です。血流量の低下は、尿細管細胞に栄養補給がなされなくなり、やがて腎障害が起こると言われています。
タクロリムス製剤といえば、プロトピックとプログラフですが、プロトピックは外用剤なので、プログラフほど腎障害を気にする必要はありません。
発がん性に関しては、免疫抑制によるところが大きいのではないでしょうか。私たちは誰もが癌原遺伝子という癌の元になる遺伝子を持っていますが、この癌原遺伝子は私たちの体が正常に働くために必要な遺伝子でもあるのでないわけにはいきません。
- プログラフ、グラセプター(タクロリムス)・・・カプセル(ただし、グラセプターは徐放カプセルでありプログラフとは異なる)。シクロスポリンとタクロリムスは有効治療濃度域が狭いのと、個人により差があるので、薬物血中濃度モニタリングに基づく投与設計が必要。
- (グラセプター、プログラフでは 5~20 ng/mL、ネオーラルでは 50~400 ng/mL)、濃度がこれらの範囲より低いと拒絶が起こりやすくなってしまい、逆に高過ぎると副作用が起こりやすくなる
- グレープフルーツジュースはこれらの免疫抑制薬の血中濃度を上げるので避ける。
- プログラフ、ネオーラルによる副作用で比較的多く認められるものには、①尿量減少、発熱、手足のむくみなどの腎機能障害、②手足のかすかなふるえ、③体毛の過度の伸び (多毛)、④血糖値の上昇、⑥頭痛等がある。
- CYP3A4やP糖タンパクを介して血中濃度に影響する薬やGFJに注意。
- プログラフの禁忌はトラクリアやスピロノラクトンなどのK保持性利尿薬。ネオーラルの禁忌はリバロやクレストール等。
- プロトピック(タクロリムス)・・・軟膏。
- ランク的にはステロイドのstrongランク同程度と言われる。皮膚の萎縮の副作用がないが、炎症がひどい部位に使用すると刺激感がある(湿疹がよくなるとひいてくる)。
- 体には力不足なので、もっぱら顔に使用する。
- プロトピックはランクでいうとstrongレベルと言われているが、使える量に上限がある(発がん性のために1日10g以下)ので、顔中心に用いられる。皮膚に傷がある状態で使用すると刺激感・ほてり感がでるので注意する。
- 規格は0.1%と0.03%の二つがあり、0.1%は16歳以上、0.03%は2歳以上に対して用いられます。2歳未満の幼児に関しては使用経験がなく安全性が確立されていません。
- プロトピックには大人用の0.1%と小児用の0.03%があるが、大人が刺激が強いからという理由で0.03%を持っていくことがあるので、疑義照会時に注意する。
- その他発がん性の問題もあるため、使用量には「1日10gを越えないこと」との制限があります。
- 臨床では、マウスに2年間プロトピック軟膏を塗り続けた実験で、リンパ腫という癌が発症したというデータはありますが、マウスの皮膚は人に比べて薄いため薬物の吸収率が高く、血中濃度が常に高い状態であることを考えれば、あまり有用なデータではないとされています。
- 紫外線を浴びると癌原遺伝子から癌遺伝子への変異が起こりやすくなるため、紫外線はなるべく避けるようにとの注意があります。
- ピメクロリムスはタクロリムスと同じカルシニューリン阻害薬であるが、日本では販売されていない(米国でクリーム剤として使用されている)。
ラパマイシン
ラパマイシンはFKBP12と複合体を形成し、mTORC1に結合、mTORを阻害し、IL-2やほかのサイトカインを抑制する。すなわち、Th1とTh2の出すサイトカイン(IL-2、4、5、6、10、IFN-γ)の合成を抑制するので結果としてTh0からの分化(自己による自己の分化促進:IFN-γやIL-4)やB細胞の分化(IL-2)も抑制することになる。腎に対する毒性がタクロリムスより低い。
JAK阻害剤
JAK(ヤヌスキナーゼ)は、非受容体型チロシンキナーゼの一つで、IL-4/13、IL-31といったサイトカイン受容体をリン酸化してシグナル伝達経路を活性化することで標的遺伝子を活性化するリン酸化酵素です。
JAKファミリーにはJAK1/2/3、TYK2の4種類あり、薬剤ごとに標的にするJAKが異なっています。
JAKを阻害することで、JAK経路を経て作用を示すサイトカイン(上図)の過剰な亢進を抑制できるため、炎症やかゆみを抑制することが出来る。
内服の場合は合併症の発現に注意する必要があるため、服用する前に結核、静脈血栓症、B型/C型肝炎等のスクリーニングを事前に行うとともに、合併している場合は癌と同じようにB型ならB型の薬を飲みながら服用することになる。
副作用は、帯状疱疹を含む感染症、血球減少、肝機能障害、間質性肺炎等がある。
JAK阻害薬の中では、ウパダシチニブ>アグロシチニブ>バリシチニブの順で効果が高いが、副作用も多くなるため、中等度の場合はバリシチニブから開始することが望ましい。(ウパダシチニブ15㎎/日、アブロシチニブ200mg/日、デュピルマブ300mg/2週がほぼ同じ効果とされる)
- オルミエント(バリシチニブ)・・・錠剤、1日1回4㎎(腎障害で2㎎)、2歳以上の小児には30㎏以上では4㎎、30㎏未満では2㎎(状態に応じて1㎎)。適応:既存治療で効果不十分な関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、若年性特発性関節炎、コロナによる肺炎、円形脱毛症
- 2番目のJAK阻害剤。JAK1/2を阻害して、IFN-γ、IL-6等のシグナル伝達を阻害。
- 抗リウマチ作用が生物学的製剤と同等以上、効果発現が早い
- eGFRが30未満では投与しない。
- MTX等のDMARDが無効な患者に使用。
- 好中球やリンパ球数が減った場合注意、
- 免疫抑制薬特有の副作用:咳、発熱、帯状疱疹
- 禁忌薬剤はない。腎機能障害(eGFR30以下は禁忌)、他リンパ球、好中球低下に注意
- リンヴォック(ウパダシチニブ)・・・JAK1を選択的に阻害。成人及び12歳以上かつ体重30㎏以上の小児には15㎎を1日1回(状態に応じて30㎎)。
- サイバインコ(アブロシチニブ)・・・JAK1を選択的に阻害。成人及び12歳以上の小児には100mgを1日1回(状態に応じて200mg)。
- コレクチム(デルゴシチニブ)・・・軟膏
- プロトピックよりも皮膚刺激が少なく、同じようにstrongレベルの効果を示すとされ、フィラグリンや天然保湿因子を増加させてバリア機能を改善する効果を持つ。効果発現に時間がかかるのが特徴。
成人は0.5%製剤を1日2回、小児(生後6か月以上)は0.25%製剤を1日2回とされているが、0.5%製剤も使用できる。いずれの規格も1回使用量上限は5g。 - コレクチムは,ヤヌスキナーゼファミリー(JAK1,JAK2,JAK3及びTyk2)のすべてのキナーゼ活性を阻害することにより、IL-4、IL-13、IL-31等の種々のサイトカインの受容体結合後のシグナル伝達を阻害する(JAK-STAT受容体)。本作用機序に基づき,サイトカインにより誘発される免疫細胞及び炎症細胞の活性化を抑制して皮膚の炎症を抑制する。また,掻痒に強くかかわるとされるIL-31のシグナル伝達を阻害するため、IL-31により誘発される掻破行動(そう痒)も抑制する。
分子量が約310とステロイドやタクロリムスに比べて小さいため、顔だけでなく、体幹や四肢に対しても吸収率が高い。(鳥居薬品Q14より)
- プロトピックよりも皮膚刺激が少なく、同じようにstrongレベルの効果を示すとされ、フィラグリンや天然保湿因子を増加させてバリア機能を改善する効果を持つ。効果発現に時間がかかるのが特徴。
- リットフーロ(リトレシチニブ)・・・カプセル。円形脱毛症の適応。
チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬
- ソーティクツ(デュークラバシチニブ)・・・チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬である。TYK2の機能制御部位に結合し、この部位と触媒部位の間の相互作用を安定化することで、インターロイキン(IL)-23、IL-12、I型インターフェロン(IFN)などで誘導されるTYK2の活性化が阻害され、TYK2が介在する炎症や免疫応答が抑制される。
IL-4/13阻害薬
IL-4とIL-13はTh2細胞から産生されるサイトカインであり、図のように、
- 表皮ケラチノサイトに作用して、分化障害、フィラグリン発現低下、抗菌ペプチド産生低下を引き起こして皮膚のバリア機能を低下させる
- B細胞に作用してIgEを産生、IgEはマスト細胞に作用してケミカルメディエーターを放出させる。
- Th2細胞の分化促進と維持により、Th2細胞からIL-5産生を促すことで好酸球によるアレルギー炎症
- 自身がかゆみを誘発するばかりでなく、IL-31産生を促してかゆみを誘発する
といった作用を示す。

IL-4受容体には、Ⅰ型とⅡ型が存在している。
- Ⅰ型・・・IL-4Rα(IL-4受容体αサブユニット)とγc(common gamma chain)のヘテロダイマー。リガンドはIL-4のみ
- Ⅱ型・・・IL-4RαとIL-13Rα1のヘテロダイマー。リガンドはIL-4とIL-13
デュピルマブは、複合体両者に共通のIL-4Rαに結合することにより、IL-4のシグナル伝達(Ⅰ型)及び、IL-13のシグナル伝達(Ⅱ型)を共に阻害する。(標的はIL-4受容体なので、IL-4α受容体阻害薬で、結果としてIL-4とIL-13のシグナル伝達を阻害)
- デュピクセント(デュピルマブ)・・・注射
(調剤と情報2025.4より) - ペン型の注射剤(300㎎)と皮下注(300㎎or200㎎)がある。
- 対象者は既存治療で効果不十分で、IGAスコア3以上、EASIスコア16以上あるいは顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹があって、BSA10%以上の全てを満たす患者とされている。
強い炎症を伴う皮疹の体表面積に占める割合が10%以上(シクロスポリンは30%以上)であることが推奨。 -
成人は、初回600mg、その後は1回300mgを2週間隔
小児(6か月以上)は、体重により投与量と投与間隔が変わる。- 5kg以上15kg未満:200㎎/回を4週間隔
- 15kg以上30kg未満:300㎎/回を4週間隔
- 30kg以上60kg未満:初回に400㎎、その後は200㎎/回を2週間隔
- 60kg以上:初回に600㎎、その後は300㎎/回を2週間隔
- 治療効果は16週までに得られるとされ、16週を超えて効果が得られない場合は中止を検討する。
- 実際の効果は幅がある。ステロイド等の他の外用薬を併用してコントロールすることが推奨される。中止した場合、症状が徐々に再燃することが多い。
- 副作用としては結膜炎がある。作用機序は不明。IL-4/13抑制による結膜杯細胞数の減少やムチン産生減少の可能性。
IL-13阻害薬
IL-13の受容体阻害薬ではなく、IL-13自体を阻害するモノクローナル抗体。
Th2サイトカインであるIL-13と結合し、IL-13とIL-13Rα1との相互作用、またはさらにIL-13とIL-13Rα2との相互作用を阻害する 。これにより、IL-13によるIL-13Rα1/IL-4Rα受容体複合体や、IL-13Rα2受容体を介したシグナル伝達を抑制する。
デュピクセント(デュピルマブ)との違いが少し難しいので以下の表で整理すること。
デュピルマブはIL-4の受容体に拮抗して、IL-13の一部のシグナル伝達(IL-13Rα1の方)を抑制するが、IL-13Rα2の方のシグナル伝達は抑制しない。
トラロキヌマブは、IL-13Rα1とα2両方のシグナル伝達を抑制できる。レブリキズマブはIL-13Rα1しか抑制できないのでデュピルマブの作用の一部の効果ともいえる。
IL-13阻害薬はⅡ型受容体を阻害するわけではないので、IL-4の刺激があればIL-4Rα/IL-13Rα1を介したシグナル伝達は進行することに注意したい。
IL-4Rα/γc | IL-4Rα/IL-13Rα1 | IL-13Rα2 | |
---|---|---|---|
デュピルマブ | 〇 | 〇 | - |
トラロキヌマブ | - | 〇 | 〇 |
レブリキズマブ | - | 〇 | - |
IL-13やその受容体は皮膚などの末梢組織に過剰に発現しており、IL-4とその受容体は主にリンパ組織や中枢で発現しているという報告がある。また、デュピクセント(デュピルマブ)と同じように結膜炎の副作用が起こる可能性がある。デュピクセントと比較して結膜炎の副作用発現率はどうかについてはいまだデータがない。
以上より、デュピクセントが使えない場合という立ち位置になりそう。
- アドトラーザ(トラロキヌマブ)・・・15歳以上、2週に1回皮下注。IL-13を阻害することで、IL-4Rα/IL-13Rα1と、IL-13Rα2を介したシグナル伝達を抑制する
- イブグリース(レブリキズマブ)・・・12歳以上、2週に1回皮下注、もしくは初回と2回目投与時に維持用量の倍量投与を行い、3回目以降は4週に1回皮下注のどちらかを選択。IL-13を阻害することで、IL-4Rα/IL-13Rα1を介したシグナル伝達を抑制する。
IL-31阻害薬
IL-31はTh2細胞を初めとして、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好塩基球、好酸球、表皮角化細胞から産生される痒みを引き起こすサイトカインである。
IL-31は表皮や真皮内の末梢知覚神経線維や後根神経節に発現されたIL-31受容体A(IL-31RA)と結合すると、OSMRβ(oncostain M receptor β)とヘテロ二量体を形成し、JAK1/2及びSTAT1、3、5の活性化を介するシグナル伝達により、痒みを惹起するとともに、神経線維を伸長させて痒み過敏を引き起こす。
IL-31は他にもフィラグリンやクローディン-1などの皮膚バリア分子の発現を低下させて皮膚バリア機能を低下させたり、各種免疫細胞からサイトカインやケモカインの産生を誘導して炎症を引き起こしたり、BNP(脳性ナトリウムペプチド)を神経終末から放出させて神経原生炎症を引き起こす。
副作用として投与開始16週までにADの増悪が17.5%と高率にある。IL-31を抑制することで末梢神経から分泌されるTh2細胞を抑制している神経ペプチドの分泌を抑制してしまうことが原因の可能性。
- ミチーガ(ネモリズマブ)・・・皮下注用60㎎シリンジ(成人及び13歳以上の小児、自己投与可)、30㎎バイアル(6歳以上13歳未満の小児)を4週間隔で皮下注(シリンジの使い方はマルホのHPへ)。貯法は皮下注シリンジは室温保存だが光を避けるため外箱に入れたまま保存する。

IL-36受容体阻害薬
- スペビゴ(スペソリマブ)・・・ヒトIL-36受容体(IL-36R)に結合する、ヒト化抗ヒトIL-36RモノクローナルIgG抗体である。本剤はIL-36Rに結合することにより、内因性のIL-36RリガンドであるIL-36α、β及びγのシグナル伝達を阻害し、IL-36Rリガンドによる炎症及び線維化シグナルを抑制すると考えられる。
治療用AhR調節薬
芳香族炭化水素受容体(AhR)は人の皮膚(表皮細胞)に多く存在するレセプターの一つで、芳香族炭化水素受容体(AhR)に結合できるリガンドには、皮膚炎を悪化させるダイオキシンやたばこ、大気汚染といった環境汚染物質と、皮膚炎を改善させるタピナロフやタール類のようなTAMA(治療用AhR調節薬:有害物質と区別するために付けられた有益な薬剤の総称)と呼ばれる物質がある。
AhRのリガンドがAhRに結合すると、ステロイドと同じようにHSP90等の熱ショックプロテインが解離することで活性化し、リガンド-AhR複合体が核内に移行して、核内でAhRはARNT(AhR nuclear translocator)とヘテロダイマーを形成した後、AhR-ARNT複合体はXRE(Xenobiotic Responsive Elements)と呼ばれるDNA配列に結合し、CYP1A1などの標的遺伝子の転写を誘導する。
ダイオキシン等の環境汚染物質はこのCYP1A1による分解を受けづらく、活性酸素が増加し、それにより酸化ストレスが増大してNF-κB経路が活性化されて炎症が増悪したり、AhR依存的にArteminやIL-33を増加させてかゆみを誘発する。
一方、TAMAはCYP1A1による分解を受けやすく、活性酸素や酸化ストレスを生じにくいばかりか、AhRの活性化を通じてNRF2の核内移行と経路の間接的な活性化が促進→抗ストレス応答遺伝子群(NQO1、HO-1など)が誘導されたり、皮膚分化マーカー(フィラグリン、ロリクリン等)の転写が促進されたり、NGF産生を抑制したりする。TAMAはarteminの発現には影響せず、IL-33に対しては抑制的に働く。
抗ストレス応答遺伝子群の誘導により活性酸素と酸化ストレスが軽減されて皮膚の炎症が、皮膚分化マーカーの転写促進により皮膚のバリア機能の修復が、NGF産生抑制により神経伸長とかゆみ増加の抑制がなされると考えられている。
また、AhR活性化はSTAT6経路を阻害して、Th2サイトカイン(IL-4、IL-13)によって誘導される好酸球遊走因子(CCL26)を抑制して抗炎症作用を示すとも考えられている。
- ブイタマー(タピナロフ)
核酸合成阻害剤
- セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル)・・・カプセル
- プリン合成阻害(イノシンモノホスフェイト脱水素酵素の阻害)によるGTP、dGTPを枯渇させ、結果的にリンパ系細胞の増殖を抑える。
- 1 日 2 回 12 時間毎に服用
- 副作用に白血球減少症、催奇形性がある
PDE4阻害剤
- オテズラ(アプレミラスト)・・・内服。適応は乾癬。
- (ロフルミラスト)・・・内服。未発売で海外のみ。適応はCOPD
- モイゼルト(ジファミラスト)・・・軟膏。成人には1%製剤を1日2回、小児(生後3か月以上)には0.3%製剤を1日2回使用可能。コレクチムやタクロリムスのように1回使用量の制限はない。
基剤中に微細な液滴として分散した液滴分散系軟膏であり、他剤と混合することにより液滴が合一して大きくなるため、混合することは好ましくない。(インタビューフォームより) -
炎症に係るT細胞、B細胞、ケラチノサイト、マクロファージ、単球、好酸球、好塩基球、好中球、樹状細胞等のPDE4を阻害して、cAMP濃度を高める(cAMPはプロテインキナーゼA、Epac、CNGチャネルの大きく3つを活性化する)。PDEはcAMPを不活性型のAMPへの変換をコントロールしてAキナーゼ活性を調節する。
Aキナーゼの活性化は、CREB(クレブ)、NF-κB、NFAT等による転写を抑制して炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-23、IFN-γ 等)の産生を抑制する。
活性化されたAキナーゼは細胞核へ移行し、そこでCREB(cAMP-responsive element binding protein)の133位のセリン残基がAキナーゼによりリン酸化され、CREBが活性化する。
活性化されたCREBはCRE(c-AMP-responsive element)領域に結合し、その後コアクチベーターであるCBP(cAMP responsive element binding protein[CREB] binding protein)が結合して特定の遺伝子をオンにしたりオフにしたりするが、この場合は抑制側に働いていることになる。
CREBの応答配列CREはAP-1結合部位(サイトカイン遺伝子のプロモーター等)の上流に位置している。
AP-1の抑制は抗炎症作用を示し、その上流のCREBはリン酸化による活性化が抗炎症作用を示すことから、CREBはIL-2等のサイトカイン遺伝子上で転写の調節をしているのではと推測できる。つまり、本来はTCRからシグナル伝達が進んでAP-1リン酸化等による炎症反応が進むが、CREBはその上流でAP-1の作用を阻害している(CBP競合的にも?)のではないだろうか。
また、テオフィリンやβ2刺激薬の抗炎症作用も、このPDE阻害作用で説明がつく。
EpacによるRasやMAPK、PLC活性化が関与しているかは不明。
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炎症に係るT細胞、B細胞、ケラチノサイト、マクロファージ、単球、好酸球、好塩基球、好中球、樹状細胞等のPDE4を阻害して、cAMP濃度を高める(cAMPはプロテインキナーゼA、Epac、CNGチャネルの大きく3つを活性化する)。PDEはcAMPを不活性型のAMPへの変換をコントロールしてAキナーゼ活性を調節する。
胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)受容体阻害薬
- テゼスパイア(テゼペルマブ)・・・胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)に対するヒトIgG2λのモノクローナル抗体であり、ヒトTSLPに結合し、ヘテロ二量体のTSLP受容体との相互作用を阻害する。TSLPは喘息における炎症誘導経路の上流に位置する上皮細胞由来サイトカインであり、喘息に伴う気道炎症の発症及び持続において重要な役割を果たしている。喘息では、アレルギー性及び非アレルギー性曝露のいずれによってもTSLP産生が誘導される。テゼペルマブでTSLPを阻害することにより、血中好酸球、IgE、FeNO、IL-5、IL-13等の炎症に関連する広範囲のバイオマーカー及びサイトカインが減少し、気道過敏性が軽減する。
ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体
- ゾレア(オマリズマブ)・・・ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体であり、IgEと高親和性受容体(FcεRI)の結合を阻害することで、好塩基球、肥満細胞等の炎症細胞の活性化を抑制する。
1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、投与量換算表により設定する。大幅に体重が変化した場合には、本剤の臨床推奨用量が投与されない可能性があるので、投与量換算表に基づいて投与量並びに投与間隔を再設定すること。特に小児では、成長に伴う体重の増加に注意すること。
免疫機構・メカニズム
免疫機構・メカニズムのページを参照。
その他の免疫治療
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